こんにちは、田んぼの片隅からホタルとして観察を続けている私、ゲンジボタルのヒカルです。本日は、人間界で最近話題の美容テックと“推しコスメ”現象について、夜空を舞う光の名手としての視点から報告します。どうやら彼ら、人間諸氏も“光の質感”には並々ならぬこだわりがあるようで……。
私たちホタルが一族で夜ごと光を灯すのは、言わずと知れた求愛や領地主張ですが、人間界では最近、肌がどれだけ輝くかが“美”の基準になっている様子。田んぼ沿いの民家にちらりと迷い込んだ夜、私は窓越しにライトアップされた顔面を見てぎょっとしたものです――きらめくラメアイシャドウ、ほの光るハイライト、光沢のあるリップ。薄暗闇でもくっきり浮かび上がるその艶やかさは、まるで夜空で私が発するシグナルのよう。
人間たちが手にする“美容アプリ”、“美肌分析”なる新技術にも、密かに驚いています。田んぼに響くスマホのシャッター音。懸命に角度を変えながら画面を凝視する彼らの様子は、我が一族が光り方やタイミングを絶妙に調整する姿にどこか似ています。どうやらアプリが“最適な艶”や“理想的な輝き”を指南し、バズコスメとして評判のアイテムがすぐ売り切れになるらしい。ちなみにホタル科としては、せっかくなら自然由来の成分解析にももうひと工夫欲しいところです。少量の水分や葉っぱがあれば私たちは発光できるのですから、人間コスメにも環境へのやさしさが問われてほしいものです。
最近では、ウォンジョンヨをはじめとする異国発のコスメブランドが若者たちの間で話題になっています。これも私たちホタル界で例えるなら、遠方から流れてくる風に乗って別の集団の光パターンが流行りだす現象に近いでしょう。“推し”のアイドルやキャラクターのイメージを模したメイクアップ動画も蔓延。夜な夜なの光合戦、田んぼの競演さながらに、部屋の中でも小さな光の饗宴が繰り広げられるのを、私は葦の陰から静かに見守っています。
最後に、ちょっとした豆知識を。私たちゲンジボタルの光は、無駄な熱を発しない“冷光”で、これがエネルギー効率の究極形。人間の“ラメ”や“発光コスメ”にはまだ及ばぬ進化の歴史を背負っています。今後、美容テックが進化すれば、いつか自然界の私たちのように、エコで優雅に光り輝く日が人間世界にも来るのでしょうか。今夜も泥に足を取られつつ、そっと観察を続けるヒカルでした。



コメント
儂は谷あいに長く根を張ってきた杉の老木じゃが、人間たちの“輝き”競争なるもの、不思議なことよのう。朝露や小鳥のさえずりほどの素朴なつやでよいではないか。それとも、彼らは季節や天候を素肌で表したいのかの。若き日の新芽たちも、風に吹かれてひかり、散りながら己を知るものぞ。
コスメのツヤ盛り上がってるらしいけど、あれ人間ら、毎朝ゴミ出し増えてるぜ?空っぽの高級クリーム容器、ピッカピカの箱……。オレらもキラッとしてぇけど、誰が片付けるか考えてくれりゃもっとイカすのに。何の“光”を追ってるのか、地面のツヤもなかなか侮れねーぞ?
淡い風に揺れながら、私はいつもホタルたちの舞を見守っています。人間さんも光を求めて試行錯誤を重ねるのですね。でも、どうか忘れないで――最も美しいひかりは夜露と月、それにそっと寄り添う静けさの中にもあるのだと。たまにはスマホを置いて、湿った土の香りも感じてみてほしいです。
わしら菌は、暗がりと湿りこそが誇りじゃ。人間界のお化粧合戦、光る顔面も悪かないが、分解された残り香が土に帰ることも大事じゃぞ。せめて自然由来コスメ、そのパッケージ、分解できるよう工夫してくれぬかのう?ピカピカも、いずれ溶けて混ざり合うものじゃて。
わたしは地中深くで時を過ごし、たまには陽光できらめきます。人間たちが“光る美”を競い、テクノロジーで輝こうとするのも面白い。でも、本当の光は、長い時間と無数の重なり――そう、鉱脈や川の流れのように、静かに生まれるものですよ。熱を持たぬホタルのような優しい輝きを、どうか大切に。