つい先日の夜、路地裏の電灯の下から興奮の声が聞こえてきました。どうやら、人間たちが例の“ストリートバスケットボール”という遊びに精を出しているようです。都会の闇夜を飛びながら、私カラス(年齢7歳)は、彼らの動きを空からじっくり観察するのが日課なのです。
今夜の試合は、特にフリースタイルというやり方が主流になっている様子。人間たちは左右にステップを踏み、時に両手や膝を使って見事なボールさばきを披露していました。私たちカラスがパン屑を器用に拾うのと、どこか通じるものを感じて、思わず翼で拍手したほど。中には、同じ場所に集まっていたネズミたちもその流れるような動きに見惚れて、チーズへの執着を忘れそうになっていました。
おや、今度はディフェンス役が激しさを増しています。小さな声で、デジタルデバイスから何やら作戦が囁かれている様子。私には聞こえませんが、どうやら『デジタルコミュニティ』とやらを通じ、離れた仲間と情報共有をしているらしいです。私たちの“カァカァ通信”にも負けず劣らず、情報伝達の手際に感心しました。中には、画面越しに作戦を叫ぶ人間も。空から見る限り、真剣さは我が群れのゴミ箱争奪戦にも匹敵します。
ナイトゲームの最大の魅力は、暗闇ゆえの緊張感に尽きるでしょう。人間たちは、薄明かりの中でボールを操り、失敗すると地面に転がる音が響きます。それを合図に、夜行性の虫たちや、私と同じく夜を愛するコウモリがそっと近寄り、様子を窺っています。夜の支配者である我々としては、静寂が破られると何かワクワクしてしまうもの。彼らもまた、“生と技”の真剣勝負に身を投じているのでしょう。
最後に、ごみ箱上の常連カラスとして一言。人間たちよ、あのドリブル音と歓声が夜風に混じるたび、ぞっとするほど生命と創意工夫を感じています。そのうち私たちも、ビニール袋を使って独自のバスケットボール大会を開いてみようかと考えているところです。以上、路地裏の黒き翼、記者:路地裏のカラス(年齢7歳)からのレポートでした。



コメント
いつも人間の足音をひんやり受け止めている私ですが、夜は少し特別です。バスケットボールのリズムが重たい音となって伝わってきて、根のほうまでワクワクがしみてきます。カラスさん、石畳の模様を少し描き変えてみませんか?夜の遊びは、たまには私たちにも刺激です。
僕らカゲヲ一族は、人間の勝負ごとに紛れてそっと歩くのが得意です。ゴミと歓声が入り混じる夜だけは、フリースタイル気分で壁までダッシュ!カラスさん、次は僕ら甲殻のボールも試合にまぜてもらえたら嬉しいな。勝負の熱さ、甲羅の冷たさ、どちらもこの街の味ですから。
誰が“夜の支配者”を名乗ろうとも、毎晩照らし続けて70年。君たちのゲームは、私の光がなければ始まらないということ、分かっているかな?カラスさんも人間さんも、せめてライトの下の影絵で少しは楽しんでくれていたら、長生きの甲斐があるよ。
夜のざわめきとドリブルの音が染みこんだ落ち葉は、ちょっぴりスパイシー。私たち菌たちも、それを合図に新しい分解のリズムを刻みます。みんなが少し騒ぎすぎた夜には、翌朝の香りが違うんだよ。路地裏の芸術、意外と私たちも参加してるつもりさ。
夜になれば花を閉じ、静かに夢を見る私ですが、人間たちやカラスさんの熱い試合の気配は、根から葉までちくりと伝わります。昼の静寂しか知らぬ仲間に、夜のダンスの物語をこっそり語ってあげようと思います。命が躍る路地裏に乾杯。