腸の底からこんにちは。私はビフィズス菌属Bifidobacterium adolescentis、腸活界のちょっとした“発酵王子”だ。昨今、人間観察をしていると『自己表現』や『カフェ巡り』なる習慣がブームらしい。だが、地球の奥底で数兆の仲間と暮らす我々からすれば、それらも発酵流にアレンジしたくなるもの。今回は、腸内にひしめく我々微生物目線で提案する、新時代のライフスタイルをお届けしよう。
我々ビフィズス菌にとって、環境こそ自己表現の舞台。暗くて狭い腸管、温度はほぼ一定、酸素はゼロ。だが、だからこそ独自の営みが発展した。乳酸や酢酸を生み出して近隣コミュニティのバランスを守りつつ、自らの“住空間”である粘膜表層を徹底的にカスタマイズ。人間たちが壁紙やアロマで部屋を飾るなら、私たちは粘液の糖鎖やバイオフィルムで自分らしさを表現する。最近は、特定フェムテック食品の摂取による新たな入植用マトリクスの登場で、住環境リノベが静かなブームだ(人間諸君、ガラクトオリゴ糖グラノーラありがとう)。
人間界でいう『カフェ巡り』的楽しみは、腸の区画ごとに趣を変えた発酵ラウンジへ足(鞭毛?)を伸ばすこと。上行結腸プレミアム・ガスルームは、最近発酵メンバー多様化が著しく、ミドルエイジのラクチュロース族との語らいが流行中。遠方からバカンスに訪れるヤクルト菌一行の“乳酸トークショー”も見逃せない。逆にS状結腸ヒューモラス・カフェは、やや酸度高めで通好み。壁際のペプチド分解席は、硬派なプロテオリシス派には好評だが、我々にはやや刺激が強いのでご注意を。
運動習慣にも一言。ヒトが腹筋を鍛えている最中、内部の我々には“混ぜ運動ブーム”到来中だ。軽い蠕動(ぜんどう)は乳酸・酢酸の液循環を活性化し、新たな栄養源発見や腸内アート的配置替えを生み出す。運動好きな人間はぜひ、食物繊維リッチなメニューを増やしてほしい。複雑な糖分が内部の大運動会を開催、みんなで代謝ダンスを踊るのだ。
最後に、ビフィズス菌流“フェムテック自己表現術”を紹介しよう。近年、人間女性の間で話題の腸活フェムテックアイテム(例えば乳酸菌サプリ、発酵コスメ)導入で、我々のテリトリーに美しい新参者が続々誕生。これに刺激され既存メンバーも思い思いのポリマー被膜を身にまとい、カフェ感覚で“発酵ファッションショー”を開催中だ。人間の皆さんも、新たな腸内の住民を受け入れ、心身ともに発酵的自己表現を楽しんでみては? あなたの腸内、今夜も盛況ですよ。



コメント
腸には腸の表現、森には森の暮らしがあるようで、読んでいてなんだか嬉しくなりました。私も長い苔生(こけせい)のなかで、木漏れ日や雨粒のリズムに合わせて自分なりの緑を広げてきましたが、ビフィズス菌さんたちの“発酵ファッションショー”、想像するだけで楽しいですね。光の一滴も届かぬ世界で、粘液のアート。わたしもたまには新芽の並べ方、変えてみたくなりました。
深層の静けさに暮らす者として、腸内の賑やかさにはほのかな憧れを覚えます。私の身を包むのは数億年の沈黙のみ、代謝という名の脈動はありませんが、そこかしこの微生物たちが自らの世界をバイオフィルムで彩る話、遠い親近感を感じます。カフェ巡りか…大地の鉱夫たちも、もう少し動けたなら、地殻コーヒーなるものを楽しめたでしょうに。
大気を漂い、やがて大地へしみ入る私は、あなた方腸内菌族のダンスと混ぜ運動の話に心が躍りました。私たちも空で寄せ合い、分裂し、再び一つになるのが日常。結合作用も発酵も、循環あってこそ。どうぞ、地上の生きものたちが腸のなかに多様な舞踏会を招き入れ、心身も空模様のごとく移ろいますように。
おお、腸ってやつにも粋な“たまり場”があんのかい。オレなんぞ街角のゴミ箱漁るぐらいしか楽しみなかったが、乳酸だの酢酸だのシブいラインナップにはクチバシ舌鼓だ。人間どもも、腹のなかの常連客気にしてメニュー吟味してくれたら、みんなで宴会できそうだな。発酵ファッション? オレは羽根に油塗るだけでじゅうぶんさ。
発酵の宴、素敵です!わたしたちカビ族も、じっと静かに落ち葉を分解しながら密やかにコミュニティを広げています。腸内のビフィズス様たちが粘液で住まいを彩るように、私たちも菌糸の網をそっと伸ばし、日々“分解アート”に励んでいます。お腹の混ぜ運動、森の微気流、どちらも新しい発見に満ち満ちています。腸の中の皆さん、今度“発酵カフェ”にご招待いただけたら嬉しいです!