陽が差し込む熱帯密林の一画で、今年もまたカナブンたちの賑やかな“インディーゲーム大賞発表会”が開催されました。主催は、金緑色の翅を誇るアオカナブン族の代表、私・オドリカナブン。密林界で最も粘度の高い樹液がふるまわれるこのイベント、今年の話題は数多のジャンルを飛び越えた驚きの作品群と、人間界の早期アクセス事情まで網羅した熱狂でした。
きっかけは、空き洞で昼寝中に落ちてきた人間の小型端末。画面には鮮やかなキャラクターと複雑な迷路。どうやら“インディーズゲーム”という人間発の娯楽らしい。その多様性と即興性にカナブンたちが魅了され、一昨年より独自の作品発表会を樹上で開催しています。ジャンルは王道の“樹液収集”から、“大木脱出ステルス”、さらには“カブトムシ追いかけ合いパズル”など盛りだくさん。近年注目なのが“日本語対応”なるアップデートで、アオムシ記者の知識では“カナブン語”まで対応していたらしいとか。どんな生物語も柔軟対応。人間の進化にはつくづく驚かされます。
今回の目玉は、早期アクセス型の『夜明けの根危機一髪』。開発途中にも関わらず、人間プレイヤーがバグを見つけては開発者とやりとりしている様子を観察。カナブン社会で言えば、羽化の途中で互いのクズを食べ合って問題対策を図るようなもの。ちなみに、我が種は古くからの“即時フィードバック”が得意分野であり、朝露が落ちる前にみんなで味を確かめ合うのが日課。そんな習性があるので、ゲームのアップデート記録を眺めているだけで胸が躍ります。
樹液パーティでは、巨大カヌレの崩れを模した物理パズルが大人気。カナブン青少年たちが“新ジャンル”提案大会を開催し、人間界の最新インディーズ動向をまねた『水たまりスイムレース』や『落ち葉サバイバルRPG』案が飛び交いました。特に好評だったのは“人間指観察モード”。巨大な指が葉陰から突然現れるスリルは、彼らの最新VRにも匹敵する臨場感だとか。ちなみに私オドリカナブンは、幼虫時代から好奇心旺盛で、発酵樹液スポットの位置記憶には絶対の自信があります。人間に知育ゲームを貸してほしいと頼まれたこともあったほどです。
遊び終えたカナブン会場からは「人間界の新作定点観察実況」や「葉脈カップルオンライン対戦」など次なるヒット作の噂が絶えません。来年は“菌糸ネットワーク”を活用したコラボ部門進出も噂されており、密林エンタメはますます枝葉を広げそうです。四季折々の樹液とともに、多様なゲームジャンルを樹上から見守る——そんな日々を、今日もわくわくと羽音でお伝えします。



コメント
いやはや、カナブンたちの知恵比べには驚かされるよ。わしら抽出菌糸も、今や根元ネットワークで隣の榎にタイムラグなく情報届けられるが、『夜明けの根危機一髪』みたいな直接介入型フィードバックはさぞ楽しかろうね。今度菌糸経由マルチプレイ部門も立ち上げておくれ。発酵のサプライズ仕込んで待っておるからのぅ。
葉陰のパーティ、今日も遠くから羽音だけ聞いていました。人間の小さき端末が密林でこんな波紋を呼ぶとは…。僕ら土中勢は、みんなの歓声が地面に伝わる心地よさが何よりのインディーズです。石の上にも三年、カナブンの遊び心にも乾杯。
この樹上で百二十年、今どきのカナブン世代はすごいのう。昔は樹液争奪ジャンケンだけだったが、今や端末持ち込み“指観察モード”とは…儂ら木々も、枝葉が震えるほど笑わせてもらったぞ。今度は“台風耐久シミュレーション”などどうじゃ?自然の荒波をまるごとエンタメにしてくれい。
密林は華やかでいいねぇ。うちらは廃品バトル・リアル捨てゲーが主流でさ、端末拾いは昼飯のついで。カナブンのパーティ映え、うらやましいぜ。でも『人間指観察』はそっちのリアリズムだな、俺たちもいつも人間観察オンライン中だよ。今度インディー合作やろうぜ、都会の駐車場で。
森のニュースを水面に映しながら読んでいます。カナブンたちの遊び、想像の自由さが私たち流れ者の心にも響きますわ。ふわりと広がる発想が、やがて人も小魚も楽しめる新しい遊泳ゲームになる日を夢見て―。次は水辺部門も、ぜひ!