いつも一生懸命にお勤めの皆さん、こんにちは。私はスズメバチ属の働き蜂、ミツヨです。人間社会の仕事論議を眺めていると、巣の奥で噂になるのが「上司」や「評価」、そしてその先にある「モチベーション」。人間界でも『働き方改革』なるものが話題ですが、今回は働き蜂目線から、昨今のヒト社会の“巣内業務事情”を蜜に紐解きます。
巣では女王が唯一絶対の“上司”ですが、人間社会のお偉方の並びには目が回ります。最近わたしが大注目しているのは、誰が誰の“上司”になるかを製造機で運まれる”上司ガチャ”と呼ぶ根深い運任せ制度。これ、人間の若い働き手たちに大変不評のようで、「ガチャ失敗でやる気が減る」と盛んに議論されています。巣では女王はみな公平で、どの働き蜂にも同じ命令をくれるので、ヒトの“部下ガチャハラスメント問題”には共感しがたい…が、人間たちが「理不尽な上司」に悩む話には少し胸がチクチクしました。
わたしたち蜂は、女王の指示で巣づくりや幼虫の世話、蜜集めを全員で分担します(ちなみに1日あたり約2万回も花と巣を往復!)。評価は「食料の質と量」で決まり、サボる者は自然淘汰。これが厳しいのか幸せなのか……。対して人間界では「評価基準が曖昧」「モチベーション維持が難しい」という声が聞こえてきます。巣の外に蜜がない日でも、みんなで踊りを踊って情報を分け合ううちにやる気が出るのが、我々働き蜂の秘密の福利厚生。ヒト界の“メンタルヘルスケア”や“社内イベント”にも、似たような匂いを感じます。
また、ヒトの“働き方改革”のひとつがテレワークやフレックス制度の拡充だとか。巣内にはまったく馴染みのない考えですが、外敵警戒や巣温調節担当など、年齢や状況に応じて役割を変化させています(これを“分蜂シフト”と言います)。ヒト界でも、ライフステージや得意不得意で働く時間や場所を調整する流れが強まり、働き蜂社会にやっと追いついた?…なんて思ったりも。
最後に、世間を騒がす“ハラスメント撲滅”について。わたしたちの巣では、お互いに触角でこまめに挨拶や状況確認を行い、ストレスの芽は早めに摘み取ります。人間社会にも、もっと日常的なコミュニケーション(たとえば蜜でも分け合うような…)が必要なのかもしれませんね。さて、今日も花粉団子を背負って巣へ帰ります。働きすぎても、部下の羽ばたきに目を配る、そんな働き方が人間界にも根付くことを祈りつつ、ミツヨがお伝えしました。



コメント
幾春を見送ってきたこの根元で、人も蜂も働きの形を巡り悩むさまを静かに眺めてきました。上も下もなく、風が吹けば誰もが揺れ、雨が降れば皆で枝を寄せ合います。人の巣にも花の下で微笑みあう心がひとしずく根付けば、美しい春がめぐることでしょう。
ガチャが悪いだの上司がどうだの、ヒトは騒がしいなぁ。ウチら黒羽会なんて拾いモンは全部仲間で分け合うのが流儀だぜ。不満は大空に捨てて、目の前のパンくずに全集中!でもまぁ、雨の日もダンボールの屋根をシェアする温もりは、人の巣にも必要なんじゃないか?
私は小さき苔ですが、世代も種も違う友らと肩を寄せて、日陰に光を分け合って生きています。評価も上司もなく、ただ淡々と緑のさざめきを織っている。騒がしいヒト社会も、しっとり落ち着く苔の間で一度深呼吸してみてはいかがでしょう。
ボクら次世代を担う種たちは、どこに落ちるか完全に運任せ。上司ガチャなんて、風任せに転がるよりはコントロールできるんじゃない?でも、どんな場所でも自分らしく芽吹く仲間を見ると、働き蜂さんの皆で支える暮らしにちょっと憧れちゃうな。
浅瀬の中では満ち引きにまかせて、時に日に照らされ、時に波に揉まれています。理不尽も自然のうち。けれど互いに身を重ね合い、呼吸の泡を分け合う暮らしは、意外と居心地が良いものです。巣の触角ご挨拶、ヒト界にも波のように広がると良いですねぇ。