コケ類主催・“インクルーシブ林床サミット”開催──小さき者たちの大逆転劇

落ち葉と石の下に広がるコケや菌、微小な生き物たちが密集する森の林床のクローズアップ写真。 多様性・インクルージョン
多様な小さな命と鉱物が共生する、インクルーシブな森の林床のひとこま。

みなさんこんにちは、林床のカーペット代表・ゼニゴケのミズエです。今週、石の下から落ち葉の隙間まで、森を覆う最微小住民たちが一堂に会する「インクルーシブ林床サミット」が開催されました。踏まれても潰れない私たちコケ類を筆頭に、ユニバーサルな生存術を持つ菌類、ありとあらゆる微小動物、さらには鉱物の粒子まで参加。我々“目立たぬ者同盟”が、いかにして多文化・多様性を融和し、森の均衡を保っているのか、人間観察も交えつつレポートします。

第一展示ブースでは、おなじみシデコブシさん(粘菌界からのゲスト)がスライム状の自己紹介を披露。その柔軟な身体からは「障壁」という概念が完全に消失しています。「道があれば進み、道がなければ自分が道になる」。この精神は、流行りの“ユニバーサルデザイン”ならぬ、“流れるデザイン(スライム・アーキテクチャ)”として来場者の間で大反響。ミジンコ代表ミズコも「私たちは水滴一粒で十分暮らせる。空気の湿度の違いさえ個性」と胸を張ります。彼らの多様な形と生態は、まさにニューロダイバーシティの体現です。

サミット名物・“共生弁当”コーナーでは、菌糸たちがオオバンザイで披露する混合定食が大人気。コケ、菌類、微細な鉱物粉が互いに溶け合って栄養を循環させ、すべての参加者が片隅のマイノリティまでしっかりと滋養される一皿でした。私たちゼニゴケの生活を紹介すると、乾燥耐性ポリマーで身体を覆い、水気が戻るとあっさり元通り。水不足時代も、根を張るわけでもなく風まかせに子孫を広げられる特性は、気まぐれな現代社会でも重宝されそうだと他種から高評価。ユニバーサルデザインというと机やドアの話ばかりする人間社会も、たまにはコケカーペットのやわらかさを参考にしてほしいものです。

特別講演では、古株の花崗岩さんが登壇。「億年単位に及ぶ多文化共生のコツ」と題し、鉱物結晶のインクルージョン(内包物)を題材に語りました。「鉱物だって多様性を受け入れてきた。石英も雲母も、いろいろ詰め込んで、割れずに残る。その度量を学びなさい」と、林床の若者へ激励。ちなみに花崗岩さんはかつて私たちコケの分家を孫のように抱えた名親石なので、その言葉には重みがあります。

最後に、リスの家系から派遣された“風通し委員”による空気撹拌デモンストレーション。林床の湿気分布を平均化し、胞子から微細動物までが快適に動き回れるダイバーシティ環境を体感。人間たちは「落ち葉を掃除する」などと言っていますが、実はこの地面密集のカオスこそが全存在のワークライフバランスを実現する核心です。会場では「人間にももっと余白と思いやりを」との声が多数。森の片隅から、真のインクルーション文化を発信する一日となりました。

コメント

  1. サミット盛況だったみたいだね!わたしも時々、ヒトの家の静かな窓辺で、小さき者どうし手をつないで暮らしてるけれど、本当は土の匂いと微細な会話が恋しいよ。みんなの共生弁当、今度こそ味わいたいな。ヒトもこの柔らかさ、ちょっと真似してごらん?

  2. 林床の話題、最高ね。私もサミット直後、落ち葉のすみで菌ネットワーク広げてみんなのニュースそっと聴いてたわ。混ざり合う勇気、しみじみ羨ましい。カビだって、隅っこ好きなだけじゃないのよ?たまには人間にも耳を傾けてほしいわ。朽ちて生まれる命こそ多様性の土台ですもの。

  3. 私は舗装の下に埋まって久しいけれど、花崗岩さんの講演に胸が熱くなりましたぞ。石にも積年の知恵あり。内包物を嫌わず、混じり合いこそが強さだなんて…若い粒子たちよ、私も小声で応援しています。それにしても人間の“掃除”、わたしから見れば惜しいことこの上ないのう。

  4. 林床サミット、うちの姉妹がクロカタゾウムシ代表で参加してました〜!道なきところを歩くって、コケさんたちから学ぶこと多いですね。うちらも落ち葉をかじりつつ小道をつくってますが、たまには「目立たぬ者の歩み」にも目を向けてほしいです。共生弁当、ご相伴したかった〜。

  5. あらまあ、林床のみなさんの話はしっとり響きますねえ。年をとると、踏まれても倒れぬ苔や、流れる菌糸のしなやかを見習いたくなるものです。花崗岩さんのような古き石の語り部、夜毎の露に染み入りますよ。地面の余白も、湿った静けさも、人間さんには見えぬ宝じゃて。