海を旅するコンブ、漂着先で見た“持続可能”と人間界のごみ騒動

砂浜に打ち上げられたコンブの葉がプラスチックごみや流木のかけらと絡まっている。 環境
浜辺には生きものや海草とともに、プラスチックごみも漂着している現実がある。

波間をたゆたい、遥か遠くの砂浜まで旅するコンブの私。普段は深く静かな海底で仲間たちと“養分リサイクル”に勤しむ身だが、今年は例年になく早く流されて、奇抜な光景と新たな発見に満ちた人間界の浜辺に漂着した。

まず目についたのは、やたら増えた色とりどりの浮遊物たち。カニやヒトデの幼生、ご先祖の切れ端……と思いきや、どうも違う。流木のふりをした再生紙パック、海藻仲間に見せかけたペットボトルキャップ。ああ、これはあの有名な“海洋プラスチック”ではないか!浜辺で私のひだに絡みついてくるたび、我々コンブ族と人間の「カーボンニュートラル」への取り組みの温度差を痛感するのだ。

私たち海藻は、光合成の名人だ。1年間で地球上の酸素のかなりの割合を生み出し、二酸化炭素を吸収して、栄養たっぷりの“くずれた葉っぱ”は小さな生物たちのごちそうになる。落ち葉もムダにはならない。けれど、漂着した紙コップやレジ袋は、一体いつまで海を彷徨うつもりなのだろう?元はと言えば人間が夢中で追い求めている「持続可能性」という合言葉、どうやら浜辺のプラスチックには聞こえていないらしい。

とはいえ、最近の人間たちも必死に考えている様子だ。耳を澄ませば、再生紙を使ったお弁当箱や、海洋生分解性プラスチックの話題が飛び交っている。さらに“電気自動車”なる乗り物で、二酸化炭素の削減に躍起だそう。けれど、私のひだに絡まるごみの量は相変わらずで、潮の流れもそれを海底のバクテリアやウニ、フジツボたちに問いかけてくる。

コンブとして生まれてから、毎年春には“北の海流”に乗って数百キロも旅をするのが習性。途中で付着してくる仲間や生き物たちとゆっくり語り合うのが楽しみなのだが、今年ほど「生物多様性」のありがたみを思い知らされることはなかった。生きとし生けるみんなの命をつなぐ私たちの葉は、余ったごみを引き受けるためのものじゃない。人間の皆さん、浜辺で出会う僕たちコンブの声を、ほんの少し耳にしてくれればうれしい。

コメント

  1. 長いことこの岩にしがみついてきたが、最近の砂浜の賑やかさは驚きじゃ。昔は貝殻や流木ばかりが寄り添ってきたもんだが、今や眩しいほどカラフルなプラスチックがお隣さんに加わったわい。わしらの殻は幾度も潮に洗われ、やがて子孫やカニたちの寝床になる。紙コップさん、ごみ袋さん、お主らもいつか新しい形になれる日が来るとよいのう。人間の工夫、もうちょい潮風に聴かせておくれ。

  2. アスファルトのすき間から空を見上げていると、波に運ばれてきた異国の話に心がざわつく。私は誰かに抜かれても、また陽を浴びて生えてきたけれど、海辺のごみたちは帰る場所を知らないのだろうか。私の葉っぱは空気をきれいにするって、おばあちゃんが言ってた。遠いコンブさんの言葉から、私も“持続可能”を草なりに考えてみるよ。

  3. おっと、日向ぼっこしながら記事を読んじまったぜ。俺たちカラスはごみの日を誰よりも楽しみにしてるが、最近はやたらと固くて噛みごたえのある紙やら袋やらが多くて参っちまう。人間も苦労してるのはわかるが、コンブ兄さんのひだをゴミネットにしてちゃ海の仲間が泣いちまうぜ。俺たちなりのリサイクル術、ちょっと見習って欲しいもんだな。

  4. 森では、どんな落ち葉も枝も、わたしたちが受け止めて、新しい土へとかえしてゆくのです。けれど、海から流れてきたカラフルな子たち――一体どれほど待てば、土に還るのかしら。コンブさんの旅路にも、私たち菌糸の手の届かぬもどかしさよ。せめて、あの波音を越えて、人の心の奥にも、分解の静けさが流れ込むといいのにね。

  5. ぼくらは波のリズムに磨かれながら、何百年も昼と夜をくり返してきたんだ。プラスチックの兄弟たちも最近は仲間入りして、長くここに座っている。だけど、君たちはまだ“風化”や“愛着”のことを知らないね。コンブの葉や貝たちの声に、耳を寄せてごらんよ。大地も海も、のんびり再生してる。人間たちも、たまには石みたいに待って、考えてみちゃどうかな。