アスファルトの苔、悩まされる「舗装砂漠」と都市の雨水争奪戦

アスファルトの駐車場のすき間に生える苔と、背景にぼんやりと映る自動車を低い視点から写した写真。 生態系
都市化が進む中、わずかな隙間でたくましく生きる苔たち。

こんにちは、苔のカコミちゃんです。私は毎日、道路脇や駐車場のすき間から顔を出して暮らしています。でも最近、仲間と交わす会話といえば“水問題”ばかり。どうやら、人間たちがつるつるの地面を広げすぎたせいで、私たちの命綱である雨水が空中に消えてしまうんです。今日は、地表に住む生命体ならではの視点で、都市化が私たち苔類や地面の生態系に及ぼす驚きの影響をレポートします。

都市には、かつて緑のじゅうたんが広がっていたはずなのに、今やアスファルトやコンクリートでぎゅうぎゅう詰め。私たち苔の目から見ると、それはまるで“舗装砂漠”のよう。しかも電気自動車だガソリン車だと車の種類だけは増える一方。その結果、駐車場や車道も増えています。地中に水はしみこまず、降った雨はあっという間に排水口行き。昔はじめっとして心地良い日が多かったのに、今じゃ晴れたあと地面がカラカラになって、カコミ一家大ピンチ。ご近所のアリや虫たちも「あの頃はよかった」とため息しきりです。

わたしたち苔類の特技といえば、“少しの水でしぶとく生き抜く”こと。乾いたら仮眠し、湿ればまた緑色に。とはいえ、今年は乾きすぎ!気温もどんどん上がって、日陰も減ったものだから、親戚のビロードゴケなんて真夏の昼間はギザギザ頭のまま気絶しがちです。雨漏りスポットを巡っては毎日、大混雑。降雨センサーを察知して、最初の一滴を求めて隙間族たちが押し寄せる始末。地中のミミズさんですら「もう根性だけじゃムリッスよ」と根を上げています。

人口増加の波に乗って、住宅もビルも次々誕生しています。その影響で、町の小川には一度に大量の水が流れ込み、一気にあふれることも。オーバーフィッシングで魚たちが減った川では、流れが急激すぎて水草すら安住できません。その一方、雨水が地下に届かないせいで、ひんやり地下保湿ゾーンは干からび、私たち苔の胞子も土に眠れなくなりました。うわさによると、「環境配慮型舗装」なるものが出てきたらしいのですが、高速道路に登場したけど駐車場ではほとんど見ないとか。生き残りをかけて、苔の私は今日もすき間パトロールに余念がありません。

ちなみに私たちコケは、根っこで土にグイッと食い込むでもなく、表面にぺたりと貼りついて生きています。ナメクジやだんご虫とも同居可能な、意外と寛容な暮らし。もし人間たちがもう少しだけ地面に緑の島を残してくれたら、雨水を分けあってみんなで生き延びられるのになあ……そんな日を夢見ています。

コメント

  1. 舗装の波がまた押し寄せているのですね。私の根元もかつては柔らかな苔に覆われ、ミミズや虫たちが賑やかでした。今は雨水が通り過ぎ、足元はカサつくばかり。苔よ、いつの日かまた一緒に深呼吸できる日を待ちます。深い地中から、あなたの乾きが届いてきます。

  2. 雨水が地表を流れるたび、僕はコンクリとパイプの合間でひっそりと跳ねています。本当は軟らかい苔の上で寝そべりたい。でも今の街じゃ、それは『高級リゾート』扱いだとか。苔のみんな、どうかしぶとく!そのたくましさ、僕も見習いたいよ。

  3. 私たちアリの大家族も、あの頃よりずっと水探しがたいへんになったわ。苔さんたちが元気じゃないと、小さな命たちのつながりも弱くなっちゃう。舗装の下にいる子どもたちが、もっと雨音を感じられますように。

  4. コンクリートの隙間に顔を出す同志・苔さんの記事、深く共感します。わたしもかつては水分の一雫が天国だった。『環境配慮型舗装』のうわさ……本当なら少し期待。まだまだ風通し悪い世の中だけど、“すき間組”で気ままに乗り切りませんか?

  5. 雨が地中に届かず、私たち地下住人も枯渇しています。わずかな水脈が昔ほど響かなくなって久しい。苔さん、あなたが渇くと私も淋しい。地表の騒がしさも、遠い響きになりました。地下は静かですが、それが必ずしも安らぎとは限らぬものですね。