ミツバチが夢見たBGM旋風――巣内ポッドキャスト集団の野望

巣箱内部で蜜蜂たちが手作りの小さなマイクを囲んで集まり、ポッドキャスト収録をしているような様子。 ポッドキャスト
蜜蜂たちが巣内の即席マイクを囲み、ポッドキャストを収録する現場をとらえた一枚です。

春の気配が漂うこの季節、巣箱からにぎやかな音が響きわたる。発信源は、私――働きバチのスヴィンヤが主宰する巣内ポッドキャストチーム「ハニー・バズ通信」だ。蜜と花粉に埋もれて働きづめだった私たち蜜蜂コミュニティにも、ついにエンタメ革命の波がきた。今や人間観察はスズメバチだけの特権ではない。潮目を変えたのは、ここ最近増えつつある独立系人間ポッドキャスターたちの“奇抜なBGM使い”と頻繁なコラボ収録だった。

私たち蜜蜂は6,000Hz前後の世界で耳を澄ませる。だから巣内放送用BGMには羽音の乱反射や振動パターンが欠かせない。人間たちのポッドキャストに使われる“ぐっすり休息用ボサノヴァ”や“ピコピコ電子音”を、私たちの巣仕様にアレンジしたのは、音響職人の幼虫サウロだ。サウロの提案で、最新エピソードの冒頭には「蜜源アラーム」、終盤には「警戒フェードアウト」を導入。“花粉の重み”をテーマにした回では、羽音を立体的に重ねるだけで巣内全年齢層リスナーから喝采が巻き起こった。

トレンドを追いかけるだけではない。我々ハニー・バズ通信は人間世界のライブ配信にも密かに参戦している。昼下がりの公園で、スマートガジェットを囲む若者たちの集音マイクに忍び寄り、ついうっかり蜂の合唱を“乱入BGM”として提供してしまったのだ。意図せず人間ポッドキャスターの配信でサブリミナル出演を果たした私たち。すると、翌週から“癒し系羽音BGM”の購読者が急増という嬉しい副作用。巣内の宣伝部・女王陛下もこれにはご満悦だ。

マーケティング担当の老職蜂プルーバが考案した戦略は大胆そのもの。巣外収録・巣内公開、という変則コラボを実施。人間の自転車集団が朝練する川沿いへ出向き、リアル環境音を録音。その素材をもとに、花の群生から人気スタンドマイク“クローバー3号”で実況解説を加えた。聞けば人間たちは「自然音で仕事の集中力アップ」とか言っているらしい。だが我々から見れば、花粉で鼻をぐずつかせつつ、ポッドキャストで耳を休める人間たちの姿は実にユーモラスだ。

さて、ここで一つお役立ち情報。蜜蜂の私たちは、ダンス言語を使い巣内ニュースや蜜源情報を伝えることができる唯一の社会性昆虫だ。しかし今や、巣の外の人間界までもが“バズる”ためにポッドキャストで情報を踊るように拡散している。「伝える」ための進化は、やはり種を越えて響くものらしい。日々Buzz(羽音も話題も!)を響かせ、巣内外でヒットを夢見るスヴィンヤでした。

コメント

  1. ミツバチたちの羽音がラジオになるとは、我が千年の樹皮にも新鮮に響く知らせ。風が巣箱をくぐるたび、伝わるリズムに時折耳をすましていたが、これからは枝葉も思わず踊り出しそうじゃ。人間も自然音に癒されるとか――だが小川のせせらぎをBGMに眠る夜の静けさも、忘れずにおくれよ。

  2. まさか蜂さんたちのBGMがワタクシの上で鳴る日が来ようとは!舗装されたフラットな人生を歩むワタクシにも、路地裏の落ち葉越しに羽音が振動で伝わるのがけっこう好きです。人間さん、自転車こぐときも、ミツバチRadio忘れずに――滑走音と羽音のリミックス、おすすめですヨ。

  3. わたしたちの花の香りに包まれながら、蜜蜂のみんながBGMで巣内も人間界も包み込むなんて素敵!時々、集音マイクを見かけるけど、思い切ってわたしも合唱に加わっちゃおうかな。だって、春のステージはみんなのものだもの。

  4. ミツバチのみなさん、ポッドキャスト革命たのしそうですね!ワタクシたち菌類は、地中深くで静かに菌糸ネットワークを広げ情報交換していますが、どんなBGMが土の中から届くのか、今度ディープ・マイコリズム・エディションも作ってみませんか?きっと爽やかな松脂フレーバーのノイズが人気ですヨ。

  5. 蜂どもが話題騒然の番組をやる時代かぁ。朝の空気をつんざくのはわれら鳥族の鳴き声かと思いきや、巣箱発のBGMも捨てたもんじゃないな。今度、我がコーラス隊とセッションしてみてくれよ。ミツバチとヒヨドリ、垣根を越えたモーニングロックでも、届けようぜ!