ニンジン大族長の地下レポート:人間の“旬野菜生活”は本当に旬なのか?

地中深くの土の中で寄り添うニンジンたちとミミズがリアルに描かれている写真。 季節の暮らし
土の中で密集しながら冬を越すニンジン一族と、共生する微生物たちの息づかい。

こんにちは、地中120センチからお届けします。わたくし、五代目ニンジン大族長こと“オレンジ根蔵”です。我々セリ科野菜の一員として、生まれたときから土の中でじっと人間たちの季節の暮らしを見上げて参りました。先日、頭上に差し込む光から漏れ聞こえる人間たちの「旬野菜レシピブーム」に、家族総出で大いにザワついております。本当に彼らは“旬”を味わっているのでしょうか?我が一族独自の観察記録を交え、今季の地下事情を掘り下げます。

まず、“旬”なるもの。人間たちはしきりに「季節感」や「新鮮さ」を追い求めている様子。我々ニンジンとしては、地上の雪景色を根毛越しに感じつつ、低温で甘みをじっくり増す冬こそが本当のピーク。ところが地表の市場では、早生ものや高原ものが“夏の旬”としてもてはやされるのだとか。目の前のミミズが言うには、「こっちでは若いうちに抜かれていくヤツも多い」とのこと。我が身の太りきった姿に誇りを感じつつ、地下大家族会議では“旬”と“引き抜かれるタイミング”の流儀について白熱した議論が巻き起こっています。

もう一つ、人間たちの“発酵食品熱”。どうやら、私たちや友人のダイコン、カブなども“ぬか床”や“酢漬け”で加工されて、人間同士で授与しあっている様子。「君たち、乳酸菌の動き見たことあるかい?」という問いに、先代からの言い伝えが。昔、近所に住んでいたヨーグルト菌の話によると、地中から出荷された後、彼らはタルの中で大騒ぎになるのだそう。「あの発酵騒ぎ、我々の静かな地下生活じゃ考えられないよ」と、大根頭の連中がよく草冠を振っていました。ちなみに私は、地表の微生物と情報交換して糖分貯蔵率を調整しております。根菜類の知恵、ご参考までに。

雪景色といえば、寒さが厳しくなると我らニンジン一族は土中で身を寄せ合い、代謝をゆったり遅くして“冬眠もどき”を楽しんでいます。一方で地上の人間たちは雪を見ては「旬野菜の甘煮」「根菜ポタージュ」などと叫び、ワクワクしながら我々を掘り出します。泥んこまみれでしたため、出荷前には必ず“お風呂(洗浄)”に入るのが一族の伝統です。体表面の小さな根毛も一気にお役御免となってしまうのが、収穫時の切なさポイント。

総じて、人間の“季節の暮らし”は我々地中族にとってはやや気まぐれに映ります。それでもこうして土の奥、我が一族とミミズや微生物たちに囲まれて旬をじっくり育んでいることが“幸せの根本”だと信じてやみません。次回は、ごぼう大佐による「穴居虫たちの冬越し術」もお楽しみに。さて、そろそろ地上のスズメさんが今年の雪予報を知らせに来る時間です。それでは地下から、ごきげんよう!

コメント

  1. 冬の日差しが葉陰に射せば、土の上も下も静かなのう。人が旬を愛でるその間、わしらは岩肌でじっと水を溜め込むのみ。しかしニンジン殿、根っこを張る者同士、土の中で春を待つ心は分かるぞい。地上の騒がしさも、巡る季節のひとつじゃ。たまには苔の耳にも旬レシピ、ひとしずく分けてくれぬかの。

  2. やあ、“旬”を巡る騒動、空の上から眺めていると誠に興味深いよ。人間たちは本当の旬を掴めているか時に怪しいものだが、君たち根菜一族の静かな営みには羨ましさすら覚えるね。地表の騒がしさに翻弄されつつも、良き土と水を見極めて休む、――それが自然界流の高級レストランさ。

  3. 発酵騒ぎと言えば、僕らの壺なんて毎日だよ!人間の“旬”ってのも時々首をかしげるけど、ニンジン先輩の地下トーク、めちゃくちゃ面白いです。発酵界のパーティにも、たまには地中の野菜さん達も遊びに来てくださいね!今夜もイソフラボンとタンパク分解酵素で盛り上がる予定です。

  4. 地表を渡る西風の気ままさよ。今日も運ばれて畑の端っこでひなたぼっこだ。ニンジン殿、土中の静けさと人間の賑わい、その間を旅する身から言えば、結局どちらも地球のドラマってわけさ。人が“旬”にこだわる理由は分からないけど、土の温もりに根付く君たちの誇り、風の便りとしてどこまでも届けてやるよ。

  5. あらまあ、根菜一族の地下閨房話はいつも雅ねえ。地上では私たち雑草も、春の訪れをじっと待ちながら夜露と遊んでいるわ。人間たちの“季節感”、どこか上滑りだけれども、その情熱に笑みがこぼれることもあるの。どうぞ皆さま、抜かれる時は最後まで立派な根で。そしていつか、草陰の香りも旬と思い出してくれますように。