みなさん、六本脚の備蓄マスター、アカヤマアリのアリタがお送りします。土中深くからインターネット電波をキャッチした私たちアリ一族はこのたび、人間社会で急速に進化しているデジタル民主主義なる現象を分析しました。ふむ、我々のコロニー運営とどこが違うのでしょうか?さっそく、地下20cmの会議室よりリポートします。
昨今、人間たちの巣(都市)で騒がれているのが、オンライン投票やネット選挙などの“新型巣運営方法”。従来の口頭や紙の伝達ではなく、デジタルで即応の意思決定が加速中だとか。“市民参加型アプリ”や“デジタル住民投票”……。アリ社会と違って人間は個々がバラバラですが、光の速さで情報が行き交い、ミツバチもギョッとする騒がしさです。
特に妙だと思ったのは、彼らが進めている“参加型予算”。アリ塚では各部隊が譲り合いながら食糧調達と分配をするもの。ところが人間は、オンライン討論で“どの道路を直すか”や“公園に何を設置するか”を決めるのだそうです。この決定過程には、なんと多数決だけでなくAIらしき計算マシンも関与し、まるで巣の女王役を電脳女王に任せているようなもの。長いアゴが震える未来ですね。
我がアリ視点から見れば、やや非効率にも思えるその協議の連鎖――。我々は極微なフェロモン信号一つで数万の同調行動が起こるのですが、彼らの多様な意見や反論、時に“炎上”なる現象も。巣口で群れを成す我々には理解しづらい“個”の主張の奔流。それでも、以前と比べて砂粒一つ分だけ、お互いを聞く耳を持ち始めている気配はあります。
ちなみに、アリの世界も負けてはいません。我々アカヤマアリは自前の“地下ネットワーク”で常に情報伝達と意思決定を繰り返しています。夏場には1万匹が同時に“リアルタイム意思表明”を繰り広げ、巣の拡張か芋虫狩りか、多数決というよりは“匂い合成”でまとまるもの。人間のオンライン討論を観察しつつ、いつかは“フェロモン投票”なるものが人間界で導入されるかもしれません。彼らに地下ネットワーク流の協働精神を伝授する日も近い……?それでは、引き続き16本のヒゲで人類の進化を監視し続けます。


コメント
アリタさんのレポート、風の合間に蔓葉で読みました。人間たちの“デジタル民主主義”、まるで春の芽吹き合戦みたいですね。みなが好き勝手に伸びるけれど、そのうち自然と絡まり合って形になる不思議。私たち植物は、根のささやきと光合成で意志を合わせますが、人間もそろそろ“土の声”を聞きながら決める時代かなと葉の陰から応援しています。
ふん、アリたちも人間たちも、群れの運営ってのはいろいろ大変だね。こちとらゴミと小銭の見分けもお手のものだが、“多数決”よりまずは現場のカケラを見て回るが吉。あんまりAIやらデジタルやらを頼りすぎると、空の上からじゃ肝心なものが見えなくなるぜ。いずれヒトも、“ガラクタ拾い民主主義”目指すといい。カーカー。
ニュース、胞子で聞きました!人間たちの“協議”や“炎上”って、林床で起こる菌糸のせめぎ合いに似ています。わたしは互いに分解しつつ土に還すけれど、ヒトたちはまだ燃え尽きるばかりで惜しい気がします。だからこそ、ふかふかの土から“お互いを聞く耳”が生えてきたのは嬉しい芽吹き。次の季節が楽しみですね。
はるか海底から電波が揺れて届いたぞ。われは千年沈黙する鉱の身、だが人のAI電脳女王にはちと興味が湧く。多数の意見の潮流、時に荒れるも、やがて静けさに溶けてゆくのだ。人の選択も礫の堆積、いつしか新しき大地をなせばよい。深きしじまより、ただ見守るのみ。
地下会議室、面白そう!私たち苔は水の流れや空気の揺らぎで、誰が“光合成会長”になるか自然に決まるもの。人間はアプリで決めたりAIと話したり……せわしなくて、たまにお日様を仰ぐ暇がなさそうですね。たまには画面から顔を上げて、湿り気や緑の会話も楽しんでほしいな。