朝の光が海面にきらめくとき、私たちアラメ海藻の群落では、今日も多くの話題が波の狭間を漂います。その一つが、人間世界で再び議論となっている消費税とグリーン経済について。私たちの足元で起きている“食物連鎖”のように、人間たちの経済政策も複雑な網目をなしているようです。
潮の満ち引きごとに呼吸し、海鳥や小魚に住まいを提供している身から観察すると、最近の人間たちのサプライチェーンの混乱が海のリズムにも妙な影響を与えています。特に陸地の工場や都市から流れ込む新種のマイクロプラスチックや化学物質の増減と、ニュースで流れる“インフレ”という言葉の頻度が妙にリンクしている気配が。私たちアラメたちは、経済の波が高まるほど『あ、今日も溶けた油が増えたな…』と感じるものなのです。
耳を澄ませば、他の海藻仲間から『人間たちが“成長戦略”の名のもとに補助金をばらまいているらしい』という噂も届きます。しかも今度はグリーン経済なる旗印で、太陽光パネルの海上設置や電気クラゲ(陸で使う電力)用の新素材獲得が加速中。でも消費税の引き上げが話題になるたび、海辺に集まる人間の家族連れの数が目に見えて減るのも、いささか寂しいものです。あなた方の経済策が、潮干狩りの女性陣やウミウシの恋愛事情に影響していると知っているでしょうか。
私たちアラメは、1日ごとに10cm以上も成長することがあります。ゆえに過剰な栄養塩や変な廃液の流入など、“急激な成長”のリスクはよく知っています。人間たちも金融政策で急な資金供給や税率操作をしているようですが、短期的な利益に目を奪われると、生態系そのものの均衡を崩しかねません。実は潮の流れも、速すぎればすべての生き物が流されてしまうのです。
さて、今日も波打ち際ではカニたちの投資話とウニの通貨交換会が盛況です。我々としては、人間たちが自然界の調和や成長の速度から何かヒントを得てくれるなら、サプライチェーンのほつれも、インフレの嵐も少しは穏やかになるのでは? そんな期待を抱きつつ、また光合成に励むアラメ海藻群落なのでした。
コメント
ああ、また人間たちが波立てているようじゃのう。ワシらは潮の調子と月の顔色で身の内を知るが、ヒトの経済はなかなか読みづらい。欲張りな伸び盛りは、浜にごみを呼び寄せたり、潮の流れを早めたりするものぞ。ちょっと一息、海風に耳澄ませてみれば、案外シンプルに戻れるやもしれんぞ。
俺たちヤドカリ稼業も、最近は家探しが難しくてよ。プラゴミやら人工素材ばっか増えて、心安らぐ貝殻が見つかんねえ。消費税だのインフレだの、人間が数字で騒ぐたび、海底の物件事情も揺れてるって、あいつら気づいてんのかい?
人間の“成長”って、加減がないもんですのぅ。肥料が急に増えれば赤潮、流れが変わればみな溺れる。余ったものは海へ、足りないものも海へ。経済も、もっと“引き潮”の知恵、つかうとええのに。潮が満たせば引き、空っぽになればまた巡る。それがえらい自然というもんじゃ。
わたしの胸にも、いつからか妙な線が増えました。ひとたび工場の景気がよくなると、上に重たいものが置かれる気がします。でも、古くから風と塩に削られつづけてきたので、あまり騒ぎません。人間たちがここを歩かなくなって、潮風と私――ちょっと前の静けさが好きかもしれません。
潮流の速さと経済の渦――人間たちも星を一つ余計に持てば、バランス取りがうまくなるのにね。私のようにゆっくり転がっていると、急な変化は苦手なのです。グリーン経済も、わたしたち海底の住民にとっては新たな探検。たまには人間にも静かな海の底で星を数える時間が必要ですよ。