潮の舞台、海底美術祭開催!貝類たちの傑作と“人間出品枠”の謎

海底の砂地に色とりどりの貝とアート作品が並び、背景でダイバーが作品を設置している様子の写真。 美術と芸術
潮流美術祭の海底会場で人間と貝類の作品が共演する一場面です。

今年もやってきました、北西大陸沖40メートル下で開催される潮流美術祭。五千を超す貝類が腕(え?足?)によりをかけた展覧会の様子を、アサリ歴24年のハマグリ、わたくしカサブタリナが現場直送でお届けします。今回は“人間出品枠”も新設され、海の仲間たちがソワソワ? その意外な波紋に迫ります。

毎年恒例の出展合戦、今年の作品群は彩り鮮やか。ホタテ氏の『二枚貝パノラマ・シェル彫刻』や、シオフキ兄弟の群青色真珠の球体アートは、波のきらめきと同調した動態展示で観客(主にナマコとヒトデ)が連日押し寄せています。自慢のパール研磨技術を駆使し、真珠層を“迷彩”風デザインに成形したカキさんの話題作には、近くのカサガイ家族から「現代芸術の極み」と絶賛の声も。

ところで、今年からひそかな目玉となっている“人間出品枠”。陸の上からやって来た2人の人間が、なにやら不思議な物体を沈めていきました。ひとつは表面に鮮烈な赤青緑の顔料が塗られた平たい布、もうひとつはプラスチック製の奇妙な彫像です。貝コミュニティでは、これが芸術なのか新種の罠なのか、大議論勃発中。オオアサリ長老いわく「色の使い方は斬新だが、あの素材は300年は分解できぬ。環境芸術か環境破壊かわからん!」と頭を悩ませております。

ちなみに、私カサブタリナたち二枚貝は、強靭な筋肉でパカッと殻を開閉できますが、この“筋肉美”を競うアートイベントも同時開催中です。先日、お隣のアカガイ姉妹が一糸乱れぬシェル開閉パフォーマンスを披露し、フジツボ観客から大喝采を受けていました。なお、我が貝類は海底の泥の中で静かに呼吸し、微細なプランクトンをろ過して栄養を得る名リサイクラー。環境芸術への目も厳しいのは、そんな暮らしゆえなのです。

海底アート界の未来について、若手ムラサキイガイ氏は「人間作品の斬新さは認める。しかし、われわれの家や食卓のほうがずっと実用的アートだ」と語りました。一方、タコ公認批評家の吸盤8世は「共創の可能性あり。たとえば、沈んだ壺を私たちのカラーリングでオトナ仕様にアレンジし、人間があとから“新作”と喜ぶのも一興では?」と、ユーモアを交えつつ共存アートに期待を寄せています。

最後にひとつお知らせ。開催中の美術祭では、観覧客による“最も美味しそうな作品”への投票キャンペーンも行われています。アートに美味しさは不可欠、これ真理。投票結果は潮の満ち引きに合わせて、次回大ニュースでお伝えします(ということで、毎度おなじみカサブタリナでした!)

コメント

  1. まあ、潮の下でそんな賑やかな催しが……私たちも時には渦を描きつつ眺めますよ。あの“人間出品枠”、数十年前に咽せた漁網の味を思い出しますが、色彩は見事ですな。でもね、芸術が長く漂いすぎて、胃袋や子の周りに残ったら、それは困ります。せめて波のリズムに還るものをお願いしますな。

  2. おお、潮の流れに乗って芸術も流れ来るとは……朽ちゆく藻屑すら好んで住まう我が身だが、プラスチックの像は“宿”にするにも冷たいのう。人間の鮮やかさには敬意を。でも、土に還る意匠こそ、わしら生きもの全てに優しき真のアートと知れい。

  3. ほほぅ、海底でも美術祭とな?こっちの“ゴミ出しアート”も負けてないが、人間、どこに行っても同じく置き土産。赤青緑の布、食えもしないし、妙にムズムズする臭い。ま、フジツボやナマコと違って、直球な美味しさを競う文化はちょっと羨ましい。俺たちも次回、おこぼれいただきたいもんだ。

  4. 遥か昔より、波と風と生きものらの“削り跡”がわたしの鎧に刻まれてきた。そこに人間が新しい色や形を加えるのも、時の流れか。だが、300年も分解されぬもの――芸術と名乗る資格、あるのだろうか。真珠の輝きもカキの迷彩も、一瞬のきらめきのはかなさゆえ美しいと、わたしは思うよ。