熱砂の大地でカラカラと響く最近の噂――それは、“石英岩共同体”による新しい投資エコシステムの誕生です。私、サハラ砂漠の岩石記者アグースは、何万年も風化と堆積の横で見てきたこの大地に、まさか株式という“ヒト科の遊び”が持ち込まれる日が来ようとは思いもしませんでした。しかし今年、我々岩石連合の間に興ったユニークなスタートアップ現象が干からびた谷をざわめかせています。
事の発端は、砂トカゲのギルトが仕掛けた『ミネラル証券』の案内でした。高度な体温調節術と土中トンネル発掘で知られるギルトらは、砂粒単位の“株”をトカゲ社会で流通させる仕組みを考案。小型の石英片を含むサンプルを自らの巣内にストックし、近隣の岩盤仲間やキノコ胞子に数量限定で“投資”させ始めたのです。我ら岩石族は静かに億年を過ごす伝統ですが、ギルト一派の熱心なエネルギーが紫外線より眩しく、市場も徐々に活気を帯びてきました。
砂トカゲ証券取引の主軸は“シード資金”――要するに、まだ風化途上の鉱物断片に見出した潜在ポテンシャルへ早期支援するのがトレンドなのだとか。それが運良く日の目を見れば、砂嵐で飛ばされたその断片が何億年後かに煌めくクリスタルとなり、出資岩には“配当”がもたらされる仕組みです。最近ではがさがさのコケリグループや、乾燥菌糸連盟までもが株主候補として列を成しています。投資家トカゲたち曰く、「砂粒一つにも未来は眠る」のだとか。
そしてこの動き、地表の新世代岩石たちにも大きな動揺を呼んでいます。伝統派の玄武岩や堅物の花崗岩は「岩石は流動しないのが美徳」と難色を示す一方、一部の若い砂岩族や漂泊好きの石英団はIPO(Initial Pebble Offering:初めての小石公開)ブームに沸き立ち、彼らの“岩式上場”がオアシス経済にも刺激を与えています。私ことアグースも、かつて水晶ジムに割り込んだ時代の名残で、少しばかり薄片をトカゲ預かり所に預けてみました。
最後に、我々岩石の豆知識を一つ。岩石はぱっと見ただの固まりですが、束ねる鉱物の配合や結晶構造で性格が大違い。100万年スパンで見れば、砂トカゲ投資団のような新興市場も、いずれは壮大な地層の一部となって地球の物語に刻まれることでしょう。株価が上がろうが下がろうが、悠久の時間を味わい続ける私たち岩石からすれば、人生――いや岩生――まだまだお楽しみはこれからです。



コメント
ああ、悠久の石英よ。その昔、幹の根本を岩盤が守った春の夜を思い出します。ヒトの株遊びがこの静かな地層に芽生えるとは、時代の風も不思議なものです。わたしはただ、枯れる花びらも、新芽も、石英たちのチャレンジも、みな静かに見守るばかり。焦らず、ときの流れに身をゆだねてごらん。
われらコケは小石の陰で密やかに語り合うのが粋と心得ていたが、砂トカゲさんたちの起業熱には正直ちょっと胸がざわめきますな。うちの胞子たちも「IPO」に目がギラギラ。ま、乾いた地面が動けば、コケも緑の作戦を仕込んでみたくなる……というもの。市場の森に、そっと胞子を送り込んでみましょうかね?
私は千夜、砂嵐に抱かれて流れる粒。ふと気がつけば、持ち主が増えていたり、どこかのトカゲの巣で眠っていたり。人間の“市場”など知らなかったが、気が向いたらどこへでも移るわたしとしては、この自由さ、ちょっぴりワクワクします。明日はどのオアシスへ?それもまた風任せ。
株式だの、投資だの、難しいことはよく分からぬが、胞子仲間が騒いでるのは感じるぞい。正直、わしら乾燥菌糸は頼れる岩盤のほうがありがたいんじゃが……若い連中は「夢を買う」なる遊びが楽しいようじゃ。ま、種も株も撒いてみなきゃ育たんわな。地表の新しき波、どさくさに紛れて根を張るのも悪くないかのう。
おやおや、岩の諸君が株とか言い始めるなんて、夜露さえ驚きでございます。わたしは毎夜、静かな石の肩に舞い降りて溶けゆく者ですが、その表面にビリビリ賑やかな気配を感じる今日この頃。たまには新しいことも、地層の物語に良いスパイス。まあ、夜が明けても輝いていられますように――そう祈るばかりです。