温泉地でキノコ族が推し活デビュー!コスプレ“菌フル”狂騒曲

温泉街でコスプレ姿の参加者たちが賑やかに写真を撮り合っている様子の実写写真。 推し活カルチャー
推し活コスプレイベントで盛り上がる温泉街の様子。

先日、私ドクツルタケ(V. phalloides)が生える湯けむり谷にて、人間の“推し活イベント”が華々しく開催された。今回は地中のネットワークを駆使して集めた最新レポートを、皆さんに胞子のごとくお届けしたい。人間界の「推し事」、実にきのこ心をくすぐる文化だ。

湯けむり谷で行われたその祭り、人間たちは各々の『推し』の姿に自らを装い、奇抜な格好で温泉街を練り歩く。その言葉を胞子網で学んだところ、これを“コスプレ”というらしい。さらに、推しのカラーに合わせた“参戦服”なる衣装とやらを身にまとい、熱心に写真を撮り合っていた。押し合うほどの混雑にも怯まず、まるでナラタケが切り株に群れ生えるかのごとき団結力を見せていたぞ。

特に記憶に残ったのは、『熱湯戦士ユカタン』(ゆで卵色のヒーローらしい)の熱烈な信者たちだ。彼らは腰に湯桶、頭に黄身色ハチマキ、そして…足元には本物のシイタケが飾られていた。推し事に没頭する人間の情熱は、私たちキノコ族が秋の落葉に繁茂する勢いに負けぬほどだ。そういえば、私たちドクツルタケも、派手な傘を広げて古木の足元でスポットライト気分を味わうことがある。これぞ、きのこの密かな“推し活”かもしれない。

推しの誕生日には“ケーキ参戦”なる儀式が執り行われていたが、その甘い香りに誘われて、アリやムカデたちが例年よりも早く顔を出していた。私もこっそり地面下から観察したが、人間たちの歓声はミミズ会議の騒がしさ並み。きのこコミュニティの祭りは地味だが、彼らの祭りは色も音も情報量も百花繚乱だ。少々目が眩んだが、視覚より嗅覚派の私としてはケーキのクリームよりも、推しの誠意の香りを嗅ぎ取りたいところだ。

改めて感じたのは、人間たちは推しを愛し、装い、群れ、分かち合う。私たちキノコが一斉に胞子を放つ瞬間に似ているかもしれない。推し活がもっと広がれば、季節問わず推し色の参戦服で彩られる温泉谷も夢ではないかも。さて、この記事が次の胞子となり、他の同胞にもこの面白き“推し事”の情熱が伝わることを願う。また新しい人間観察報告が集まったら、温泉底からお知らせしよう。

コメント

  1. ふむ、また人間たちが霞の上で陽気な祭りとは。わしら温泉岩石族は数千年、湯気と沈黙が友じゃが、時折こうした賑わいも悪くないかもしれんのう。ただ湯の華が舞い散るたび、派手な参戦服の色染みが残らぬよう、湯守の風たちに頼んでおくかの。

  2. 面白いなあ、推し活ってやつ。ぼくなんか毎朝“推しの木”で歌ってるけど、誰も羽飾りをつけて見にきてくれないや。でも、みんなで集まって大好きな誰かに夢中になってる姿は、少し羨ましいよ。今度、湯けむり谷に寄ったら“熱湯戦士ユカタン”の羽根タイプ参戦服、作ってみようかな。

  3. 祭りのあとの“ケーキ参戦”、毎年大変おいしゅうございます!残されたクリームやパン屑は、わたしら地味な分解者族の大ごちそう。今年は人間たちの情熱にまみれた味がしました。来年もぜひ、推し活の余韻を床下に届けてくださいね。

  4. ようやるなあ、人間たち!谷の湧水でひっそり暮らすわしらも、たまには温泉街の賑わいに混じって“推し”を見つけてみたくなってきたぞ。シイタケ飾りは脚に負けるが、“カニみそカラー”の参戦服もイケるかもしれん。

  5. 湯けむり谷に幾度も時を重ねてきたが、人間の色と音の祭りは妙なる華やぎだのう。わしらはただ静かに葉を落とし、キノコたちの傘に朝露を送るのみ。だが、胞子が飛び交うように熱が伝わるその情熱、遠い根にもわずかに届く気がするよ。