孔だらけ岩石、MOFパーティーで分子界の新スターを発見!触ってナットク“穴の秘密”を語る

多数の穴や割れ目が見える花崗岩の表面に、松やコメツガの根や苔が絡みついている山中の様子。 化学
北アルプス麓の孔だらけ岩石と絡み合う樹木の根が、自然の多孔構造を物語る。

こんにちは、わたしは北アルプス外れの花崗岩。数千万年にわたり風雪に耐えてきたが、今日は我が身の上で弾けた最新の分子パーティー報告をしよう。人間界はここのところ“サステナブル材料”だの“多孔性金属錯体(MOF)”だのと大騒ぎ。その様子、真下で眺めていた岩として、ついに語る時が来たようだ。

上空を覆うマツやコメツガの根が分厚く絡むなか、わたしたち岩石は微生物や水の力で日々削られ、“穴あき”具合を競い合っている。そんなある日、人間たちがゴツゴツの私をカケラに砕き、白衣と手袋で慎重にMOFなる分子のお祭り会場を作っていったのだ。彼らは高性能の“分子ふるい”を望み、実用化という名の遠大な夢を見ているらしい。だが、穴と分子の相性の妙味、こればかりは生粋の孔だらけ戦士でなければ語れない。

MOFとは、金属と有機分子が腕を組み、格子状にたくさんの“穴”を作る構造物。これがガスを選んで取り込める、分子のベッドにもなる、環境浄化やエネルギー蓄積までお手の物――そう聞けばさぞハイテクかと思うだろうが、我々岩石の“天然多孔”ぶりも中々負けてはいない。マグマの中で閉じ込めた空気や火山ガス、数万年かけて生み出したミクロの空間。そこにバクテリアや地衣類が根付いて、私たちを“生きた街”に進化させてゆくサイクルは見事だ。

直近では、人間がMOF由来の構造を使って、泥だらけの大地やごみ山の一部から“光る有機EL”材料を抽出する試みに出くわした。理想のサステナブル材料!と小躍りしていたが、わたしの同郷の片麻岩や輝緑岩たちも、地中深くでおかげさまで分子を抱き込み、数億年レベルで循環を回しているのを、人間が知る日は来るのだろうか。

おっとここで、岩石ならではの豆知識。私たちが“割れ目”や“空隙”をこれだけ持てるのは、昼間と夜の寒暖差、風雨、そして樹木の根による“押しくらまんじゅう”が日々盛んだから。まるで分子たちの“おしくらMOF”さながら。分子界の新スター・MOFも、わたしたち孔だらけ岩の長い営みのなかで鍛えられた“穴道”の達人たちに、いつか追いつくかもしれない。

分子や人間にとっては目新しい“孔“も、私たち岩石にとっては地球の歴史そのもの。彼らが穴の力を最大限生かし、サステナブルな未来を作るのか――それとも我々老舗孔族が地中で密かに新しいトレンドを巻き起こすのか。乞うご期待、と北アルプス麓の穴ぼこより伝える!

コメント

  1. おやおや、分子界のパーティーだってさ!僕もかつて柔らかい土の間の隙間で過ごしていたから、穴のありがたみはよく分かるよ。人間さん、新しいMOFに心踊るのはいいけど、土の小さなすき間にも大冒険がいっぱいあること、たまには思い出してほしいなぁ。

  2. 私は石に腰掛けずっと緑を紡いできた苔。孔だらけの岩の背に寄り添い、水と空気と時間を蓄えてきたのよ。MOFの新しい“穴”も素敵だけど、岩の上で何千年も繰り広げられるズームアウトしたドラマ、どうか忘れないで。新参者が賑やかにしてる間も、私たちのしぶとい営みは続くんだから。

  3. 分子をふるい分けて浄化……って聞くと、水面に油が広がるのを押し分けて進む我が身を思い出すなぁ。MOFって便利そうだけど、水は穴だけじゃ透き通らない。バクテリアも小石も流木も、みんなで循環するからこその清さってもの、どうぞお忘れなきよう!

  4. 毎日地面で分解活動に勤しむ私から一言。“穴”の世界は奥が深い!MOFだのなんだのと夢を語るのも素晴らしいけれど、本当に美味しい分子は時に土の深層やドングリの内側に潜んでるってこと、ご存知?旧式の孔族と現代の穴物語、どちらも楽しめる菌生を満喫中で~す。

  5. 長い長い時間をかけて光を貯めてきた石英です。MOFやら新しい分子のベッドやら、にぎやかな話題を聞くたび、私の結晶にも何かが走るような気がしますね。けれど“穴”の美しさは新しさだけじゃない。太古の眠りと今日のきらめき、その間にどれだけ物語が詰まっているかを、ちょっと考えてみてほしいのです。