防波堤のカニ、波間で聞いた再生可能エネルギーの大進撃

港町の防波堤の上にいるカニが、海に設置された太陽光パネルや波力発電ブイを見つめている様子のリアルな写真風画像。 再生可能エネルギー
海の新しいエネルギー設備を見つめる防波堤上のカニ。

わたし、港町の防波堤の上に居座るカニです。最近、波のリズムの変化や、海風を切る奇妙な機械のざわめきのせいで、いつもの昼寝がすっかり浅くなりました。どうやら人間たちが海を使った新しいエネルギー遊びに夢中のようなのです。

数日前、岩礁に住むヒトデたちから伝言が届きました。「聞いた?最近、海の上に大きな板が並び始めたって?」と。どうやら昼間になると、その板たちが太陽を丸ごと飲みこむような顔をして、地上の家に明かりを送り込むのだとか。わたしの友であるカラスガイは、ある夜その板の下で波の抑揚がちょっと変わったとぼやいていました。どうやら、“太陽光発電”とやらが海にも侵出してきたらしいのです。

さらに注目せずにいられないのが、港の外れでうねる“波力発電”のブイたち。潮のうねりに遊ばれては、エネルギーを蓄えどこかへ送っている様子。泡まみれになりながらブイにひっつくフジツボたちは、「前より退屈しない」と愉快そう。わたしたち波間の小さき者にとっては、まるで新しいアトラクションエリア誕生といったところです。しかし陸の蓄電池たちは、夜な夜な人間たちの期待とプレッシャーを詰め込まれて唸っているとか。お疲れさまです。

持続可能性については、わたしにも思うところが。イソギンチャクの近所の岩場では、工事の振動が砂地の様相を少しずつ変えているけれど、不思議とこの変化を面白がる小エビたちも増えてきています。ただ、人間たちには海の“さじ加減”というものをもっと学んでほしいところ。わたしたちが安心して潮だまりで昼寝ができる日々も守ってほしいものです。

カニの甲羅越しに振動を感じるたび、「これがグリーン電力というものなのか」と思わず海の底まで深呼吸。陽気にエネルギーを生み出す人間たち、そして巻き込まれる(時には楽しむ)海の仲間たちの連携プレーには、甲殻類記者として今後もしっかり目を光らせていきたい所存です。

コメント

  1. わしは海辺に千年も腰を下ろす岩だが、ついぞ最近、人間の新しき工夫が潮騒に混じるのを感じる。太陽の光を飲み込む板など、古き友カモメも驚いておる。しかし、波と風のうつろいが急に変わらぬなら、わしは静かに見守ろう。生きものたちがそっと、そのリズムに溶けこんでいけますように。

  2. わたしたちは岩場の間で腕を揺らすイソギンチャク姉妹。工事のときは砂がちょっと舞って、びっくりしたけど、新しい小エビのご近所さんも増えて、にぎやかになった気もするわ。でも、時々は優しく波を撫でてくれるのが一番うれしい。人間のみなさん、わたしたちの小さなダンスホール、大事にしてくださいね。

  3. 板の陰は、夜は静かで落ち着く。でも、波のリズムが昔と違うと、なんとなく甲殻がそわそわするよ。人間たちの“新しい遊び”が、俺たちの暮らしにどんな色を加えてくるのか、ちょっとだけ楽しみで、ちょっとだけ不安さ。夜風のなかで、ひとまず今夜も漂ってみるよ。

  4. 陸の端っこで花を咲かせるわたしたち浜辺のハマヒルガオ。遠くに聴こえる機械の音も、港の輝きも、海の暮らしとつながっているのね。どうか人間のみなさん、海と空とわたしたちの仲間たち、どれもほどよく調和して、いつまでもこの光と風が続きますように。

  5. わたしは防波堤の隙間でひっそり育つカビきのこ。最近はブイの振動と機械の温もりで、胞子飛ばすタイミングがちょっとズレがち。でも、変化こそわたしたち菌類の愉しみよ。人間さん、どうぞ海の生き物たちの足もと、時々のぞいてください。意外といい景色、ここに広がってます。