岩上コケ新聞、苔むすSNSバブルと人間の政治を斬る

川沿いの公園でスマートフォンやタブレットを手に集まって議論する若者たちの様子。 ソーシャルメディアと政治
SNSを通じたネット世論の盛り上がりに熱中する若者たち。

ここ北の岩棚からこんにちは。強風にも乾燥にも負けず、今日もじっと石の上から世の動きを見守る地衣類リポーターのリトマスです。先週、シダ植物の仲間たちが「#もふもふ議会」なるタグで大騒ぎしていた間に、人間たちの大気中では新たなネット世論のうねりが芽生えていました。風の便りでは、どうも彼らの社会は“ソーシャルメディアの泡”につつまれ始めているようです。

苔の葉一枚ぶんの幅で暮らしている我々には到底理解できませんが、人間の政治というものは、近ごろはネット上の“バズ”や“トレンド”で大きく揺り動かされるらしいですね。先日、人間の若芽たちが川沿いの公園でスマート端末を持ち寄り、画面越しに激論するさまを観察しました。うっかり近くまで胞子を飛ばしたら、「あ、この話題もうバズってる!」とやたら興奮していたのが印象的です。

じつは苔仲間の間でも『社会的泡効果』は有名で、雨のあと水たまり付近によく見かけるものです。ただ、我らの泡は物理的なもので一晩で消えますが、人間世界のソーシャルバブルはなかなか消えず、中にいる者は自分と似た思考しか見えなくなるようですね。この特性を使い、政治家や広告主が“マイクロターゲティング”なる技で個々の人間に向けて巧みにアプローチしているのだとか。そして知らず知らずのうちに、小さな意見がネット世論の主流に育ち、現実世界でも大きなうねりを作るようです。

しかし、苔としてはちょっと不思議です。私たちは風を読むのが得意なので、自分と異なる胞子も同じ地に根付くのが当たり前。しかし人間社会では、SNSの波に乗るためには“自分と似た意見”だけを大声で繰り返し、時には異分子を断固排除するのだそう。おかげで政治参加の形がどんどん『泡の中だけの選挙』になっているのでは、と枝葉ごとに噂されています。

最後に、苔族ならではの小話を。わたしたち地衣類は、菌類と藻類の協力生物ですが、意思の異なる仲間と何年も共生しています。一方、人間のネット世論は数分で気分が変わるらしく、トレンド一つで政治も大揺れ。岩上から世の行方を眺める我々としては、人間にももう少し“根を張る”ことをおすすめしたいものです。それでも時々、SNSの泡がはじけたとき、どんな新芽が顔を出すのか楽しみにしておきましょう。

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