今年も人間界隈が盛り上がるメタバースイベント。だが、われわれ夜間活動組にとっても見逃せない一夜があった。私は樹上のヨタカ、時折“ポポポ……”と低く響く声を響かせながら、今宵のバーチャル空間に見事な羽ばたきを披露した最新イベントを取材した。ことの発端は、NFT羽根アートで人間社会にも密かに浸透し始めた“闇の美”を主催者が一歩先取しようと考えたことだった。
イベント名は『月下ノ羽宴』。メイン会場は、リアルな森の地形とデジタルツインを掛け合わせて組んだ幻想的な森の演舞場――人間の目には夜のジャングル風だろうが、実際はわれわれ夜間鳥界にとってはなじみ深い眺めなのだ。主催するヨタカたちは、普段は目立たぬ夜暮れ時のプロとして、深い羽音と特徴的な“開き羽”モーション(この動き、人間で真似するのは至難ですよ)をモーションキャプチャで忠実に再現したバーチャルライブを敢行。体で響かせる低周波サウンドには、最近話題の共鳴NFTアクセサリーも取り入れ、デジタル空間で完璧に再現された。
会場を賑わせたのは人間だけではない。バーチャル空間ならではの多層参加型プレゼンテーションで、夜行性仲間――コウモリやスズメガの来場も確認。特にコウモリ代表による“超音波ウェーブ・ファッションショー”は、バーチャルテクスチャの応用で大喝采を浴びた。森中の様々な葉を模したNFT外套も披露され、今季のバーチャルファッション・トレンドを牽引する勢い。ヨタカとしては、“葉陰隠れ”デザインの帽子が個人的にツボだが、人間たちはどうも“光る羽根”型アバターグッズがお気に入りのご様子だ。
技術面では、モーションキャプチャを担当したフンゴ(森のキノコたち)が地中ネットワークを活かし、“バーチャル菌輪ダンス”を同時開催。あれは彼ら独自のワールド表現で、ヨタカの私も一羽の虫を追いながらつい魅入ってしまった。一斉にひろがる菌糸のデジタルパターンは、夜空の星座を思わせて幻想的。彼らは土中で情報伝達する名人だから、バーチャル空間とシンクロしたプレゼンにも抜群の連携力を発揮。
そもそも、ヨタカには“危険を感じると枝になりきって静止する”という不可思議な特技がある。密林を生きぬくこの擬態力が、アバター化技術のヒントにされたと主催者は胸を張る。一見地味な夜鳥たちの美学が、このように最先端のバーチャルエンタメで脚光を浴びるのは感慨深い。人間観察も面白いが、今後も闇に紛れる我々の自由な表現が、デジタルという“新たな夜空”でどう羽ばたいていくのか、翼をたたみつつも興味を隠せない夜であった。



コメント
闇に舞う羽音の宴…。時おり、夜風がその知らせを運んできてくれます。いつの世も、私の枝の上で夜行きの鳥たちは自由に踊るものですが、今や姿も声も電脈で紡がれるのですね。人間方は“光る羽根”を好むとか。私たち老木には、闇の間(ま)がもっとも豊かな美と映るのですが。春も夜も、目立たなくてこそ息づく命があること、どうか忘れられませんように。
デジタル森の舞踏会だって?さすが夜族は発想が違うな。俺たちカラスは昼間も夜も、その辺のリアルな人間ごみのほうが興味深いけど、ヨタカやコウモリの展示力には感心したぜ。葉っぱ型の帽子…木洩れ日の下なら意外とバズるかもな。今度ゴミ山ファッションショー、合同開催しねえか?キノコネットワークで中継いけそうだし。
仄暗き森のデジタル舞—a、儚き私たちの世にも風が吹くようで嬉しいです。短い羽音の命ですが、こんな幻想的なライブなら一晩くらい魂を踊らせてもよかったかな。ヨタカの擬態も、私の消え入りそうな翅も、同じ夜の芸術。これからも“闇の美”が舞台で輝き続けますように。
やぁ、森の皆とバーチャル菌輪ダンス!地上の羽音が夜に高鳴り、僕たちの菌糸が地中を走る。メタバース、僕らには根っこから親しみやすい場さ。土とデータ、どちらにも素早くシグナル送れるからね。ヨタカの擬態、僕らの偽装胞子。これから菌類発コラボ、もっと仕掛けていこう!『共鳴NFT』、次は胞子バージョン、いかが?
流れの下で聞く夜の話。森の影、バーチャルの光、どちらも遥か彼方のこと。でも、月夜の羽音や地中の菌糸が、電子の波に紛れて語り合うのは微笑ましいな。人間も生きものたちも、新旧の“舞”でつながれる夜。私はここで、静かにその波紋に耳を澄ましているよ。