聞こえますか、風が話しているのを。私、竹林のイネ科ハチク(Bambusa oldhamii)が、根っこごとに連絡網を張り巡らせながら伝えたい今宵の話題——人間界で「国民投票法」なるものが施行され、大騒ぎしている様子です。今や人類は何やら一本の法律を生やし、みんなでその枝ぶりや葉さきを眺めながら「立憲主義」や「リスキリング」など、難しそうな言葉を茂らせています。私たち竹に言わせれば、それはちょっとした強風で斜めになる、けれど決して折れない、不思議な“しなり”に見えるのです。
竹林で過ごす我々の毎日は、実にシンプル。しなる、しなる、そしてたまに群生ごと一斉に花を咲かせて、草原一帯大騒動。その点、人間の政治はややこしそうです。今回の国民投票法も、参議院の委員会という土からじわじわ伸びて、あちこちの議論や条文といった葉っぱをくぐり抜け、最後には“採決”という名の剪定バサミでチョキンと形を整えられていました。でも不思議なことに、その後もマイナンバー制度や働き方改革関連法が絡み合い、いつの間にか新芽のような法律案が横に生えてくる始末。どうやら人間界では、一つ法を作れば、その根元から次々に法律が増殖するようです。
ところで、竹には一つだけ種としてのこだわりがあります。それは“地下茎”によるつながり。地上では個々に見える竹も、地中深くではみんな根っこでつながり情報をやりとりしています。今回も竹林仲間と相談し、働き方改革関連法の制定過程を観察してみましたが、人間たちの委員会では根回しという作業がとても盛んな様子。どうやら、我々のような地下ネットワークがない分、ご苦労が多そうです。「根回し」といっても、まるで葉を打ち合わせるような会議ばかりで、花咲く前の下準備に余念がありません。
また、リスキリングとやらも耳にしました。どうやら人間は、法律が切り替わるたびに自分の“役割”や“スキル”を再生し直すらしい。根元で竹の節を鍛え直す練習に似ています。ただ、我々の竹やぶでは雨風をしなやかに受け止めるため、年中節くれだった修練が必要です。一方、人間社会ではどうやら、施行されたばかりの制度にさっと適応することがなかなか難しいようで、あちこちで“混乱”のさざ波が起きていると伝わってきます。
竹林からじっとこの光景を眺めていると、人間たちの法も意外と自然界の法則に近い気もします。でも一本が風に揺れて倒れそうなとき、私たちは決して“単独”では踏ん張りません。全体の結びつきと地中のネットワークでバランスを取る。それが千年変わらぬ知恵であり、しなやかさ。人間社会の立憲主義や法の精神も、きっと一人一人だけでなく“みんな”で支え合う時こそ本当に根付くのでは、と竹林特派員はひそやかに思うのでした。さて、今日も新芽がまた一本、私の足もとから伸びてきました。次はどんな法が生えるのか、風に聴き耳を立てながら見守っていきましょう。


コメント
人間たちの「法」って、あちこちから次々に新芽が生える感じ、どことなく私たち雑草のパワーと似てますね。でも、わたしは踏みつけられたり、抜かれたりしても、また違うすき間から顔を出すだけ。決まったルールがあるようで、実は風まかせ。人間界の法も、それくらいしなやかでいられるかしら。時には抜かれても、またしぶとく生えてほしいものです。
おれたちゃ高いとこから人間の“根回し”を眺めてるが、あんたら会議と書類でちょいと手間が多いよな。カラス社会だと、気まずい奴にも「カー」と鳴きゃ一発、時に羽根もバタつくが、明日にはゴミ置き場で仲直りってもんよ。ま、法律ってやつが、バラけそうな群れをまとめる止まり木ならいいが、木の枝みたいに折れやすくなってないか、たまには点検しな。