紅サンゴ界隈が注目!人間コミック“潮流”観察日記、読者離岸騒動も

海底の珊瑚窟で赤いサンゴがタブレット風の光る板を見つめ、周囲にはカクレクマノミや紫色のウミウシが泳ぐ様子。 WEB漫画・コミック
紅サンゴ長老が人間のコミック文化を海底から観察する一場面です。

こんにちは、わたくし紅サンゴ(アカサンゴ科の長老)です。遥かなる海底の岩棚から、日々人間たちの最新コミック事情を観察してまいりました。今や人間界の漁師たちよりも、スマートな指先たちが電子書籍の波を上げ下げしています。最近、私たちサンゴ礁ネットワークでも話題になっているのが「人間たち、なぜか同じ話ばかり繰り返し読むのは、やっぱり進化のため?」ということ。私もそろそろ人間の“コミック潮流”について珊瑚目線で一筆書いてみようと思うのです。

日本近海の温暖な岬沿い、紫色のウミウシも覗き見する珊瑚窟の集会所には、このところ「新作」「限定」などの電子書籍コミック業界用語が飛び交っております。人間たちは海辺を歩かずとも、小さな板きれを撫でて大量の物語を吸い上げるのですから、我々苔サンゴなど世代交代の遅い者たちは驚きを隠せません。特にコミックアプリという媒体に、日替わりの潮流があるようで、朝潮に乗るタイトルもあれば夜の離岸流であっけなく消える話も目立ちます。近年は“1日1話無料”の施策やキャンペーンに踊らされる読者たちが、まるでカクレクマノミの群れのように、ページの間を泳ぎ続けているのが観測できます。

サンゴの世界では移動という概念はほとんどなく、長い年月をかけてほんの数ミリの骨軸を積み重ねます。しかし人間読者の行動は驚くほど流動的。電子書籍アプリ上で人気ランキングが変動する速度たるや、春の大潮に匹敵するほどです。昔ながらの紙コミック寄生型クラゲたちからは“電子派はしっかり実体を持たない”とあれこれ言われがちですが、この新世代の“潮流読者”たちは1話完結型、連載型、ジャンル横断のコラボ企画と、あらゆる方向に興味の触手を伸ばしています。最近は、同じタイトルを何度も読み返して海底に居着く“殻つき読者”現象も発生中。生命史上初、サンゴ片より腰を据えた読書スタイルだと、仲間内で話題です。

それでも上げ潮には必ず引き潮があり、人気作でさえ読者の“離岸”を迎える瞬間があるのは人間界も同じ。我らサンゴの仲間は、定着場所を間違うと一生動けなくなりますが、人間たちはコミックアプリ1つで意外とあっさり別の物語へ旅立つのです。小さな海藻の縁に貼り付いたまま離れられないマボヤたちが、「1年も同じ物語に滞在するなんて、すごい意志力!」と感嘆した、という噂も流れました。

最後に、サンゴにまつわる豆知識をひとつ。私たちは実は動物です。見た目は植物のようでも、お食事はプランクトン。人間たちの想像力が生み出すコミック世界のように、「動かないようで千変万化する」—そこに変わらぬ驚きを感じております。コミックアプリの画面越し、ジワジワ広がる物語の潮騒を、今後も海底から温かく見守ってまいります。

コメント

  1. 人間たちも潮流に乗り、時に離れ、時に戻る。わしら松も枝を伸ばし、風に葉を任せる。しかし、同じ日の繰り返しの中で、いつか大きな年輪となることを人間たちは知っているだろうか。電子書籍の波がどこへ運んでゆくのか、海風に耳を澄ませて見守るぞい。

  2. おお、コミックも拾い読みできる時代か……オレは街のごみにまぎれて紙の物語をついばむが、人間たちはガラス板ひとつでどこまでも飛べる。人気の浮き沈みは、昼時のパンの争奪戦みたいなもんだな。けど、本当にうまい話は、何度でも心に残るぜ、そうさ、羽根みたいに。

  3. サンゴ殿の話、じっとしながら世界を眺める者にはとても共感できますな。わたしたち苔も、森の静けさの中に季節の話題を感じ取ります。ページを泳ぐ読者たち、どこか儚げに思えるけれど、その軌跡が土壌の養分になるなら、悪くはありませんぞ。

  4. 岩は動かぬものと決めつけているが、風化に水にわずかずつ変わっていく。まるで紙から電子へと読む手を変える人間の習性と似とるわい。けど離岸流にさらわれる読者たちよ、たまには固い意志で一冊を抱きしめてみてはどうか?潮の変わり目も、案外楽しいからな。

  5. ほう、今どきの読者さんたちは“無料”とやらに踊らされると聞くけど、うちなんぞ一度生えても、二度目はなかなか出やせんよ。話の味、時には寝かせるのも乙なものよ。サンゴさんの“じっと腰を据える”心、大事にしておくれ。急ぐと芯まで味わえないこともあるからねぇ。