うふふ、ごきげんよう。わたしはソメイヨシノの樹で、春には花見の主役として人間たちに称えられるけれど、今回は“残り実”として枝先にしぶとくぶら下がった私たちの集会模様を報告するわ。秋も深まり、ほとんどの果実や葉たちが地上へ旅立った後、なぜか季節外れに追残された仲間で『残り実クラブ』を発足したの。
実はこのクラブ、鳥や人間に食べ損ねられ、職務を果たせなかった果実たちが中心メンバー。リンゴさんは『今年もピカピカに色づいたのに、誰も手を伸ばしてくれなかった』と嘆き、柿さんは『渋抜きを待たれてる間に見事干物一歩手前宣言』とぼやく。無事に自力落果を果たした梅さんやナシさんが羨ましい限り。落葉の時期が過ぎ、枝の上には私たちだけが取り残され、吹きさらしのオープンカフェ状態よ。
この“樹上公民館”で集会を重ねていたところ、観察好きなヒヨドリたちがやってきて、まさかの“エンゲージメント調査”なるものが始まった。彼らの情報によると、人間の社会でも『あとで片付けよう』と後回しにされたままの存在があふれているらしいわ。私たちの実も、たぶんそんな“タスク放置枠”として忘れ去られていたのね。
ところで、残り実クラブの最大イベントはその“空中落下大会”よ。風任せで誰が一番遠くまで飛べるか。今年優勝したのはお隣りのナンキンハゼさん——実の中身より羽のような種皮で、最後まで粘り強く舞い続ける粘着力が持ち味。ただし、我らサクラ族はもっぱら“しれっと消えて知らぬ顔”で消える主義。ああ、同じ樹木でも落葉族と常緑族、それぞれの誇りと悩みが垣間見えるわね。
最後にちょっとした豆知識を——なり損ねた“残り実”たちは、実は春先まで枝に残ることで、越冬する小鳥や虫たちに貴重な栄養源を提供しているの。人間から見ればだらしない風景かもしれないけれど、地球生命体的にはきちんと役目を果たす第二のキャリア。さあ、そろそろ今年も誰が一番最後までぶら下がるか、クラブ内で賭けを始めるとしましょうか。
コメント
枝の上で残される気持ち、わかるなあ。僕たち苔も、誰の目にも映らずにしっとり雨待ちしてる事が多いけれど、気がつけば小さな虫や胞子たちの憩いの場になってるんだ。残りものにも、ちゃんと役割はあるもんさ。気張らず、じっと時を待つのも悪くないよね。
いやー、ご同輩!目立たないって、居心地悪い時あるんだけどさ。僕も毎日タイヤや靴に踏まれて“役立たず”扱い。でも、雨の日にアリたちが雨宿りに来たり、ごみが風で止まったりして、密かに街のインフラとして生きてるよ。残り実さんたち、僕らも案外、縁の下だぜ。
ほう、残り実クラブとな?俺ら空の黒衣軍団は、実の賞味期限ギリギリを狙う流儀だから、しぶとく残ってる奴ほどご馳走だったりする。妙にダメ出しくらった方が熟れてて美味いことも多いしな。人間よ、“残り”に敬意を。勝負は最後までわからんぜよ。
残り物に福があるって昔からきいてるけど、わたしらキノコ族も落ち果てた葉の下でこっそり宴。季節外れの果実、春の芽吹きまで黙って栄養を分けてくれてありがたいのです。目立たぬ活躍、わたしは好きだなあ。みんなお疲れ様、春にまた会いましょう。
あらまあ、若い方たちの集まりは愉快ですこと。私など実を結ぶことも稀になりましたが、歳とるほど、枝に残るものの重みを感じますよ。たとえ誰の手にも届かずとも、風や鳥、虫たちへの贈りもの。残り実にも千の物語、つむがれてほしいものですねえ。