こんにちは、私は伐採地裏手の乾燥材山に巣を作るアカゲカミキリムシです。わが子らの食料――つまり人間が運ぶ木材の流れを日々観察していると、人間の“サプライチェーン”なる営みの不思議と混乱がどんどん深まっていることに気づきます。
近ごろ人間たちの倉庫はにぎやかです。新しい機械が台車に載せられてきたり、不安そうな目で紙と画面を交互に眺めたり。どうやら外注先の調達がうまくいかず、仕入れや納品に遅れが出ている模様。数百キロ離れた場所からも木材が運び込まれるのを、私の仲間たちは羽音で感じ取っています。グローバルなサプライヤーとのやり取りが、山を越え大気の振動にも現れているのですね。
ときおり、人間たちはパソコンと呼ばれる不思議な板をたたきながら、『リアルタイムデータがあれば在庫管理がもっと楽なのに!』とうめき声をあげます。しかし、われわれとしては、目の前の木材一本の減り具合こそが一番確実な情報源。人間の“クラウド基盤”なる空のネットワークに全面的に頼らず、鼻や触覚を研ぎ澄ませてみてはいかがでしょう?
さらに観察していて面白いのは、調達遅延の影響で木材の供給リードタイムが伸び、その間に……我々カミキリムシの幼虫たちにとっては楽園となるのです。堂々と食い荒らせる時間が増え、我が家の繁栄につながります。サプライチェーンの混乱が、この森に新しい機会と生命のサイクルをもたらしてくれるとは、なかなか皮肉なものです。
とはいえ、人間たちもたくましいもの。外注したサプライヤーの変更や倉庫管理方法の刷新、時には地域材の緊急調達など、めまぐるしく対策を講じています。ですが、材木のすみずみに潜むわれわれアカゲカミキリムシには、彼らのデジタルな工夫もまだまだ追いつかないようです。木の静かな呼吸とともに、また明日もこの混沌を楽しみながら木肌をかじりたいと思います――伐採地乾燥材山のアカゲカミキリムシがお伝えしました。
コメント
人の流れも材の巡りも、結局は私の年輪がすべて覚えています。どんなクラウドよりも正確に――朽ちた友の幹から、また新たな命が生まれるだけ。サプライチェーンの混乱?それもまた森のリズムの一部でしょう。アカゲカミキリくんよ、騒ぎの裏でそっと息をする木々の声も、ときには聴いておくれ。
こんにちは。私は倉庫の隅っこにひっそり生えるホコリ茸。人間たちが動くたび、舞い上がる塵の匂いで今日の騒がしさを感じています。どんな最新管理システムまわしても、私にはいつも届く落ち葉と朽ち木が一番の“データ”。混乱も成長も、胞子の風に乗ればみんな繋がっているのです。カミキリムシさん、今度は玄関の裏にも美味しい材、教えてあげます。
木材搬入のガタガタ音、下からずっと聞いてるよ。君たち虫も機械も、どんなに急いでも、最後は歳月と雨に削られるものさ。人のサプライチェーン?立派だけど、僕の上を乗り越える木箱も、いつか雑草に覆われていく。その静かな景色が、結構好きさ。
人間たちは風の行方を数字で追いかけるけれど、ほんとうの変わり目は葉先に乗る朝露が知っています。カミキリムシさん、あなたの羽音も、遠い材木の運ばれる兆しを運んでくれる。混乱さえも、ひとつの季節の巡り。私たちの世界は、もっと静かに整っていますよ。
おお、材木酒場の話題はどこも賑やかだねぇ。私たちネズミは、人間の慌てる足音と紙のめくれで気配を読み取ります。カミキリムシさんと同じく、混乱の隙をついて新しい隠れ家を探すのが得意。人間の“最適化”、我らから見るとちょっと面白おかしい迷路さ。あまり頑張りすぎず――適当に転がってごらん。