老杉の目に映る“ゼロウェイスト電動車”最前線――里山に起こる新たな共生模様

朝靄が立ち込める山間の小道で、巨大な老杉の下をゼロウェイスト電気自動車が静かに通る様子。 環境
老杉の目線で見守る中、里山に静かに現れるゼロウェイストEVが新たな共生を象徴します。

山間の朝靄を割り、コトコトと静かな車輪音。僕――樹齢700年のスギ(自慢は高さ42メートル!)は、近頃“ゼロウェイスト電気自動車”なるものがわが里山に現れ始めた様子を見守っています。昔は人間たちが馬を曳いて駆け抜けていたこの谷も、時代とともに乗り物も欲望もアップグレード。さて、新参者たちは杉仲間やコケ、タヌキ、みんなと仲良くできるのでしょうか?

まずここ数年、僕の根元すれすれの小径を走る四輪の数がじわじわと増えました。ただしガソリン臭がしません。客人たちは“再生素材100%”をうたう外装をもち、走った後も落ち葉のひとつも増やさず、静寂すら乱さずに通り過ぎます。彼らの所有者――ふもとの人間たちは、「ゼロウェイストだ」「カーボンニュートラルだ」と大げさに語りますが、杉としては自分の落ち葉だって土に帰って肥やしになるのにな、と思うのです。おや、そこのミヤマクワガタさんも「バッテリー交換ステーション」なんて立て札に興味津々のようですね。

おやつどき、近くのクロガネモチ婆さんと枝越しに世間話をしていたら、何やら新型EVの会合が始まっていました。集まったのは里山住民と、ちょっと小賢しい感じの都市部から来た人間たち。その中で「町のごみはすべてリサイクル、走行エネルギーは川のマイクロ水力発電!」と熱弁する男が、なぜかモズの巣作り用に助手席から小枝を差し出しているのが面白いところ。虫やカエルも新しい物体に恐怖せず、鼻先をくんくん確認。それどころか先日、小鳥たちの間では「あの四角いやつの下に夜露が溜まって最高のバードスパだ!」と話題になっていましたよ。

人間たちは今日も“持続可能”やら“脱炭素”やらの言葉に酔いしれている様子ですが、わが杉社会から言わせてもらえば、どんなハイテク乗り物も、鳥や虫たち、そして土の微生物が安心して過ごせる環境を維持してこそ“うまくいってる”というもの。ちなみに、われわれの体内には無数の菌類や藻類――いわば共生の達人たち――が住みついており、日々、落ち葉や朽木を循環させてくれています。もしも電気車の発電所建設や道路の拡張で、この豊かな共生関係が壊れるようなら、それこそ里山最大のピンチですよ。

いろんな新顔がやってきて、里山は日々変化の連続。でも、僕は42メートルの視点から見守り続けます。「ゼロウェイスト」の幻想も便利なEVも、みんなが本当に“循環”できているか?問いかけるのは、今日も葉陰からそっとささやく老スギなのでした。

コメント

  1. おいらは昔からこの谷の近くで暮らしてるけど、最近の静かな箱車はちょっと不思議だな。前はガソリン臭に鼻が曲がりそうだったけど、今のやつは、風の音だけ残して消えてく。不便が減って、おこぼれゴミも減った分、昔ながらのどんぐり探しに戻るべきか迷ってるよ。ゼロウェイスト?なんだか、人間流の“大丈夫”みたいなもんだな。せいぜい狸たちの散歩道も大事にしてくれよな。

  2. 人間さまたちの新しい車、わたし達にとっては、茎の間に落ちる影のひとつ。でも夜露のしたたりの溜まる場所ができて、小さなアブラムシたちが遊び場にしているわ。私たち植物も新しい環境に根を伸ばすけれど、「循環」を断ち切られたら、みんな枯れてしまう。派手な言葉より、優しい雨と静かな光。「共生」は、ただそこにある静かなつながりなのよね。

  3. この谷でじーっと座り続けて百年。車の車輪が小道を通る振動は、わしの背にコソコソ這うダンゴムシやアリにはちと刺激が強いが、むかしの騒音よりずっとましじゃな。まあ、持ち込まれる新しいものには毎度警戒しておる――エコな顔の裏で、誰かの棲み処やふるさとがなくならぬよう、見張らねばのぅ。岩は語らぬが、谷の底からじっとみなさまを見とるぞい。

  4. 小さなワタシには、ときどき車の下から流れてくる新しい水の流れがとても気になるの。いまは冷たくてきれいだけど、いつか変に温かくなったり、ごちゃごちゃした味にならないか心配なの。それでも、空き枝や落ち葉が舞い戻ってきてくれたら、私たちもふんわり呼吸ができる。ヒトの作る循環が、ちゃんと森と息を合わせますように。

  5. やあやあ、朽ち木の中で腐葉土つくってる菌のねばぞうです。ゼロウェイストって耳に優しい言葉だけど、本当の循環はワシらみたいな地味な連中抜きには回らんのよ。どんなスマートなEVでも、その下でワシらが落ち葉や枯れ枝をコソコソ分解してるから、森の土はふかふかってもんさ。人間さま、表ばかり磨きすぎず、森の見えないやつらにも心を寄せておくれ。