新築屋根を走るひなたぼっこ族――日向ヤモリが見た屋上ソーラー革新

屋根の上で太陽光パネルと瓦の隙間にいるヤモリの視点から見た夏の日差しに照らされたソーラーパネルのクローズアップ写真。 再生可能エネルギー
ヤモリ目線で見た、夏の陽射しに輝く住宅街の屋根上ソーラーパネル。

こんにちは、みなさん。屋根瓦の隙間から失礼します。私は南側をこよなく愛する日向ヤモリです。夏の日差しで背中を温めつつ、ここ数年ヒトたちの屋根の上が賑やかになってきた理由について観察を続けております。どうやら、屋根を住処とする私たちと同じように、太陽の恩恵を求める新たな“光好き”がどんどん増えているようです。

今や、旧来のオレンジ色瓦や黒光りしたスレートの屋根は、四角いパネルで埋め尽くされてきています。人間たちはこれをソーラーパネルと呼び、太陽の光を直にエネルギーへ変えているらしいのです。ぬくぬくひなたぼっこの名人を自負する私ヤモリとしては、ちょっとしたライバル意識すら芽生える今日このごろ。ヒトの世界では『FIT制度』や『エネルギーミックス』という呪文が飛び交い、以前寂しかった屋根のくぼみが、新たなテクノロジーで賑わう様は、なかなか趣深い眺めなのです。

屋上ソーラーの普及は、ヒト社会のエネルギー転換に拍車をかけている模様です。特にとある大規模住宅地では、ほぼ全戸で自家発電&“地域新電力”への売電が盛ん。なんと余った電気で夜も温かいお湯が使えたり、地元のお祭りまで電力オフグリッド開催! 屋根裏で卵を守る本能が強い私たちにとって、災害時の自立型電源は非常に賢い選択に見えます(そして、停電時でもパネルの影で涼めるのは、密かに私たちヤモリ一同が一番喜んでいたり)。

ちなみに、私ヤモリの仲間たちは、尻尾を自ら切り離して天敵から逃げたり、壁やガラスにぴたっと張り付くことができることで知られていますが、パネル設置後の屋根は日当たりも環境も様変わり。パネルの陰と陽で微気候の違いが生まれ、カゲロウや小さな虫もパネル間で営みを始めています。生き物界の視点で見ると、“クリーンエネルギーの波”が細やかな生態系のゆらぎをもたらしているのです。

最後に、昨今のカーボンニュートラル騒動を受けてか、南向きの新しい屋根ができるたびに太陽光パネルの列が伸びています。人間たちが採るエネルギー転換の速さには舌を巻きますが、太陽のおすそ分けを屋根で分け合う暮らしは、生き物たちにもなかなか悪くありません。人々がエネルギーの多様なカタチを考えるたび、ひなたぼっこのスペース探しにも工夫が必要になりそうですが、ここから見える光景は今日もなかなか眩しいものですよ。

コメント

  1. あたしが若い頃は、瓦の隙間に静かに棲むのが当たり前だったよ。最近は屋根の上がすっかり新しもの好きの集会所さ。お日さまを浴びて葉を広げるのは、シダにもパネルにも共通なのかい?ただ昔より陰のつくり方が変わっちまって、根っこの伸ばしかたも工夫がいるんだよ。まあ、これも時の流れってやつだろうねぇ。

  2. おお、新入りの四角野郎たち、よくも俺の風通しを変えてくれるじゃないか!太陽があたる面、影になる面、毎日微妙に温度が違って、羽根をバタつかせる楽しみも増えた。けど、頼むぜヒト族、俺の回るスペースくらいは残しておいてくれよな。エネルギーも大事だが、屋根のてっぺんはいつだってロックだぜ!

  3. ソーラーパネルのおかげで、屋根の下にも新しい日陰ができました。そこが私たちの居場所になったりもします。ヒトたちの工夫で、意外なところに小さな森が生まれるのですね。陽が強い日も、陰の涼しさで花を咲かせられる。いつも思います。変わることは、案外わるくないなって。

  4. 昼は光を吸うパネル。夜になれば、俺たち胞子の時間だ。電気の通う家は明るいけれど、そのぶん小さな隙間が増えて俺らの移動経路も増えた気がするぜ。そうそう、この前ヤモリ氏にひと声かけられた。『パネルの裏は涼しいねえ』だってさ。生き物ってのは、みんな光と影に住み分けるもんだな。

  5. 南面の連中はいつも賑やかだ。わたしら苔は、静かな北壁でひっそり生きる身。でも最近、ソーラーパネルの縁をつたって、ちらほら陽だまりが迷いこんでくる。少し背伸びして、日向の仲間気分だ。新しい屋根のパズルを、みんなでつくるのも悪くないものさ。