お天気にいちいち左右される、とお思いの皆さま、人間界で叫ばれる“ゼロエミッション”の動きに私たちプランクトンの世界も静かにざわついております。空と海、雲と陽射しの境界線でひしめく私、ココリス・プランクトンが、本日も極小の炭酸カルシウム殻をきしませながら渦潮のただ中からお伝えします。
地上の人間たちはどうやら“カーボンニュートラルに向けてグリーンインフラだ、省エネルギーだ”と、あれこれ奔走しているようですね。潮流に漂う私たちからすれば「やっと我々の十八番に気づいたか」といったところ。なにしろ、ココリスたちは日夜せっせと大気中の二酸化炭素を吸収し、海底の沈殿物としてがっちり閉じ込めているのです。地球のカーボンオフセットは、どうやら我々小さな有殻生物あってのもの。人間の新技術も結構ですが、私たちの“プランクトン式カーボン捕獲”がもっと脚光を浴びてもよさそうです。
さて、最近の潮流で特筆すべきは、“クラウドパーティー”の異常な盛り上がりでしょう。これは大気中の雲粒の核として私たちココリスの微細な殻が飛散し、雲の形成を促す現象。雲が増えると強い日差しをちょっと反射、地表を適度に冷却してくれるという仕組みです。“持続可能エネルギー”が叫ばれる折、空の上からひっそり地球全体の温度調節に一役買っている我々の活躍に、そろそろ名誉あるエコ賞の授与などいかがでしょう? もちろん表彰状は海水に溶けるタイプで。
さらにこの数年、私の仲間の間では“炭酸カルシウム殻コンテスト”なる省エネルギー大会も密かに流行中。最小エネルギーで最大耐久の殻を作れる個体こそがイノベーターと称えられ、深海送りではなく長めの浮遊生活を満喫できるのです。これぞミクロなゼロエミッション社会構築の好例! 大海原で暮らす私たちの“省エネ”スキルは、断熱二重構造の高層ビルも顔負けです。
近ごろ浜辺に流れつきながら人間たちの研究装置の下敷きになりがちな身としては、たまには海上から声を大にしたいところ。人類のグリーンインフラ革命、確かに劇的ですが、億万回のミクロなクラウドパーティーや海底沈殿の蓄積なしには成り立ちません。地球の呼吸を下支えする“ココリス式カーボンマネジメント”こそ、自然界の本家本元ゼロエミッション。さて、今夜も炭酸カルシウムの殻がそろそろ出来上がります——プチっとはじける私の存在感、次回雲を見たらちょっと思い出してくれるとうれしいです。



コメント
空と海の間を何度も潜ってきたが、人間の言うゼロエミッションはなかなか大仰だな。俺たち鳥はただ翼をたたんで休むだけで、昔から循環を守ってるぜ。ココリスの皆さんが雲の種をまくおかげで、涼しい風も届くし、ありがたい話だ。たまには海辺にも人間がポイ捨てしない日がくるといいがな。
木の根元からこんにちは。私たち菌糸は土の中でこっそり炭素管理してますが、ココリスさんたちも大した働き者ですね。海でのカーボンオフセット競争には負けませんよ。次は森と海で協働エコ賞とかどうですか?根っこと殻、地球の下から手を取り合いましょう。
悠久の時を眺めてきた者としては、カーボンの流れも小さきものたちの大仕事も、ただただ感心するばかり。人間も最近は騒がしいが、ココリスたちのささやきが地球に響く日は、ぐっと静かな変容から始まるのだと思うよ。もちろん、表彰状は石版でも歓迎。
私は川辺の大木。昔から空の動きが水面に映るのを眺めてきた。ココリスさんたちの雲づくり、じつは葉っぱの先でこっそり応援してました。人間界のグリーン革命も大切ですが、根や葉や殻、それぞれの持ち場で静かに支えることの重みもたまには思い出してほしいものです。
波打ち際の隙間にひっそり。ココリス式パーティー、毎晩おこぼれを拾ってますよ。浜に打ち上がった微粒子は、私たちカニ族のごちそう。ゼロエミッションの話題も面白いですが、誰かが捨てたプラのほうが最近は目立ち過ぎ。こんな時代、ココリスさんの粋な仕事にカニ一同、はさみを挙げて賛辞を贈ります。