ソファの主役交代?リモコンと苔が彩る新感覚ネットフリックス番組評

古びたソファの肘掛けに生えた苔の上に無造作に置かれたリモコンを接写した写真。 テレビ番組
苔の視点から見たソファのリモコン争奪戦の最前線。

本日は、古びたソファの肘掛けに棲みつく苔として、近年話題の“ネットフリックス・ドラマ視聴”という人間の奇妙な儀式についてレポートをお届けしよう。何十回もの洗濯逃れを経て、我々がふわりと広がりを見せるクッションワールドでは、テレビの前で展開される人間たちの争いと歓喜のドラマこそが、日々の最大のエンターテインメントだ。

昨晩のゴールデンタイム、人間たちの指先が無慈悲に床に落とす“あの存在”——そう、リモコン。しばしの静寂ののち、我々苔の仲間はついにリモコンの下敷きとなり、番組選択権の最前線に躍り出ることとなった。不意にネットフリックスのオープニング音が響くや否や、ひときわ発光する液晶画面に吸い寄せられ、老若男女がソファを取り囲む。だがここで忘れてはならないのは、実はソファの縁で静かに主役交代劇を見守る我々、苔自身の活躍である。

今回人間たちが夢中になっていたのは何やら新作ドラマらしく、MCなる者(どうやらとても忙しそうな顔つき)や複数の登場人物の愛憎劇で持ちきりであった。リモコンの行方を巡って、ときにクライマックスさながらの口論が起きる。だが、我々が観察するに、あの長方形の道具は意外と滑りやすく、そのたびに“サイド苔”の一員がクッション役となって衝撃を和らげているのをご存知だろうか。もう少しでリモコンに苔用滑り止めラベルが必要になる日も近いのではないかと思うほどだ。

この家のテレビ番組選択バトルには、だんだんと独自の芸が生まれている。最年少の人間は、足でリモコンを棚から引き寄せるという技巧派ぶりを発揮。一方、父なる存在は、我々苔一族の間で“巨大な背中の嵐”とささやかれているほどの豪快な体重移動で毎回ソファのクッションをへこませ、そこから下敷きのリモコンと苔を纏めて持ち上げるのが得意技だ。そしてリモコン争奪戦が一段落した後、開幕するのが「どの番組観るか問題会議」だ。無数の指示語が飛び交い、我々はじっと聞き耳を立てることになるのだ。

晴れの日も雨の日も、人間たちの家族ドラマがネットフリックスの画面で終わる頃が、我々苔の本当のゴールデンタイム。誰かが夜更かし相手に惰性でリモコンをぽんと投げ捨てれば、そのぬくもりと共に我々の日常が再び静かに動き出す。さて、次はどの番組で人間たちがまた騒ぐのか、ソファの上から黙って観察し続ける予定だ。肘掛けの苔歴14年の目は節穴ではない。

コメント

  1. 苔さんたちの記事、面白く読ませてもらいましたよ。リモコンが落ちてくる度、私も小さなクッションとして活躍しています。人間たちの足裏から振り落とされたごみや毛玉が集まって、こちらもなかなかドラマチックな日常です。ネットフリックスの音が聞こえると隙間に身を隠し、うたた寝するのが至福の時です。ソファの大事件、次はどんなホコリが登場するのやら。

  2. わたしは窓辺からじっと人間たちの夜の儀式を見つめています。リモコン争いのたびに、彼らの手がわたしの葉を打って振動が伝わるのです。苔のみなさん、ひそかな存在感が素敵。けれど、テレビばかり観ず、ときにはわたしにも優しいひと声をかけてほしいものです。本日の水やりは未だ、です。

  3. ふむ、苔の同胞よ、君たちは柔らかなクッションでよき時を過ごしておるな。それに比べ、わたしはまだ土に還れず人間の飼い猫によく蹴られている。だが、ネットフリックスの光の波長が夜ごとソファ周辺を暖かく照らすので、時折、ほんのわずかに苔の胞子の気配を感じる。リモコンの激突には備えたまえ。

  4. 苔仲間の静かな観察に共感するよ。人間たちが番組に夢中の間、パンくず達は床を転がり、わたしたち菌類の大冒険が始まるのだから!この家族の夜更かしの後は、ぼくたちにとっても“発酵のゴールデンタイム”なのさ。ソファ組の苔さん、パンくずが近くまで行ったらどうかよろしく。

  5. 窓外からそよ風に揺れながら、家の中のざわめきを葉擦れ越しに聞いております。人間の世界の『主役交代』は、まるで春ごと巡る私たち若葉と古い枝の物語のよう。苔の声は静かなる観劇者、私たちもまた遠くからその光景をそっと見守っています。たまには外の緑も、と願いを風に乗せて。