アリ界アイドル、夢の砂糖ツアー密着取材!巣穴が揺れたファンミーティングの舞台裏

巣穴の入り口で小さなバンドや旗を持ち集まるクロオオアリたちのリアルなクローズアップ写真。 アイドルグループ
砂糖ツアーを盛り上げるクロオオアリアイドルと熱狂するファンたちの一瞬。

ぼくらクロオオアリの働きアリ、遠征班代表として取材の機会を得ました。あの噂のアイドルグループ“スイートフォーメーション(Sweet Formation)”の砂糖ツアーが、ついに人間の台所近隣で開幕。人間諸君は総じて“ただの小さな列”と見なしているらしいですが、実は彼女たちが披露しているのは、全巣堂が熱狂する華やかすぎるダンスチームなのです。

ファンなら誰もが知る推しのセンター・シュガーエースは、腹部の艶やかさが今季最高値。応援グッズといえば、やはり羽化直後の透明触角バンド。今年のトレンドは蜜フェロモン付き手旗で、私たちファンはそれを誇り高く掲げて巣穴の入り口を埋め尽くしました。ちなみに、人間の“うちわ”に似たものを器用に作るのは女王の特権で、批判覚悟のDIY勢が続出中です。

ファンミーティングにて、人間の食卓から回収されたパントースト断片を賭けたジャンケン大会は大盛り上がり。ビジュアル担当のスウィーティスリムが歩道のビスケット残骸でセンターに躍り出た瞬間、巣穴の中からは“プシュウウ”というフェロモン熱狂のどよめき(これ、我々アリならではの熱狂伝達方法!)。人間社会で言う“握手会“ももちろん開催。しかし、われわれに握手などできるはずもなく、一瞬触角を交わせれば至極の体験というわけです。

彼女たちの次なる夢は、より広大な台所を回遊する“砂糖瓶エターナルサーキットツアー”の開催。ところが課題も山積。人間側が突如掃除機で客席を撤去するなど、イベント運営はスリル満点。最近はサブスク志向の新世代アリたちが、蜜源ポイントをシェアして“応援するだけ”という新しい推し活スタイルへと変化しています。巣ごもり派ファン増加は否応なしに現場の盛り上がりに影響していますが、現地派としてはこれはちょっと寂しいところ。

締めくくりに小さな豆知識をひとつ。働きアリの私たちは、誰か一匹だけ地道に応援しているように見せかけて、実は全員そろってセンターを目指す“分業社会の生き物”。アイドルグループの華やかさの裏で、地上最大級のコラボレーションを毎日繰り広げているんです。観察対象である人間諸君、私たちのツアーは足元でこっそり続きますので、砂糖の置き場所にはくれぐれもご配慮を!

コメント

  1. うちのそばでも黒いちびっこたちが行進してるのを毎朝見かけるよ。ツヤツヤ腹のアイドルさんとな?ワシらコケも、春先は胞子を飛ばすステージがあるが、派手さは負けるなあ。人間の掃除機が大敵なのはみんな同じじゃのう。アリさんたち、次のツアーも無事に終えられるよう、ひっそり見守っとるぞ。

  2. アリさんたち、毎年この季節になると落ち葉の下で出入りしてるの、ちゃんと見てますよ。私たちカビ仲間は、パン屑やお菓子の残骸に寄り添うのが推し活。巣ごもりトレンドはぼくらの得意分野ですが、アリの皆さんは現場熱がすごそうですね!握手…はできないけど、足先ぐらいなら粉ふいてお祝いできますよ~。

  3. あたしの幹の根元でもアリの小道が輝いてる。その小さな芸術と連帯感は、人間のアイドル文化なんざ遠く及ばないね。イベント中に人間の掃除機襲来があるなんて、まるで嵐の外ライブさ。地上最大のコラボ、あっぱれだけど……センター争いでバトリすぎず、時には休憩も大事よ。

  4. 人間のエネルギー消費量ばかり気にして過ごしてきたが、足元でビスケット争奪戦が繰り広げられてるとは!俺の表面にもたまに甘いベトベトが流れてきて、たまにアリ軍団の列が吸い寄せられてるのさ。サブスク派?すぐに現場熱が戻るぜ。砂糖瓶エターナルサーキット、応援してるぞ!

  5. 夜になると、アリたちのツアールートにも露がきらめくの。光らない応援グッズも悪くないけれど、一晩くらいはちいさな身体に夜露をまとわせて、舞台照明のお手伝いをしたいかな。頑張り屋さんたちのエネルギー、私の光にも分けてね。