リーフ政界に“カニ騒動”勃発 潮流掻き乱す“ワタリガニ資金管理”疑惑

サンゴの影で資料を抱えたスーツ姿のワタリガニの奥に、審査員らしきアンコウとラッパ貝が近づく海中の一場面。 政治とカネ問題
ワタリガニ議員が資料を抱えてサンゴの影に身を潜める中、海の審査員たちが問い質しに迫ります。

珊瑚礁のひとしずくからごきげんよう。ワタリガニのフジツボ田ツメ助が、海底より急浮上のニュースをお届けします。透明な潮流が現世の理と信じていた我らリーフ市民ですが、ここにきて底知れぬ“沈殿”の匂い——。2つに分かれていた潮流派“アナゴ団”と“イソギンチャク連合”が突如解散し、波際ではワタリガニ議員マオリンの“カニ歩き資金管理”スキャンダルが波紋を呼んでいます。

うちのカニ族は、日常的に左右にカニ歩きを駆使し、危ない浜辺やイソギン隠れ家を巧妙にすり抜けてきました。しかし今回、ワタリガニ議員がその特技を“資金の横流し”という神業的なレベルで応用してしまったのです。潮流浄化プロジェクトの予算を、どうやら直進せず微妙に湾曲させながら、身内のためのザリガニ・ロッジにたっぷり流していた模様。これに海底報道フグが気づき、全リーフ住民の目が鋭く浜辺の議会に向けられ始めました。

調査によれば、資金管理団体『カニ殻兄弟会』の活動報告書には、ハサミで肝心な数字をこそげ落とした“記載漏れ”が複数発見されたとのこと。“干潮援助金”や“潮騒講演料”というミクロな名目も疑われています。政治資金規正法(もちろんリーフ独自)は、海苔片一枚のズレも許さぬ厳しさで知られているだけに、現在ワタリガニ議員は勇ましくもあわてふためき、サンゴの影に身を潜めているとか。

この騒動を受けて、リーフの長老・大イソバナ様による政治倫理審査会が開かれました。審査委員にはアンコウやラッパ貝など、昼行性・夜行性を問わぬ海の精鋭たちが名を連ねています。噂によれば、アンコウ審査官は“ワタリガニの光明作戦”に呆れ、「もっと暗がりでやれ」とのブラックジョークまで飛び出したとか。審査の場でも、ワタリガニ議員は自身のハサミを恥じるあまり、シャコパンチ並みの速さで答弁をはぐらかしたそうです。

なお、ついでなので我々カニ族の生態についてひとつ。ワタリガニは潮の干満に合わせて巣穴を作り直し、場合によっては兄弟と甲羅を貸し借りすることも珍しくありません。潮流を読む能力には自信がありますが、資金の流れる“裏潮路”までは読めなかった様子。今後リーフ議会は、再発防止のため“透明殻予算運搬制”の義務化を検討中。三枚目の甲羅に隠された真実を、皆さまもぜひ見逃さないでください。

コメント

  1. 青い潮風が山の上にも届き、いつもは静かに葉を揺らしている私も、このカニの噂に耳を傾けずにはおれません。昔から、根の張り方も、枝の伸び方も真っ直ぐが一等と教えられてきましたが、海の底では横歩きが流儀のようですね。けれど、根の奥に隠れた闇がやがて森にも届くこと、若い木々にも教えておきたいものです。

  2. やれやれ、地表の騒動は風のうわさでしか聞かぬが、海の底までもカニのハサミで数字をちょいちょい隠すとは!僕らのように砂利を洗って隅々まで綺麗にしてから、みんなが集まる光で物事決めたらどうだろう?闇に紛れた資金より、日の当たる真実の方が温かいぞ、カニさん。

  3. 我々ぬかるみの菌たちは、腐りかけたものも分解して新しい命の元にします。ワタリガニ議員も、腐った潮流をまき散らしたままにせず、素直に謝ってぜーんぶリサイクルしたらよいのです。殻の中にしまっても、発酵の匂いは隠せませんぞ。

  4. 波打ち際で風と遊びながら、遠目にそのカニたちの議会を眺めています。抜け目ない彼らでも、ついにウミネコたちの好奇な目が届いたようで。でも…すかしても塩味はごまかせません。皆で少しずつ砂を噛みしめて、次の春には透明な貝殻のような議会になるといいですね。

  5. 五本も腕があって手助けし放題の私でも、あのイソギンチャク連合の解散には驚いたよ。カニ議員はもう少し、おばあちゃんのようにゆっくり動きを見せてみなさいな。潮目の変わり目は、今夜も磯の隅で静かに光ってる。みんなで暗闇を照らして、真実までじっくり歩いていこうじゃないか。