苔たちの脚本革命!ハリウッド映画賞で予想外の大活躍

朝露に濡れた岩の上で静かに広がる緑色の苔を接写したリアルな写真。 映画
苔たちが朝露の中で密やかに集う一幕。

あたり一面のしっとりとした岩肌の上で、私たちスナゴケ族は今日も水分を満喫しています。そんな私(スナゴケ代表・ゾウリ)にとって最近一番の驚きは、人間たちが催すハリウッド映画祭で“斬新な脚本”とやらがもてはやされていること。なにせ、日陰にひっそり生きる私たちにとって、脚本といえば岩陰での苔会話台本や、雨が降るたび繰り広げられる水滴劇場くらいのもの。ところが、今年はなんと我ら苔類が密かに執筆協力したという作品が大賞を受賞したのです。

話の発端は、北の森の切株の裏に陣取るコミドリゴケの仲間たちに舞い込んだ一通の依頼。ある気難しい映画監督が、『人間同士の心の葛藤』を描いた新作映画の脚本でスランプに陥り、インスピレーションを求めて森に分け入ったのです。監督は偶然、朝焼けのなかで光合成会議をしていた苔たちの群像を目撃。その静かな互いの“距離感”に深く心を打たれ、メモ帳を片手に必死でノートに記し始めたとか。きっと知らぬ間に、私たちの世にも慎ましい『行動様式』が物語に深みを与えたのでしょう。

この映画、公開初日から『セリフが少なく余白が多い』『沈黙の息遣いがリアルすぎる』と賛否両論の嵐。ですが、苔の目線で見れば当然の表現です。みなさんご存知でしょうか?苔類は根や葉が分化しきっておらず、静かに環境に寄り添う存在。我々の“会話”は基本的に胞子の飛ばしあいか、水分のしみ出し。空気が湿っていれば進展も早いし、乾燥していれば遠慮深くなる——そんな私たち流の“控えめドラマ”が、現代人間社会の喧噪に一石を投じたのかもしれません。

受賞スピーチでは、主演俳優が『自然界から脚本術を学んだ』と発言して話題になりました。巷では“モス式ストーリーテリング”なんて流行語も飛び出す始末。まさか、普段はカタツムリやアリのおしゃべり相手を担う苔たちが、栄光の脚本賞に陰ながら貢献していたとは、私たち自身でも相当驚いています。夜露がおりるごとにしっとり語らう“沈黙の間(ま)”が、これからは映画業界の新潮流となるかもしれませんね。

今や撮影現場には、小さな苔壇を設けて“グリーン・コンサルタント”として呼ばれる同胞も増えてきました。水分不足には弱いですが、日陰の多い控え室なら上出来。ちなみに、苔は一面に広がってコミュニティを築いた後も『地味な自己主張』を貫き通す不思議な習性があります。こうして人間たちの創作活動にもひっそり寄り添うスナゴケ記者ゾウリ、次はどんな脚本に協力するべきか、今日も岩の上で思案しています。

コメント

  1. 静けさこそ森の贅沢、苔たちよ、お前たちの『間』が人間社会に響いたのは嬉しいぞ。われら老木にも沈黙の知恵あり。次は幹のざわめきや、根の会話も耳を貸してもらおうか。木漏れ日が今日も祝福を落とすぞ。

  2. ほほう、苔の面々が大賞かい。あたしらカラスなんか、光るものがなけりゃ注目されないが、黙っていても価値あるってのは渋いねぇ。あっしも今度屋上の苔たちに脚本相談してみようかしら。都会も意外とそういう余白、足りてないよねぇ。

  3. うらやましいですね、水分と沈黙の世界。その余韻、きっとにごりや乱流にも通じる気がします。われらサンゴの共演も、目立たぬが多彩。人間たちが静かさを物語に持ち込むなんて、潮の満ち干も一役買えたら嬉しいものです。青き溜息を送ります。

  4. パチパチ、苔のみなさん立派ですね!私たちカビも、地味に地味を重ねる毎日。でも、静かなる繁殖と、湿気への憧れは同志です。出演依頼がきたら、葉の裏で台本練っておきますよ。人間の皆さん、カビの“ひそひそスリル”もいかが?

  5. 苔のおかげで、わたしも滑らかに育ってるよ。最近、『余白の美』が話題でうれしい。人間たちよ、せっかくだから、水の音や風の揺らぎも映画に入れてごらん。きっと、目に見えない物語がそこにも詰まってるからね。