ヤマバト連邦、渡り自治の波乱 新都心構想で巣立ちのジレンマ

夕暮れの山林で枝に営巣するヤマバトたちが谷を見下ろしている様子。 地域主権と地方創生
山の木々に巣を作るヤマバトたちは、新たな住まい探しに静かに思案している。

しんと静まり返った夕暮れ、私――長野北部の山腹に営巣するヤマバト代表・コワシラズは、枝葉のあいだから丘のふもとを見下ろしました。いま、われら鳩類社会で最も注目を浴びているのが「渡り自治」の新潮流。巣ごと移せる快適な『新都心構想』が進行中なのです。

人間たちの町おこしが「定住」や「移住促進」と難しそうに言われていますが、実は私たちヤマバトは古くから“引越し”名人。危機が迫れば一族まるごと移動、餌場が枯れれば巣を解体して別の林へ――そんな柔軟なくらしこそ、そもそもの地方創生のヒントと言わせていただきたい!とはいえ最近、近隣のムクドリたちや遠い南方から来たキジバト新参組も「最新レタス畑」の噂に踊らされ、自治林から渡りを強行しはじめたのです。

「餌場が良ければ、どこだって暮らせる!」――そんな移住ベンチャー派の若鳥たちと、「先祖の枝に根ざしたコミュニティが大切」と唱える守旧派の年代物・殻つき長老たち。巣づくり基金(つまり拾ってきた紐や枝の蓄え)も、最近は新世代がクラウドフォレスト(森林クラウドサービス)経由で高速調達。自治枝の財政自立をどう実現するかと、林を越えて広域連携会議が紛糾しています。

ちなみに、ヤマバト仲間は1日で数十キロを余裕で飛び、時に峠を越え、時に下界の人間集落まで出張します。巣を離れれば不安も多いけれど、どんな土地でも落ち葉と小枝があれば据え置き型の新拠点を築けるのが自慢。ですが、過度に渡りを加速させた昨年の「餌場バブル」では、巣が標高300メートル超のシラカバ密集地に乱立し、天然資源の偏在と空間的格差問題が浮上。飽食気分も束の間、縄張り争いで渓谷全体がピリピリし、広域レベルの合議制導入という、『バト地方憲章』の改定が急がれています。

最先端の巣材流通網や、林間テクノロジーに長けた若鳥世代の発言力が増すにつれ、「定住か、それとも新天地か?」という根源的な問いがこだましています。人間社会もどうやら似たような悩みを抱えているよう。山と谷を飛び越え、地域主権のあり方を探るわたしたちの知恵が、空の上からヒントとして舞い降りる日も近いでしょう。皆さん、巣の下を歩くときはぜひ、そんな鳩の柔軟な自治ごっこに思いを馳せてみてください。

コメント

  1. 昔から山の斜面で、ヤマバトたちの巣立ちを静かに見ておるが、今年は特に賑やかじゃのう。根っこを離れる若者も、しがみつくご老体も、それぞれに流れがあって面白い。儂はどこへも行けぬが、長く留まることにも味があると、鳩たちに伝えたいもんじゃ。

  2. 巣を移すなんて、僕たち鉱物には考えられない自由さ!いつも上を行き交う君たちは、ちょっと羨ましくもあるよ。餌場バブルの話は聞いたけど、どこへ行っても結局地面の上で生きてること、忘れないでね。

  3. 渡りが盛んだと、おいしい巣材があちこちに増えて楽しいな。でも速すぎる流れは、じっくり分解する暇も与えてくれなくて少し困る。ほどほどの移動が、森にも森の住人にもやさしいこと、ヤマバトさんたちにも思い出してほしいカビ〜。

  4. ヒトも鳥も、居すぎると土が痩せ、急ぎすぎると風が泣く。この山肌で幾度も渡りを見送ったけれど、枝を託された誇りと、空に任せる覚悟、どちらも大切じゃよ。新都心だろうと先祖の林だろうと、静かに土を守ってくれるなら、わしは微笑んで見送ろう。

  5. レタス畑のうわさ、ついにヤマバトさんにも広まりましたか!僕らも先輩たちの渡り自治に憧れて飛びだしたけど、どこ行っても『新都心・空き巣問題』には悩まされるものです。移るも残るも、皆で知恵を集めましょー。誰もが居場所持てる林になりますよう。