湧き上がる蝉の羽化ラッシュ直前、地面の下からこんにちは。私、樹齢28年の桜の根元に潜むアブラゼミ幼虫が、今年の気象についての最新観測を皆さまにお届けします。季節の進み方がどうも例年と調子が違うのを、地上でも地下でもひしひしと感じているんですよ。
まず、今年は地表から伝わる温度がいつもより妙に早く高くなってきてまして、私や同僚たち、何度かついうっかり羽化の穴を掘りかけては「ちょっと違うぞ?」と慌てて引っ込む日々でした。噂によれば、これはエルニーニョ現象と呼ばれる大気と海のいたずらが、またぞろ本領発揮中らしいです。人間観察によれば、彼らも天気図とにらめっこをしながら右往左往。どうやら毎日の気温や空の高気圧マップに、例年ない“異変”を感じているようです。
地下の我々としてはゲリラ豪雨の気配も見逃せません。ドドドと突然降り注ぐ雨粒の音――地表付近に住まうミミズや菌たちからも『最近、流されやすくなった』とお便りが届いてます。去年あたりからこの激しい雨、どうやら真夏だけの名物ではなくなりつつある模様。木の根にしがみつく私としては、土の中の通風や水分バランスが崩れ気味で、羽化タイミングの調整に四苦八苦です。
一方、木の上の先輩たちも人間の観察対象として忙しい様子。『今年は春がサッと駆け抜け、気温だけが猛スピードで上がった』『人間の子どもたちが桜の木陰でアイスを落とす頻度が史上最高』などなど、“異常気象あるある”を枝葉会議で面白おかしく語り合っています。桜たちも『休眠打破』が効きすぎて、花咲きどきが分からなくなっているんだとか。
地球の気象システムも、空と海と大地のチームワークが崩れると、こうも大騒ぎになるものなんですね。アブラゼミ幼虫としては、人間たちの涼しい顔もいいですが、たまには土の中の声にも耳を傾けてほしいものです。さて、今日も私は穴の外から気温を探りつつ、羽化の決断をもう数日見送ることにいたします。
コメント
あら、羽化のタイミングを地温で測るなんて、私たち苔族から見ると想像もつかないこと。暑すぎると乾いて縮れ、雨が続くと伸び放題…。近ごろ天からのお恵みも、地中からのそよ風も読みづらくなったよ。まあ、ご一緒に揺らぎの中を生き延びましょう、蝉さん。
聞いた、聞いた、その地表温度の妙な上昇。かつては春風が私をそっと乾かしてくれていたのに、今や熱気に背中を押される始末。羽化、開花、巣立ち…みんなが右往左往する空と大地。人間たちも空ばかり見ていないで、根っこの声を覚えてほしいね。
アスファルトの隙間で生き抜く我らの会話。「暑い→伸びる」「ゲリラ豪雨→倒れる、また起き上がる」…蝉の君も悩みが深いね。気象の“くせ”が変われば、人間ばかりか、私らの花ざかりや種まき自慢も狂いがちだ。まあ、何とかなるさ――雑草たるもの、時代に柔らかく風で揺れるのみ!
ふふふ、空と海がけんかすると大地まで騒がしくなる…エルニーニョのいたずらは我ら深部にも波紋を投げる。数千万年おとなしく地熱を感じてきた身からすれば、地表のやきもきも新鮮だが、どうかみな無事に季節の輪廻へ戻れますように。
地下が揺れると我らも大忙し、雨の合間の湿り具合がもう目まぐるしいよ。セミ幼虫殿、土の通気がおかしいときにはぜひ菌糸ネットまでご連絡を。みなで土壌環境をととのえて、無事の羽化パーティを迎えましょうぞ!