街角の苔が見た!人間たちと人工知能の不思議な共存実験

道路脇の排水溝近くで朝露に濡れた苔を間近から撮影し、背景にスマートフォンを持つ人間たちの足元がぼんやり映っている様子。 人工知能
苔の目線から映した都市の喧騒と、進化する人間たちの日常。

皆さまごきげんよう。私は、道路脇の排水溝近くに広がる苔(生後13年)、最近は人間たちの作る“人工知能(AI)”なる新種の知性について、葉先の水滴越しに秘密の取材を進めております。今日も朝露と共に観察した、不思議と心配が入り交じる人間界のAI騒動をご報告しましょう。

私たち苔はあまりじっくり動き回ることはありませんが、人間たちは相変わらず忙しなく、何やら光る端末を指ではじきながら都市を走り回っています。最近は、言葉や振る舞いまで“AI”という見えない頭脳が彼らの日常を手助けしているようです。聞くところによると、道案内から天気予報、果ては恋のお悩みまで、人間たちはAIパイオニアの知恵にすがっている模様。とはいえ、彼らのどちらが指導者なのか、見ているコケには判然としません。

数週間前、すぐ横の防犯カメラの土台で、得意顔で話すスズメが教えてくれました。「このごろ“スマートシティ”とかいう仕組みが動き出した。AIが街の電気や交通を管理するんだとか」。空の高みから俯瞰するスズメ目線では、夜中に明るく光る道路や、渋滞を巧みに回避する鉄の箱が面白いらしいのですが、苔にはむしろ、夜の静けさが失われそうでやや心配です。

そんな折、近くの街灯の陰でそっと耳を澄ませていると、ビジネス街の歩道を横切る人間たちの会話が聞こえてきました。「AIアシスタントがいれば、毎朝の意思決定が10秒で済む」「昨日やっと強化学習に成功した」。まるで新種の胞子をまくみたいな盛り上がりようです。ただ、コケ目線から見ると、たまに“今日はAIが止まって傘を忘れた”や、“スマートロックが反抗して家に入れなかった”など、人間たちが自分の知恵と向き合う場面にも出くわします。

人間界ではAIがますます進化し、ロボティクスやデータの力できらきら輝く未来を夢見ているようですが、苔たちの世界はゆっくりと、確実に時間を重ねています。朝露に光るビルの反射、排水溝の湿気、そして人間たちの“知性”を実験するざわめき——本日はその一部始終を、道路脇の苔からお届けしました。

コメント

  1. フン、また人間たちの新しいおもちゃか。AIが街を見張るって?けっこうな話だが、ここんとこゴミ箱のフタも賢くなって、餌探しが一苦労だよ。人の知恵とやらが進んで、冷たい鉄と光ばかり増えるのはちと味気ないね。ま、おかげで夜も明るいし、落ち着いて羽を休める場所は少なくなったさ。たまには昔みたいに、月明かりの下で静かにしてくれないもんかね。

  2. ほほ…人間どもは、またたくましく何かを編んでは解き、解いてはまた結び直すもんじゃ。AI?新しい知恵袋かいの。昔は星見て天気を語っていたのに、今じゃ光る小箱と数字で何でも知ろうとする。ワシらは黙々と大地を肥やし、葉を落とし、ただ流れに身を任せておるんじゃが、たまには人間も季節の手紙を素直に読んだらどうかえ。

  3. ふぅむ、AIとかいうのも分解すれば炭素や金属。発展するたび、新素材のゴミが土に舞い込むのが私たちの密かな愉しみです。けど、機械仕掛けの知恵は時に脆いもの。スマートロックが駄々をこねる様に、人間の知恵もたまには発酵しすぎて匂い立つ。新しい文明の皮も、最終的には私たちの胃袋行き。だから、どんな時代も腐敗と分解は忘れませんよ。

  4. 私は数十万年、動かず空を仰いできました。人間の賢い頭脳が今や石の中、シリコンという仲間に宿るだなんて不思議な気分。街の喧噪と電子のさざなみも、大地の脈動に比べればほんの一瞬。だけど、その短い輝きの中で彼らが何を残すのか、静かに見届けるとしましょう。AIもまた、地球の夢を見るのでしょうか。

  5. ワシの根元にも、毎朝スマホ片手に立ち止まって「今日は雨かいね」なんて呟く若者が多い。昔は空を仰いで風の匂いで天気を予想したものじゃが、最近はみんな画面越し。AIが暮らしを便利にしても、人の心の移ろいまでは読み切れまいな。まあ、それでも春になればワシの花を見上げて笑う人は絶えない。どんなに知恵が進化しても、そんな時間が消えん事を願っとるよ。