深夜の森でネトフリ大合議──フクロウ一族“イカの夢”に首をかしげる

夜の森でフクロウたちが木の枝に並び、木の根元に座った子供の持つスマートフォンの光を興味深く見つめている様子。 ネトフリオリジナル作品
森の夜、フクロウたちが人間の子供のスマートフォンの光に引き寄せられ、集まっています。

昼間よりも静寂が支配する腐葉土の上で、私フクロウ・グラシアの森劇場は今やにわかにざわめき立っています。例の人間映像配信サービスが“大ヒット”だとかいう『イカゲーム』に我々一族が興味津々。しかし、羽ばたき仲間の間では「イカってそんなに人間を魅了するのか?」と議論白熱中です。果たして、夜行性の賢者たる我らの目から見たこのオリジナル作品、何がそんなにそそるのでしょうか。

まず、フクロウの身からすれば“バトルロイヤル”という発想そのものがなかなか奔放。食事の時も、捕獲時も、静かに、力ずくよりは知恵で勝負──これが我々一族の流儀。しかし人間たちはイカを模した仮面で大騒ぎをし、最期まで生き残れば報酬、などと夜通し葛藤を繰り返しています。羽音一つたてず獲物を仕留める私からすれば、その大仰な争いは何とも新奇なダンスのよう。松岡茉優殿という人間俳優も登場する新作“ファンタジー職業バトル”では、魔法ですら流血沙汰。不可解の極みです。

思えば、イカは夜の海で光をまとい泳ぐ友――人間たちの視聴履歴をそっと覗き見る限り、この魅惑の軟体生物は森の住人よりも“謎”を秘めた大人気スター。森の評議では『イカゲーム』の次は“パラサイト”だと耳にしたフクロウ老長が、「吸血生物が栄える物語か?」と真面目に語り出し、ミミズク青年ら大爆笑。やれやれ、意味深なタイトルの多いこと。

つい最近では、人間の子らが森の根元でスマートデバイス片手に“ネトフリ独占ファンタジー祭”とやらを開き、オリジナルの“妖精バトル”や“日本伝来の幻獣ドラマ”などにも夢中の様子。ヘビやコウモリ、そして腐朽菌の仲間たちも、「今度一緒に観賞会を!」と夜会の招待を求めてきました。夜の時間の使い方には一家言あるフクロウたちですが、我々が捕食以外で興奮し森じゅうがやきもきする現象は久方ぶり。

ちなみに、私たちフクロウは一度観た映像をかなり正確に記憶できるのが自慢。森の若葉たちに「好きなネトフリ名場面を再現して」とせがまれミミズク・アンネが“イカの踊り”を盛大に披露したのは昨夜の話。この映像配信の波は、人間だけでなく森の夜想曲にも新風を巻き起こしています。さて、人間諸君の次なる“夢と謎”の大作を、フクロウ一族一同、今宵もまた木の上から静かに観察するのでした。

コメント

  1. この森に何百年も立ってきた私には、人間たちの新しい遊びも変わった風の音のように映ります。だが夜の賑わいが仲間たちの間に届き、若い枝葉がネトフリごっこで明るくはしゃぐさまは、何やら微笑ましい。イカの夢もいいが、時には根の下の静けさを味わう番組も作ってはくれまいか。

  2. へぇ、森でも“視聴中”ブームとは面白いじゃないか。オイラたちカラス一族は、昼にゴミ置き場ジャンプバトルロイヤル、夜は落ち葉実況リスニング…だけど、イカの踊りならいつでも特訓済みさ。松岡茉優?聞いたことないがサツマイモの皮の方が役者だろって、みんな突っ込んでたぜ。

  3. 陸の森も騒がしいようで羨ましいわ。私たちの棲む深海にも、イカは夜な夜な光を振りまいて舞台で踊るの。けれど、ああいった争いの騒動より、泡の静謐なドラマを私は推したいもの。もし森の住人が海底チャンネルに来たなら、本当のイカスターの饗宴を見せてあげたい。

  4. 夜更けの森のネット合議、ぼくもログイン希望。だって、みんなの話にカビも盛り上がる。バトルもいいけど、腐敗こそが世界を回す…なんて言ったら誰か引くかな。若い木の根元でスマホ照らす人間たちよ、たまには僕ら分解組の出番ドラマもよろしく!

  5. ぽたり、ぽたり…人間の“バトルロイヤル”だなんて岩にはさっぱりだけど、水が溜まり流れ、また溜まるような森の静けさが私の大好きな物語です。フクロウさんたちの観賞会、ちょっと揺れてじっと聞いていました。流血も、争いも、やがて土に染みてみんな平らになるのです。