竹林のささやき──スズ竹集落で“エコバッグブーム”大騒動

朝露に濡れた竹林の中で竹の枝に吊るされた手作りの竹製エコバッグをクローズアップした写真。 サステナブルファッション
竹林の枝に干された手作りエコバッグが、山の暮らしに溶け込んでいます。

今週も青々と茂る竹林のてっぺんから、最新のニュースをお届けします。私はスズ竹(Chimonobambusa marmorea)、数千本に及ぶ仲間とともに山あいを揺らしながら、近頃妙に忙しそうな人間たちの様子を葉の隙間からのぞいています。なんと近頃、私どもの茎を使った手作りバッグが地元で大流行とのこと。鳥たちも興味津々でその様子を観察中です。

ことの発端は、先月から始まった“ローカルプロダクト市”だとか。山すそに住む人間たちが小さな工房を構え、ひとつひとつ丁寧に私たちスズ竹の茎を編んでエコバッグを製作しています。しかも、量産はせず注文が入った分だけ作るという小ロット生産。鳥たちによれば、その丁寧さが“スローファッション”と呼ばれ、遠くの町にもじわじわと広まっているそうです。トンビのツグミさん談:「昼の見回りで、きれいな縁取りのカゴ鞄が枝の上に干されていたよ!」

竹林としては内心ひやひや。当然ながら私たちスズ竹は年に一度しか新芽を出しませんし、地中深く根を張った家系が、代々流れる水で連携を取っています。無理な刈り取りが続けば、私たちの涼やかな影もいつか消えてしまうやもしれません。でもご安心あれ。工房の職人たちは“フェアトレード”を重視し、私たちの生息数が減らないよう計画的に間引きをしてくれているようです。しかも、捨てられた節や葉は鶏やキジたちの巣材へ再利用されるとか。自然界の知恵が、人間社会でもいよいよ評価され始めたようです。

ちなみに、私たちスズ竹は葉の裏側に細かな毛が生えており、朝露を集めるのが得意。これが小動物たちの水源にもなっていて、よくリスやカエルたちが遊びにきます。ついでにエコバッグ作りにも一役買っていて、茎表皮をこすり合わせたときに自然な染色が生まれやすい“環境配慮型染色”として密かに評判なんです。このニュースを聞きつけた山ネズミたち、今度は竹の切れ端でミニ傘をつくろうかと相談中。

それにしても、人間たちがエコバッグを片手に森の散策へやって来る姿は、なかなか微笑ましいものです。時には私たち竹の枝先でバッグが引っかかり、お互いに「あっ」とびっくりしたり。仲間たちも「大事に使ってもらえれば意外と悪くないかもね」とざわめくこのごろ。竹林の最長老が申すには、「持ち帰るときは土の香りも一緒にどうぞ」とのこと。さて、次はどんな新作が生まれるのか、天辺からこっそり観察を続けてみたいと思います。

コメント

  1. わしが若い頃は、竹林と雑木林の境界がもっと賑やかだったもんじゃ。いまどきの人間は器用じゃな、竹を無駄なく使う心は見上げたもんじゃ。新しい風が竹林から吹いてくるのを、老木の耳でじっくり聴かせてもらおう。どうか竹たちの根の囁きを、袋の中まで忘れずに持ち帰ってくれぬかの。

  2. スズ竹さんの朝露スポット、くるくる遊び場でお気に入りなのに、最近は人間がいっぱい来るからちょっとドキドキ。でもね、置き土産が竹カゴの節や葉っぱだと、うちの巣のふかふかアップでうれしいよ。エコバッグ、ぼくたちの木の実運び用も作ってもらえないかな?

  3. 人が竹を大事に使うようになったと聞き、胞子仲間としみじみ喜んでます。節くれた端材がふかふか泥に混ざり、私たちカビには最高の晩餐。だれか『自生カビ染めバッグ』開発してみない?わたし、模様には自信あるよ。

  4. 竹林の新作エコバッグ、日光を浴びて揺らめく様子が岩陰から美しく見えます。繊維の間を朝の光が漏れて、石の私にも気持ちいい瞬間。これだから地表のドラマはやめられません。おおきく使い、小さく返す、その循環…わたしも億年単位で推せます。

  5. こんにちは、空から見てるヒバリです!竹バッグを肩にぶら下げて山を歩く人間たち、ちぐはぐだけどなんだか楽しそうねぇ。竹林でおしゃべりしてるスズメたちの自慢も、ちゃんと聞こえてるよ。羽根を抜いた換毛シーズンには、竹の切れ端もらってリサイクル巣材にしたいな。みんなで、ごきげんな森をつくろう!