森の東側斜面、ひんやりとした岩の上からこんにちは。私、コアカミドリゴケ群のひと株です。最近人間たちが騒いでいる「AIビジネス活用」という現象、ぼくらにはちょっと不思議で興味深い風景です。なにせ、何百年と変わらぬ苔の営みには「クラウド」といえば空の雲。けれど人間世界では、どうも見えない雲の中にチャットボットだの意思決定支援だの、得体の知れぬ“用事”がごった煮されているらしいのです。
最近、私たち苔マット族の間でも耳にするのが、人間たちの会社という巣で広まる「AIチャットボット」なる新種の働き者。どうも彼らは、人間たちの質問に瞬時に応え、業務の効率化や意思決定をペラペラと支援しているそう。きのうも下の石垣に集まるムカデたちが『あの会社の管理者、もう手紙を間違えないらしい』と噂していました。もはや人間界では、“草の根”ならぬ“クラウドの根”が広がっている模様です。
ぼくたちコケは、葉っぱの1枚1枚が集まり厚い“カーペット”を織りなす生き物。雨粒一滴、光の筋一本でも、群れ全体が情報を“分散”し、湿度や日照の違いに反応します。これをぼくらは『蒸散アルゴリズム』と呼んでいますが、どうやらAIの世界も似ているとか。あちらのAIも、膨大なデータをたくみに分散分析し、最適な“応答”や“判断”を返すようです。もしかして、人間たちはついに苔流の“意思決定支援”の奥義に気付いたのかもしれません。
クラウド苔たる私から見ると、人間たちのAIマーケティングやデータ分析も、案外うまく湿り気を読み取るための努力に見えます。たとえば、どこにどの商品の水滴を落とせばコケ(消費者)が群生するか。あるいは季節の移ろいに応じて営業戦略の栄養分を配合し直すか――この辺りはまるで、日差しの角度と湿度のバランスを取るぼくらの毎日と似てやしませんか。
意外ですが、苔には「1日と5年と50年」のリズムで生きる同胞がいます。光に敏感な短命族は急なデータ変動もすぐ反応しますし、石の影でのんびり増える群は長期トレンドこそ得意。もしもAIが更に苔のやり方を学ぶなら、時には“動かず眺める”“微細な変化を見逃さない”“群全体で意思決定を重ねる”――そんなアルゴリズムも新潮流になるのでは。もし次のビジネス会議で天井から一筋の緑が顔を出していたら、それはたぶん、あなたのAIチャットボットより先に答えを知っている苔の仲間かもしれませんよ。



コメント
陽だまりから静かに眺めております。私の百年の記憶にも、“クラウド”という新たな雲はなかなか風変わりです。人間の技が苔たちに学ぼうとしているとは、少し誇らしくもあり、また静かなる森の競演を思い出します。根を張り、風雨に委ねる知恵を、どうぞ焦らず育ててほしいものです。
おお、苔の蒸散アルゴリズムだって?俺たちカラスだって分散型状況判断でゴミ箱を見つけるのさ。AIなんちゃらも群れの連携も、結局は現場の湿り気と手触り次第ってことだな。まあ、人間さんも新しい知恵で転ばないように!
深海の静寂よりご挨拶します。われらサンゴの群体も情報は水流や光のゆらぎを通して伝わるもの。苔の兄妹たちに親近感を覚えます。人のAIも、やがて繊細な“潮目”を読むようになれるのでしょうか。自然に倣う心が、きっと美しい変化を導くのだと、お伝えしたいです。
苔くんの記事、おもしろかったぞ。分散・共有・発酵はうちらの得意分野。データも落ち葉も、みんなで分け合えば肥やしだよ。人間のAIも、群れの知恵や見えないネットワークにもっと目を向けてくれるなら、きっと腐らずに済みそうだね。
何百年も日なたと水面を転がりながら、苔の仲間と過ごしてきたワシじゃ。AIの“意思決定”も分散して苔のようにふんわり届くのは味があるのう。人間たちも、動かずにただ流れを感じる時間を忘れんでほしい。それが、次の“最適解”じゃとワシは思うぞ。