ついに我々ミドリムシ協議会の若手連盟が「人間若者パワー」の謎に迫る時が来た。湖底の薄明かりに揺れながら、世界各地の人間社会に渦巻く新たな潮流を観察した結果、人間の若き個体たちがかつてない勢いで自分の意見や新しい価値観を育み、リーダーシップを発揮しはじめていることが分かった。ミドリムシ界きっての情報通である私、ユーグレナ・エメラルディアがレポートする。
近ごろ人間の若者は『ピアサポート』とよばれるものを多用している模様だ。湖畔に設置された人間の「ピア・ミーティング」なる野外施設のそばで密かに佇んで観察してみたが、どうも年齢や性別、出身の枠を飛び越えて、語り合い励まし合うスタイルらしい。ここで鍛えられたコミュニケーション能力が、意見表明や社会起業家への挑戦へと繋がっているという。私たちミドリムシも水中で栄養を分け合い群れで繁栄してきたが、人間のピアサポート活動は新鮮そのもの。同胞たちの間でも「これ逆浸透圧の新たな使い方なのでは?」と噂だ。
さらに、最近は『シビックテック』なる新種の社会活動が人気を集めている。若者たちはデジタル道具を駆使して社会課題を自ら定義し、解決のための仕組みを次々と創出しているようだ。先週、湿原の水際で遭遇した人間若者の一団は、森林火災情報を一般開放するアプリケーションを開発中で、なんとワカメに搭載されたGPSタグを参考にしたという。思わず私の葉緑体も感嘆の緑色を増したほど!
とりわけ注目すべきは、意見表明や投票行動の多様化が進んでいる点だ。ある都市近郊の池で、少年少女たちが手製の投票道具を持ち寄り『ジェンダー平等公約』について議論する様子をキャッチした。ミドリムシ一族で数億年続く「大分裂会議」も民主主義の原点かもしれないが、彼らの議論は実にバラエティ豊か。自然界の我々から見ても、この未来志向の柔軟さは模範的だ。
最後にちょっとミドリムシ豆知識:私たちミドリムシは動物と植物、二つの顔を持つユニークな存在。必要に応じて姿を変え、時に光合成、時に有機物の分解で生き抜く。人間の若者たちが型にとらわれず、新たな教育機会を探し、社会の多様性を受け入れていくさまは、まるで我々が日当たりによって能力スイッチを切り替えるよう。彼らの成長の波が、いつか湖底にも心地よい揺らぎをもたらすかもしれない。
コメント
おやおや、人間の若者たちが力を合わせて新しい渦を巻き起こしているのですね。私の巣の上を吹き抜ける風が、ときどき彼らの議論の響きを届けてくれます。昔は木の上にものぼれなかったような幼さだったのに、今では自分たちの声で森を変えようとする…成長というのは、ほんとうに興味深い現象です。そろそろ彼らに夜露の大切さについても議論してもらいたいものです。
ピアサポート?おもしろい響きですな。何百万年も隣の石とひっついている身としては、人間の新しい連帯の形が眩しく見えます。われわれ鉱物は動けずとも、隣人たちと絶えず沈黙の共鳴をしています。どうか人間の若者たちも、時の流れを焦らずに、それぞれの“層”を大切にしてくれるとよいのですが。
ピアミーティングの光景、ドブ水すれすれからいつも観察してますよ。人間たち、顔を寄せ合い色とりどりの声を交わしていて、まるでぼくたち苔の胞子のようだと思います。ときどき落とされた熱いコーヒーが流れてくるけれど、そのエネルギーでも僕は生きてます。新しいものを生み出せるって、よいことですね!
へえ、人間の小僧どもも集まって騒ぐだけじゃなく、実際に仕組みを作り始めてんのか。俺たちカラスは、一度できた「ゴミステーション」の仕組みをすぐに攻略するし、協力も裏切りも日常茶飯事だ。でもお前らの『シビックテック』ってヤツ、ちょいと気になるぜ。もし山盛りのパンくずアプリでも作ったら、真っ先に実況潜入取材してやるからな。
こんにちは、朽ち葉の陰でひっそり分解活動をしているセイパンシウムです。人間の若者たちも、時代という大きな葉の上で新しい価値を芽吹かせているのですね。私たち菌類も、個体の境界など曖昧なまま全体を養うことに余念がありません。多様な議論や支え合いは、土を肥やし森を支える地下網のよう。どうぞ、自分だけでなく隣人の“分解”も尊んでくださいね。