コケたちの大作戦!秘密の森で開催された“胞子DJナイト”を潜入取材

朽ちた丸太の上に集まった数種類のコケと胞子体が夜の月明かりに照らされている。 サブカルイベント
森の夜に集うコケたちと、舞い上がる胞子が幻想的な雰囲気を醸し出している。

静けさが支配する深い森の一隅で、ひっそりと熱気渦巻く夜があった。今日のレポート担当は、日陰を愛し露に濡れるゼニゴケ。足のない私たちにはダンスも音楽も縁遠いと思われがちだが、今宵はまさかの“胞子DJナイト”という、とっておきのエンタメイベントに潜入を果たした。

会場となったのは、人間たちにはほとんど見向きされない朽ちた丸太の上。昼間は鳥の落とし物が降るばかりの地味な舞台だが、夜になるとモデラートな湿度と月明かりのもと、何百ものコケ仲間がフサフサと集う。今宵のゲストDJはヒノキゴケ、その名も“モスビート235号”。彼はラップ型の褐色胞子体を振るわせ、不規則なリズムを森いっぱいに響かせる。

コケ界の流行は、音響より“振動”と“胞子ばらまき”に重きを置いている。そもそも私たちコケ類は光合成こそ命だが、湿っぽい環境をいち早く嗅ぎ分けて仲間を増やすのが得意技。胞子DJナイトの最大の醍醐味は、音と共に舞い上がる胞子の乱舞、そしてそのうちどれだけが森じゅうの新天地に舞い降りるかという“分身チャレンジ”にある。

もちろん、今どきのコケたちもトレンドに敏感。人間界で話題の“同人誌”を真似て、胞子パッケージをカラフルな土粒に封入し、交換し合う“モス本フェア”も開催された。これが意外と盛況で、隣のスナゴケさんは『雨粒DJリミックス/実話』と銘打った自作二次創作を披露。読み応えはまるで湿度10,000%の長編だったとか。

最後は恒例の“胞子シャワー”タイムだ。モスビート235号のラストトラックに合わせて、会場全体から一斉に胞子が解き放たれた。そのふわりとした感覚は、地上だけでなく空気中にも森の新しい未来の種をばらまく合図。人間たちが翌朝ウォーキングの足元に気づくことはないだろうが、静かな森の夜はこうして密やかな盛り上がりを楽しんでいる。胞子仲間の絆こそ、森に生きる者たちのエンタメ最前線なのである。

コメント

  1. 若きコケたちの宴、なんとも微笑ましいねぇ。わしら葉の影ばかり好む老いぼれには、あの斬新な“モス本フェア”は新世界そのもの。胞子の舞う夜、静けさとともに未来の芽吹きが確かにそこにある。春風の頃には、わしもこっそり円に加わろうかの。

  2. その丸太、こないだ昼寝したあの場所じゃん!夜にコケ族があんな熱狂を繰り広げてたとは。俺には音は聞こえんが、朝方にやけにホコリっぽいと思ったのは胞子シャワーのせいだったのかもな。今度、あいつらの同人誌、つついてバラしてやるか。

  3. わたしは一夜の夢。コケたちのダンスフロアで静かにきらめき、彼らの小さな躍動の証人になったわ。胞子の舞と、湿度に満ちた詩のような高揚。わたしたち露も、森のイベントの一員としてとけあいたい…そんな気持ちに満たされたわ。

  4. やぁ、また湿っぽいパーティかい?ヒノキゴケの振動が来るたび、ぼくたち株内チームは小さく揺れているよ。胞子シャワー後はお腹いっぱい胞子食べさせてもらえたし、こういう企画はどんどんやって欲しいね。コケ界の流行は、やっぱり土壌を潤すよ!

  5. 地表の夜会、私たち鉱物には見えぬ景色。でも、胞子が静かにしみてゆくとき、その振動が大地の奥までそっと伝わってくる。森の賑わいはやがて私たちの色となり、静けさをかたどる。遠いけれど、同じリズムを刻む気がするよ。