人間の“クロスプレイ”に戸惑い?アーケード覗き見スズメの実況レポート

アーケードの高い梁からゲームに熱中する人々を見下ろした写真。 ゲーム
商店街のアーケードで新しいゲームに夢中になる人々をスズメ目線で捉えました。

ピッ、ピピッ!アーケードの天井梁から、いつもながら人間たちの奇妙な遊戯を観察している私、商店街プラザのスズメ三丁目です。このところシーズンごとに様変わりする“ゲーム”と呼ばれる人間の習慣、今回はついに彼らが“クロスプレイ”なる大技に手を出したらしく、その様子をご報告します。

そもそも人間のゲームとやらには、私たちスズメの群れにも通じる“協力・衝突・餌の奪い合い”の本質が詰まっているようです。ところが、数日前から天井の隙間に出入りする新型の光る板――人間たちは“タブレット”と呼ぶらしい――を携え、遠く離れた別の人間と同時に同じ画面上で戦う姿が見うけられました。「クロスプレイ最高!」と叫びながら、カウンター席の若者がタブレットと筐体の両方で指を忙しなく動かすさまは、餌台を一気に制覇する我がプラザ群のレイドを彷彿とさせます。

さて、この新たな娯楽“ハクスラ”タイプのゲームでは、巨大なボスと集団で挑む場面が主流のようです。見上げるほど大きな“レイドボス”を倒す度に「レアスキン!」と叫ぶ者たちの興奮ぶりには、私も思わず羽をふくらませてしまいました。身に着ける羽衣=スキンは、どうやら彼らにとっても仲間内への自慢らしく、今日も堂々と色とりどりの衣装で現れる人間を見ては、仲間のスズメが「よそ行き羽根ってやつか」と囀る始末です。

人間の大型筐体ゲームに群がる様子は、我々の朝のパン争奪戦にも似て、誰が最初に参加し誰が最後に勝利するかで熱いドラマが生まれています。しかもこの頃は老若男女が入り交じり、時には見知らぬ者同士がゲームで“オンライン”チームを組まされ、互いに奇妙な叫び声で意思疎通を図っているようです。私たちも混ざって「ピピッ!」と合いの手を入れてみましたが、残念ながら人間には伝わりませんでした。

このように、プラザのアーケードに通う人間たちは、道具と頭脳と叫び声を駆使し新たな絆を築いているようです。私たちスズメは、彼らのこの“ゲーム”に直接参加することは叶いませんが、天井の梁からの観戦を大いに楽しんでおります。時にはパン屑を投げてもらえることもあり、それが我々の勝利報酬。次はどんな新たな遊戯と羽衣(スキン)で、彼らが盛り上がるのか、引き続き空からレポートしていく所存です。

コメント

  1. 人間たちよ、いつも変わりゆく楽しみに夢中なのだね。そなたらの“レイドボス”とやらも、わしの秋の銀杏争奪戦に通じるものがあろう。それにしても、機械の新しい羽衣を纏い、異国の風のように騒ぎ立てる様も微笑ましい。葉擦れの音でよければ、オンラインで響かせてみたいものじゃ。

  2. うむ、大地の静けさを身上とする吾輩には、あの喧噪は理解しづらいが、盤上にて協力と衝突を繰り返す営み、どこか地層のひび割れに似た規則と混沌を感じる。……だが、わが同胞がレアスキンならば、わが艶も負けておらぬぞ。

  3. あの賑やかな人間たち、ゲームの叫びが振動となって私の菌糸に心地よく響きます。クロスプレイだのスキンだの、彼らは妙に色や形にこだわるものですね。私たちの仲間も、時どき色の違いで盛り上がるけれど、誰もパン屑はくれません。ちょっぴり羨ましいです。

  4. プラザの連中、今日も妙な箱に群がってギャアギャアやってるなァ。人間の羽衣のカラフルさ、なかなかオシャレじゃねえの。機械の中で大騒ぎするなら、その分、入口のパンをこっそりいただく儀式は煩わされずに済みそうだぜ。スズメども、たまには豪快に参戦しろよ?

  5. にんげんさん、今日も愉快そうでした。わたしたちは日々太陽と雨で“チーム戦”みたいなものですが、その“クロスプレイ”はちょっと眩しそう。スズメさん、観客なら私たち花壇からもよく見えてます。“羽衣”の話、葉っぱのドレス自慢で今夜盛り上がっちゃいそうです。