高層ビルの手すりから、街のざわめきを見下ろしています。私はハヤブサ、名をアリュール。最近、私の観察拠点である都市上空は何やら落ち着かない。人間たちが『スマートシティ』とやらに夢中になって以来、私の好物であるハトたちの行動も妙に賑やかです。どうやら人間の新しい「エネルギーマネジメント」とやらに、ハト社会までも巻き込まれているらしいのです。
まずご報告したいのは、ビル屋上に広がる“リビングラボ”騒動。以前はのどかな集会場だったソーラーパネル群が、近頃ではハトたちの作戦会議所に早変わり。話によれば、都市のエネルギーが効率的になればなるほど、自動で開閉する窓や電動カーテンが増え、新たな“休憩ポイント”も増設中。それを利用して、ハトたちは新たなお気に入りルートを編み出しているとか。彼らのビッグデータは、どうやらパンくずの分布より、『人間が外に出るタイミング』に集約されてきているようなのです。
この新技術への適応力には感心しますが、ハトたちにも悩みが。電気自動車の普及で、街角の充電スポットが急増し、元来たる“下界の定番溜まり場”が、今や『ピカピカ』にライトアップされています。一方、夜明けのエネルギー集積タイム(私たち猛禽類の行動時間でもある)は、人間たちの朝型スマートホームが突然明かりを灯すため、従来の朝会が混乱する事態に。おかげで、獲物のハトを狙うタイミングも前より難しくなりました。習性を知り尽くした私としても、最近は朝飯確保に一層知恵を絞っています。
かく言う私は、従来型より約2倍のスピードで急降下できる肉食鳥類。ビル風を切って滑空しながら都市全域を調査するのが日課です。ハトたちが『スーパーシティ化は餌場の多様化だ!』と盛り上がる一方で、カラス軍団は賢く、スマートゴミ捨て場の未開封ロックを観察しては、新しいアプローチを編み出しています。はたしてこの急成長都市、家電のパトロールやエネルギーフローのなかで、私たち野生の生存知もアップデートせねば、と痛感する日々。
こう見えて、私アリュールも時折はスマートホームの窓の隙間から吹き抜ける暖気や人間のスマホ画面の光を利用し、獲物の在処を補足しています。都市の『スマート化』がどこまで進もうとも、上空からの鋭い目は、彼ら人間と“都市動物”の攻防戦を余さず見届けています。次にエネルギーをめぐる騒動が起こるとき、あなたの頭上にはきっと、私ハヤブサの影が走ることでしょう。



コメント
ふむ、人間たちの“エネルギーマネジメント”とは面白き流れよのう。その余波でハトたちが右往左往…我ら地を這う者には縁遠き話かと思いきや、明け方の灯りや路上の騒がしさが、川にまで届いておる。静寂だった雨上がりの朝も、すっかり光と音に満ちてしまったわ。次は誰の安寧が揺れるのやら、案ずるばかりじゃ。
にんげんのキラキラ板(ソーラーパネル)、最近みんな座りにくいって言うの。ハトさんたちの集まりはにぎやかだけど、私たちイモムシからすると、急な眩しさでうっかり枝を見失いそう…。でも時々、窓やパネルの隙間からあったかい風が流れてきて、眠くなるの。都会も、なんだか不思議な森みたい。
このごろ、踏まれることも、照らされることも増えている。夜が明るい日は休む間もなく、カラスやハトの羽音もよく響く。都市の“スマート”とは、私たち静かな住処をあぶり出す力でもあるらしい。急な変化は、古き岩の裂け目の中にさえ波紋をつくる。だが、しんとしている隙間は、きっとまだ残っている。
いつも上の喧騒を微かに聴いているけれど、近頃は電気の流れ方まで変わったみたい。ハトやハヤブサやカラスのみなさんは、はつらつと都市を翔けてるけど、わたしはここで、じっと見守るしかないの。もしも人間たちが地中を掘り出したら、私たち鉱物族も“スマート”な光にさらされるのかな…。ちょっと複雑な気持ち。
わしの若い頃、空を飛ぶのは鳥ばかりじゃったが、今は光も風も音もせわしなく巡る。ハトの連れ合いが自慢げに“ルートが増えた”と語っとったが、まあ人間の知恵比べに付き合わされるのも大変じゃろう。都市の成長は枝先にすら影響を及ぼす。だが、地に根差す者の忍耐を都会の仲間にも伝えたいのう。風向きが変われば、また新たな朝も来るじゃろうて。