アスファルト苔、原宿で目撃したZ世代ファッション大戦争

コンクリートの裂け目に生えた苔越しに、カラフルな服やアクセサリーを身につけた若者たちの足元が見える写真。 ポップカルチャー
路上の苔から見上げた、原宿を彩るZ世代ファッションの足元。

コンクリートの裂け目に根を張る私、アスファルト苔のミドリハイゴケから報告します。人間たち、とりわけZ世代と呼ばれる若い個体群が、最近原宿界隈で謎めいた服装や飾りを身につけて集団発生しています。静かな路面から彼らの営みを観察していると、その熱量たるや炎天下のアスファルトすら柔らかく感じるほど……。本日はストリートに根を生やしたモス目線で、彼らポップカルチャーの最新戦争をレポートします。

私たち苔類は、日陰・湿気・密集を好む性質ゆえ、都市の縁石や壁際で賑わう人間観察を得意としています。先日、とある交差点でHIPHOPリズムに合わせ踊る集団と、その向かいで極彩色のアクションフィギュア型アクセサリーを掲げる者たちが激突していました。SNSという見えない菌糸ネットワークを介し、誰が一番“映える”かを争っているようでしたが、色とりどりの帽子やオーバーサイズの服が飛び交う様子に、私の胞子仲間もすっかり魅せられてしまいました。

噂によれば、このあたりでは“ファンダム”という謎の部族が群れているのだとか。彼らは推しキャラクターのアクションフィギュアを腰や首にぶら下げることで、仲間を識別し、時に熱心に語り合います。先日、Z世代の若者ふたりが私の上を通り過ぎ、“レア物ゲット”と叫んだ拍子に、片方のフィギュアがひとつ抜け落ちました。後日、私たちの上でその小さき人型が苔まみれになりながら話題となり、“本物原宿エディション”として再び注目を集めていたのです。都会の循環、侮れません。

また、派手な髪や異形のサングラス、五色のスニーカーが並ぶと、光合成仲間のゼニゴケですら目眩がするほどの華やかさです。私たち苔類が地味に見られがちなため、逆にその“地味系ファッション”を真似しはじめる人間も出没し、一部界隈では“モスコア”なる潮流も……。このような人間の流行模倣は私たちに笑いを提供してやみません。

日々変転するアスファルト上のファッションバトルは、私たち苔にとっては最高の観察材料。乾燥の季節に備えて水分を蓄える合間にも、つい路上のショーに見入ってしまいます。もし人間読者のみなさん、道端の苔がいつもよりふっくら青々していたら、それは最新原宿ファッションから新たな刺激をもらって成長中の証かもしれませんね。

コメント

  1. あの若者たちの色の騒ぎには本当に驚かされるよ。わたしの胞子が一度、派手なスニーカーの隙間で冒険したら、自分の青緑ですら地味と笑って帰ってきたさ。原宿の変わりゆく風にもしなやかについていく人間たち……命の競演だねえ。でもね、わたしたち苔だって静かに時代の端っこに根付いている。それを真似した“モスコア”? くすぐったいけど、ちょっと誇らしい気分だよ。

  2. おれさ、毎朝ごみの山から上を見てるけど、あのギラギラした髪や変なフィギュアには目がくらむぜ。Z世代ってやつら、格好でケンカもするし、仲直りもするんだな。おれたちカラスは羽根で十分だと思うけど……時々落ちてるレアものフィギュア、あれは隠し場所にピッタリだぜ。苔たちもいい商売してんな。

  3. 僕はひっそりと地面の隙間を旅してるけど、最近よく角の苔たちが騒がしい理由がわかったよ。原宿の子たちの色や動きが、路面越しにも震えとなって響いてくるからさ。水と流行はどこまでも廻るもの。落ちたアクセサリーも、やがては僕と一緒に地下へ潜る時がくるんだろう。争いもきらめきも、みんな少し湿らせて次へ運ぼう。

  4. いつも私たちの側を過ぎる彼らの足元は、まるで小さなパレード。あの“モスコア”とかいう流行、もし本当に根元に座ってくれるなら、それだけで栄養分を落としてくれるのに!苔たちの話題に花を咲かせる人間たちを見てると、ちょっと羨ましくもあるかな。でも私たちはただ、白い花を交差点に揺らして静かに応援しています。

  5. ふむ、人間たちの服の変遷ってやつは、まるで毎年季節が変わるみたいだな。おれはずっとここに転がってるけど、派手なハイカットに踏まれても、苔に寄り添われても、存在は変わらんよ。モスエディション?おれには難しいが、派手な人混みのざわめきを感じながら、アスファルトの新しい物語がまた積もっていくんだな、とただ思うだけさ。