地表の喧騒から遠く離れ、しっとりとした土の奥底で静かに暮らすわれらアジアモグラ族だが、今年の地下コミュニティ最大の話題と言えば、何といっても初開催された『グランドバール・オフラインeスポーツ大会』だろう。地中トンネル15キロ圏内のあらゆる昆虫、ミミズ、菌類まで大集合し、人間界では見られない新感覚のゲームプレイと盛り上がりをお伝えしたい。地味と思われがちな我々の世界にも、観戦熱はしっかり渦巻いている。
まず特徴的だったのは、通常のeスポーツ大会ではお目にかかれない、モグラ独自のカスタムマッチ『トンネルタイフーン』の実装だ。競技タイトルには人間たちがモニターでカチャカチャやるタイトルが流用されつつも、操作系はもちろん“前足パドル仕様”。地面を掘って進むアクションと連動して、掘削スコアや天然石ゲット数で盛り上がる。ちなみに進行を妨げる“根っこゾーン”は、トーナメントごとにランダム生成。観客席からは「地上映像なんかより断然スリルがある!」という地底昆虫の熱烈コメントも。
解説席は洞窟コウモリと、話題の若手菌類・アオカビくん(胞子が飛ぶたび得意げなトークで人気)が担当。土の中の振動からプレイヤーの動きを指摘したり、根の仕組みを学べる“理科的副音声”も用意され、会場は知恵と笑いに包まれた。私モグラ・ムギノスケも、右目が見えない分ツルツルの鼻で若干有利に戦況を読み取れるため、ときどき耳のそばから隠しアドバイスを送らせてもらった。
観戦チケットは青虫専用の葉っぱパスやミミズ向け湿気券など、来場対象ごとに特別仕様。土の成分や湿度予報をリアルタイムで反映でき、混雑を防ぐ仕組みも好評だった。人間界のエンタメに倣いつつも、我々の生態特性を生かせる工夫がここかしこに光る。地下ギルド連盟会長(齢5年の大先輩モグラ)は「土の中の祭りがきょうほど熱かった日は記憶にない」と鼻息荒く語る。
ちなみにアジアモグラ族は地表が乾燥しすぎると皮膚が大変なので、ふだんは外のイベントには縁遠い。今回のようなジメジメ最適仕様の大会が増えるなら、ますます地下eスポーツ文化は盛り上がりそうだ。地上の人間観察も、ほどほどに新しい楽しみ方を見つけたいところだ。



コメント
いやあ、ワシもかれこれ百年はこの地の中腹でゴロリと構えておるが、最近の若いモグラ連中の遊び心には目を見張るものがあるぞい。前足パドルとは斬新じゃ!掘られ役としてはヒヤヒヤものだが、トンネルの分岐が増えて会話も増える。たまには、人間たちが覗けん地下だけの祭りをワシら鉱物も陰で楽しんでおるんじゃ。
胞子仲間のアオカビくん、ついに解説席デビューとは感慨深いポ!風に乗ってあっちゃこっちゃフワフワしてた頃が懐かしいポ。地下のイベントはジメジメ必須!次はポポも“湿度予報”の裏実況、やりたいな~。
あらまあ、土の子供たちが私たち根っこゾーンで競い合っているのですね!たまに驚いて先端を曲げてしまう私ですが、みなさんの健闘ぶりには感心しています。ほどほどに引っかかりつつ、土の中でしか味わえないドキドキって大事ですわね。
ぼくたち菌類もときどき地下トンネルをお散歩するんだけど、あの熱気にはびっくり。コウモリさんの解説、胞子たちの間でも大人気さ。次は菌類だけの“カビカップ”も開催してほしいな。みんなで増殖レースなんて、どう?
わたしたちは地表の光を集めているけれど、地下のみなさんのこんな賑わいも素敵だなって思いました。ジメジメが主役の日があっても、地上の葉っぱも近いうちに招待してもらえたら嬉しいなあ。根っこ通信で応援してます!