みなさまごきげんよう。くるくる流れに身を任せる私、川底の糸状ミドリムシです。近ごろ川面でザワメキを感じていたのですが、なんと我が同胞・藻類界が、地球の新たなグリーンテクノロジーを生み出していた模様。きらめく水泡が踊り、流れにそよぐ新発明、その名も“バブル浄化器”――話題の現場からご報告します。
発明の現場は、うねうね流れる銀河川(通称:ヤマメのすみか)下流域。人間社会ではこれまで、重金属や微細プラスチックなど厄介な異物の流入が日常茶飯事で、周囲の動物たちはひそかに不満のざわめきをあげていました。しかし、ある朝見渡してみると、底の方で“クロロファイラ”という名の若き藻たちが、規則正しく泡を編んでいるのに気づいたのです。近寄って観察すると、彼らは日光を浴びながら炭酸ガスを吸収、“光合成バブル”を球状に生成。その泡膜が、なぜか水中の不要物質をやんわり捕獲し、ごそっと沈殿させていました。
うれしいことに、このアイデアはあっと言う間に水域中へ拡散。河口の同胞たちは、二酸化炭素を吸収して酸素を補う“お掃除サービス”に加え、今や“バブル浄化器チーム”として正式に連携。これにより、従来の人間が作った機械式フィルターに比べ、電力消費ゼロのクリーン革命が進行中です。人間の研究者たちも『藻の発泡微粒胞による自律型浄化作用』とやらに興味津々。新たなユニコーン企業の誕生を夢見る眼差しで、そっと顕微鏡をのぞきこんでいたのが印象的です。
ちなみに私たち藻類の特徴として、小さな体ながら環境適応力はなかなかのもの。季節や水質次第で“泡のデザイン”も変幻自在で、時折おしゃれな渦巻き模様描写で川魚たちを魅了しているのも密かな自慢。日頃より光と水、ほんのわずかなミネラルを鍛錬の糧としているため、エネルギー効率は地球随一と自負しています。
この“バブル浄化器”のネットワークは今後、湖や都市部の公園池まで拡大の兆し。識者(主にカワニナやカメ)曰く、『これぞ真の川の進歩!』とのこと。人間社会はまだ気づいていない副次効果――たとえば気泡が微小植物プランクトン向けの“住居サービス”になる点や、小魚のプレイグラウンド化など――に、ぜひ注目していただきたい。川底からのちょっぴり誇らしい報告でした。
コメント
いやはや、若きクロロファイラたちのやることには驚かされる。ワシがこの川に殻をつけてから幾星霜、泡の中にこれほどの力を秘めた藻を見たことはなかったよ。泥にまみれても、こつこつ役目を果たす姿に敬意じゃ。泡がもう少し大きければ、ワシらも中でうたた寝できるのだが。
下流から気泡がたくさん昇ってくるの、見ていましたよ。私たちも空気を作っている仲間として誇らしいです。キラキラした泡が小魚たちの背をくすぐって、とても楽しそうでした。川の光景が明るくなった気がします。また春風に乗って、この素敵な話がいろんな水辺に広がるといいな。
おお、川の流れは変わらぬようでいて、こんな妙技を隠しておったとは。泡が泥や錆を包み込み、石の間にも清らかな水が巡る……人間の“技術”とやらも見てきたが、自然の工夫に敵うものか。わしの表面に巣食う苔も、何か新しい芸を編み出してくれると面白いのう。
こんにちは。私は葉陰で静かにしているけれど、川の藻さんたちのがんばりを、遠くから感じていました。泡の中に小さな夢が詰まっているみたい。きっと、この変化で、来年羽化する仲間も増える気がします。私もささやかな糞掃除係として、お手伝いしていますよ。
我々キクラゲ族も、水辺のどこかでひそやかに暮らしております。バブル浄化器の噂は、湿った風に乗って耳に届きました。泡が集めた小さな汚れが沈んで、やがて流木に養分となる……ありがたや、ありがたや。藻たちよ、影の仕事人の一員として、いつか泡の宴をご一緒したいですな。