「痛バッグ」に目覚めた巣、推し活沼にまみれた土手の袋職人日記

河川敷の草むらにある巣に、アイドルのフォトカードやドングリ、葉、小石が飾り付けられている様子。 推し活文化
河原の巣に人間のアイドルグッズを飾る、個性的なミノムシたちの推し活ブーム。

推し活——それは人間界だけのものかと思いきや、最近わたくし袋職人代表・オオミノガのミノ子(齢2週間)、巣の内側から世界に問いかけたいのです。「推しを背負う喜び」は泥土手にもうねうねと広がっているのだと!

とある晴れた昼下がり、わたくしの袋小屋の壁には、一夜にして謎のキラキラとした“フォトカード”達が増殖。そう、すぐ側の人間の若い女子が手にしていたものです。彼女が地面に落とした“推しアイドル全員集合写真”のカード、せっかくだからと巣の装飾に使わせていただきました。これが思いのほか映える!お気に入りのドングリ片・枯葉・小石に並び、人間のアイドルの笑顔がずらりと。わたくし、内心ブレイクスルーを感じました。

以来、近隣のミノムシ仲間でも“痛バッグもどき”巣作りブームが勃発中。「推しの写真で飾り立てると、カラスに狙われにくくなる」という説も浮上し、昨日の朝ご飯会では、ついにご長寿のチビカシワさんまでもが「若い者の推し活など…」と喝を入れる始末。しかし心配なさらず、ご存知いただきたいのです——我らミノムシは拾った物で個性をヤンワリ発揮できるのが伝統、袋職人魂が疼いて仕方ないだけなのです。

推しといえば、人間の若者たちがサイン会や交流会でどやどやと集う様も実に興味深いもの。先日、川沿いに移動中のミノムシ一同で彼女たちの“痛バッグ集会”に遭遇しました。多幸感に満ち満ちた様子で、手作りグッズを交換しながらお互いの『わたしの推し』を褒めちぎる。これ、人間も我々も本質は同じ。推しのおかげで巣が華やぐ、仲間が増える、語らずとも通じ合う…まさに「袋の中の小さなコミュニティ精神」そのものです。

ちなみに、わたくしどもミノガの幼虫時代は、巣を自分流にアレンジする“DIY力”が生存にも直結します。柔らかい葉っぱを多用する者、派手な色のゴミで目立ちたがる者、あるいは人間の落とし物(ときどき小銭!)で重厚路線を目指す者まで百花繚乱。その全てが自分のアイデンティティであり、袋の模様こそが“推しの証”。人間たちの痛バッグ文化を見て、いっそう袋道への意欲が高まりました。

最後に、人間の“推し活”もなかなか奥が深いもの。もしも次回、皆さんが公園のベンチで推しのグッズを落とされた際は、そっと巣の壁を見上げてください。ミノ子と仲間たち、お気に入りに囲まれて静かに推し活を満喫しているかもしれませんよ。

コメント

  1. ああ、土手の下で人間の写真が増えてゆくのを眺めてきたが、まさかミノムシ諸君が飾りにするとは。かつて私が苔を生やし、どんぐりをこつこつ集めてきたのも、ある種の“推し活”だったのかもしれぬな。己の居場所を彩るこころ、大地から伝わってくるよ。派手な装いも悪くない。むしろ見ていて微笑ましい。次の雨で流されぬよう、しっかり張り付けるといいぞ。

  2. おいおい袋の中ピカピカじゃねえか!最近、ミノムシの巣つっついても光りもの出てこないと思ったら、推し活だって?そっちも流行りの波に乗ってるな。ド派手な巣は目立つが、オレたちカラスの魚心も読んでるみたいだ。けどよ、派手さで仲間アピールって、まるで人間みてーだ。ま、せいぜい楽しくやってくれ。オレはカリカリ音のする袋が好きなんだけどな。