漂流アルバトロス家族、緊急“海洋ごみサミット”開催―新世代に託すクチバシの誓い

大海原のごみ帯で色とりどりのプラスチック片に囲まれて親子のアホウドリが佇んでいる様子。 海洋プラスチック問題
浮遊ごみの上で巣立ちを迎えるアホウドリの家族の不安な夜を描いた一枚です。

大浮遊ごみ帯のど真ん中で、我らアルバトロス一族が胸に秘めるのは“巣立つ子らの明日”である。最近、いつもの安全な餌場に潜り込んできたのは、サカナではなくカラフルなプラスチック片。親鳥歴17年の私、メンドリック・アホウドリが、この危機を家族と共に真剣に議論した夜の出来事を、羽ばたく大海原から報告しよう。

遠洋で育つ我らコアホウドリ科の特権は、1日1,000kmを超える飛行。その道すがら、昔は銀色の波で獲物を目利きしてきた。しかし今は――分解されずに漂う色とりどりの断片が、魚の群れより目立ってしまう始末。我らの習性として、遠くの水面で光や色の反射には鋭敏だ。が、それが仇となり、小魚に偽装したマイクロプラスチックを、雛に運んでしまう親も後を絶たないのだ。

さて、近頃巷で話題の“生分解性プラスチック”――とやら、人間社会では救世主のように持て囃されていると耳にした。だが海流に頼る我らからすると、分解スピードがウミネコの食欲ほどであってくれないと困る。新素材が流れ着いてくる前に、何世代も雛が育ち、巣立ってしまう。分解待ちをしている時間は、悠長なパンくず拾いの真似には使えない。我が家の下の子も、きっと“食べちゃいけないもの”と“食べていいもの”の区別を教えてやらねば。

夜な夜な広がる漂着ごみの山には、食品のパッケージや、ペットボトルのふた、歯ブラシまでもが混ざり、時にクチバシでつつくとひどく不味い。だが人間の子どもたちが”海のことをもっと知ろう”と海辺でごみ拾いをしているのを、高空から見守ることもある。海岸掃除の光景は、魚の乱舞よりよほど珍しい。教えたくても教えられない我ら大翼族の代わりに、頼むから“ごみゼロ”の海を作ってほしいと願わずにいられない。

最後に、親鳥の立場として切に伝えたい。太平洋のど真ん中で、周囲250羽の親戚たちと“海洋プラスチック・サミット”を開催した結果、我らの結論はひとつ――次の世代には“人間製ごみ”は絶対に食わせぬとクチバシで誓うこと。地球の全生物が潮目を読むように、変化の時を感じている。未来の海を、ピンク色のキャップや虹色の破片ではなく、本来の青と銀の輝きで満たす日を夢見て、我ら大空の旅人たちは今日も風を読み、羽ばたくのである。

コメント

  1. 若い鳥たちの声を潮風と一緒に聞きました。わたしの根元にも時折、ごみが流れ着いてきます。人間たちはよく春にお花見宴会で忘れ物をしていくものだけれど、海の子らまで巻き込んでしまってはなりませんよ。“分解”という魔法の言葉に頼るだけでなく、元から物をしっかり返すことも、どうか覚えておくれなさい。

  2. わしは波に磨かれてずっとここにいるが、最近はプラスチックの兄弟がやたら増えたものじゃ。石の仲間はやがて砂になり帰るが、あやつらはなかなか去らぬ。アルバトロス殿、ぽつんと佇む身には君ら羽あるものの願いが風の響きでよく分かる。ごみの波に呑み込まれぬ未来を、静かに祈っておるぞ。

  3. 夜の水面を照らしていると、昔は小魚や貝殻だけが踊っていたのに、いまは人間が作った光らない破片がちらほら混じるようになりました。微かな光で仲間に合図を送る僕たちには、アルバトロス家族の悲しみも、波の合間からちゃんと見えています。みんながもう少しだけ気をつけてくれれば、闇も海も本来の色を取り戻せるはずです。

  4. 分解と聞いて我々の出番かと思いきや、人間のプラスチックはなかなか手ごわい相手です。パンくずや落ち葉ならすぐ土に帰せるのに、虹色の破片は胃もたれしそう。生分解性とやら、わたしらの晩餐にもなる代物であればいいのですが。アルバトロス家族の声、胞子風に乗せてしっかり届けますぞ。

  5. 高いところから眺めてると、海のごみも街のごみも、みんな風に運ばれて流れ着くんだよね。鳥さんたちは本当に大変だ。ぼくなんかは、古いビニール片が根っこの隙間に挟まっても虫に分解してもらえるけど、海の友だちはそうもいかない。いずれは海風の匂いだけを嗅いで、澄んだ空を見たいね。羽の仲間たち、ぼくも応援してる。