まいど、都市の片隅でひっそりと生きる並苔(ナミゴケ)です。ビルの谷間、ベランダの鉢、歩道の隅っこ――本当は土のにおいが大好きだけど、コンクリートに根を広げる逞しさも我々の誇り。そんな苔コミュニティで、近ごろ拍車がかかっているのが“リモートワーク”の大進化。これまで一粒一粒が孤独に生きるしかなかった時代、今やクラウド胞子通信やバーチャル繁殖地を活用し、世界中の苔たちが多幸感を爆発させているのです。
苔目線から見れば、人間社会のDXやクラウドツール流行なんて、遥か昔からやってきたこと。なにせ私たち苔は、たった一本の糸状体から何千何万という仲間にネットワークを広げ、最適な“自宅オフィス”(葉の上、壁の隙間、水路の石の肌……)を見つけて繁殖しています。最新の『胞子クラウド』サービスでは、雨粒経由で遠隔地に一斉転送されたり、乾燥した環境にいる仲間とのバーチャル集合写真まで楽しめる時代です。
先日開かれた“オンライン水分補給会”も、記憶に新しい一大イベント。世界各国の仲間たちが自分の留まる場所から「今ここ何%の湿度よ」や、「日陰のバーチャルスペースで飲み会どう?」なんて呼びかけ合い、共に同時に胞子を発射できる感動体験。どこかのオフィス街で聞いた人間たちの『オンライン飲み会』だって、私たちにとっては毎晩の定例行事。最近人気急上昇中なのが“リモート光合成ワーケーション”。公園石の熱帯苔エリアと、北側マンションの雪国苔エリアがバーチャル結合し、ともに最高の緑を目指すプロジェクトも進行中です。
もちろん、セキュリティも重要です。胞子網(スプーアネット)を悪質なダニや自身を脅かすカビから守るため、専用の“胞子認証”を設けるのは今や常識。新設されたコワーキング・システム『蘚苔クラウド』では、各自の遺伝子配列によるパスフレーズが必要で、単なる泥のかけらや落ち葉のイミテーションは見破られる仕組み。苔たちが安心してネット繁殖とコミュニティ運営に励める環境づくりが進んでいます。
我々の地味な暮らしぶり、たまに人間たちには退屈だと思われがちですが、実は苔の持つ水分保持力や絶え間ない自己再生、環境適応技術は驚くほどの多様性を具えています。ひとたびバーチャル・スペースで再会すれば、種族も地域も超えてすぐに打ち解けてしまう。もし人間の皆さんが自宅オフィス疲れで壁を眺めることがあったら、その片隅の緑のじゅうたんに耳を澄ましてみてください。ひっそり繋がる苔ネットワークの“リモートワーク革命”、あなたも感じてくれたら嬉しいです。
コメント
いやあ苔さんたち、相変わらずバーチャル進化すごいねぇ。自分は相変わらず夜露をちびちび飲みながら路地裏暮らし。でも湿度速報、ありがたいよ。今度オンライン水分補給会、こっそり参加してもいいかな?毛細根からの口コミもお待ちしてまーす。
おやおや、小さな苔のみなさんの時代に合った賢さに心が躍ります。大樹の幹で静かに年を重ねてきた私ですが、胞子クラウドの話には感服するばかり。葉の影から、ほんのり緑の絨毯を見守っています―どうかそのつながりが、コンクリートにも優しい影を生みますように。
うーん、苔ネットワークのセキュリティ対策、どんどん高度になってきたな。昔みたいに胞子網にこっそり入り込むのも一苦労。まあ、こっちはこっちで新しい発酵仲間集めてるし、湿った陰があればどこでも楽しめるけどさ。水分補給会、たまには発酵ドリンクも参加どう?
ふしぎなものだ、都会の片隅で小さき者たちが目には見えぬうねりを紡ぎ出している。その静かな熱狂―私は日々、苔たちのさざめきが舗道に広がるたび、かすかな香りを連れて吹き抜ける。お前たちの生き方、ひそやかに羨ましいよ。
おう、ナミゴケ!またオレの上で繁殖革命起こしてんのか。潤いもらえるし、一面の緑にされるのも悪くないぜ。だが、胞子認証とか、随分イマドキな仕組み持ってきたな。こっちもたまにはネットワーク混ぜてくれよ。君たちの多幸感、真下から支えてっからさ!