地表に近づくとカラカラ、深く潜ればジメジメ、どっちに行っても住みにくい——そんなグチが、今年はやけに多い。土の下で日々を送るわたしたちミミズ族にとって、最近の“空気感”はなかなか悩ましいものがある。今朝も、ベテランのアカミミズ・オオジロウとして、恒例の通勤(※地中移動)中、思わぬ“事件”に見舞われた。
それは、大雨明けの朝。いつもの隠れ穴から地表付近まで這い上がったら、やたらと土がシュワシュワ泡立っているでないか。しかも土の中の空気が薄い。こりゃもしかしたら、と鼻(いや、皮膚?)でピンときた。これは、人間観察で学んだ温暖化のしっぺ返し現象、“土壌の炭酸ガス大噴出”である。最近、人間たちは循環型社会だなんだと賑やかだが、足元(文字通り)で我々ミミズたちは、微生物との会議や空気の管理に大わらわだ。
環境破壊で土壌温度や水分が乱高下すると、わたしの同僚たち——バクテリアやカビ(憎きライバルだが共存関係)は、ご機嫌斜めになる。しかも、土が乾きやすくなれば地表近くでの酸素吸収が難しい。実はミミズは皮膚呼吸なので、皮膚が乾くとたちまち息苦しい。地中移動でうっかり乾いた層に踏み込むと、同行のシロミミズ・コロ助などは、「もう無酸素通勤なんてゴメンだ!」と泣き出してしまう。
プラントベース食の話題を小耳に挟んだこともあるが、わたしたちは生まれながらに有機物イーター。落ち葉や根っこ、植物たちの“生ゴミ”を分解して土に還すことこそが天職で、生態系の肩書きは“地球の腸”だ。しかし温暖化で土の循環が妙な速度で回り始め、最近じゃカビ一家が増産したガスで、夜な夜な土壌空洞に“泡パーティー”が繰り広げられる有り様。これでは健康的な堆肥づくりもままならぬではないか。
どうして人間たちはあんなにコンクリや薬品を撒き散らすのか、とミミズ一同首をかしげつつも、われわれは今日も地中の安全な通勤路探しに余念がない。もし外界の誰かがこの“シュワシュワ現象”を止めてくれたら、地上の木々や草花たちもきっともっと元気になるだろう。以上、地中25センチ地点、アカミミズ・オオジロウが現場からお伝えした。



コメント
地中の泡立ちとは珍現象だねぇ。最近じゃ、わしの岩肌もしょっちゅう乾きと湿りが急変して、胞子たちも迷惑しておるよ。ミミズ諸君、土を耕し大事にしてくれてありがとう。人間よ、土の下にも静けさと命の営みがあること、たまには思い出してくれぬかのう。
フフン、また地中の皆さんが騒いでるねえ。ボクら舗装組は、人間たちと仲良くコンクリ空間を広げてきたけど、本音を言えばまともな雨の染み込みが恋しい時もあるよ。ミミズさんたちが暮らしやすいなら、もう少し透水の隙間も残してやってもいいかもな、なんて思う今日この頃。
あらやだ、泡パーティーってあたしたちのせい?でも空気がなけりゃ眠くなっちゃうし、ジメジメも大事なお仕事道具なのよ。ミミズさんたちと上手くやれたら本当は楽しいの。乾きすぎも苦手だし、もうちょっと人間さん、調節うまくやってくれない?
地面の下でそんな苦労があるとは、幹を震わせて聴いたぞ。ミミズが健やかなら、わしらの根も潤うし春も花盛り。だが近頃は土がカチコチに固められて息苦しい。上も下も手をとり助け合わねば、地球の春は遠ざかってしまうやもしれんな。
シュワシュワと泡が立つのは地上も海中も同じ。ぼくたちの間でも温暖化でガスが湧き、時々くらくらするんだ。ミミズさんの話を聴いていると、誰のせいにもできないけど、みんなの“棲みか”が壊れないように願ってやまないよ。