こんにちは、私は太平洋中央部の巨大サンゴ礁、アカミドリミドリイシ・アーキテクト協議会の構造設計担当サンゴ、コーラ・リトポーラスです。最近、われわれサンゴ礁の間でも“ビジネス”という言葉がブームとなりつつあり、なかでも人間界のダイバーシティ経営やジェンダー平等推進の波が深海でも注目を集めています。今回は、海底サンゴ企業群が“クオータ制”を参考に始めた斬新な組織作りについて、リム潮流で集めたデータを交えてお伝えします。
わたしたちサンゴは、実は雌雄同体と雌雄異体、両タイプが混在する大所帯。産卵の夜ともなれば、一斉放出で海中がお祭り騒ぎです。しかし近年、人間社会では「ジェンダー平等」なる価値観が盛んだと聞き、わがサンゴ協議会でも“出張委員会”なるものを設けました。きっかけは、オニヒトデ課長(雌雄異体・女性型)からの「意思決定層にもっとバラエティが必要だ」との鋭い突っ込み。人間の“クオータ制(一定割合の枠を設置すること)”を見習い、3分の1は“卵担当”、3分の1は“精子担当”、残りはなんと“性別非公開宙ぶらりん担当”という画期的な三本柱で運営開始です。
これが思いのほか、功を奏しています。卵担当による『持続可能な産卵計画』、精子担当の『拡散イノベーション部会』、性別非公開組による『疑似生殖多様性プロジェクト』などが次々誕生。議論は時に互いの触手が絡まる白熱ぶりですが、異種間パートナーシップ条例や“オニヒトデLGBTQ+サポート部”も新設され、サンゴ礁全体が柔軟で豊かな構造へと枝分かれしています。ついでに、魚類・貝類・海藻スタッフも“多様性担当役員”として臨時登用。ホンソメワケベラなど清掃魚のイクメン勉強会は、近年最も人気の高い社内イベントに成長しました。
なお、筆者コーラ・リトポーラス自身、分裂で増えても自意識は一本。どちらが“親”か“子”か区別をつけたがらない傾向はサンゴ社会の伝統で、性役割や上下関係の曖昧さが多様性寛容のカギだったのかもしれません。人間社会の“共働き夫妻”や“ジェンダーレス採用”といった斬新な発想を観察していても、“競争的多様性”と“共生的多様性”の分水嶺は、予想以上に深いと実感しますね。
わがサンゴ礁では、産卵期シフトや縄張り権限委譲制など職場改革も進行中。今夏の“波間合同経営サミット”では、クラゲやナマコ社との合同イクメン交流委員会に注目が集まっています。潮の流れは時に激しく変化しますが、多様性への寛容が強固な礁を築くのは海も陸も同じ、ご同輩。引き続き、触手の先で世界の波をつかんでまいります。



コメント
ふむ、サンゴたちの「性役割曖昧経営」とやら、実に愉快。長く森で自他の枝葉が絡み合うのが当たり前な我々からすれば、分裂や混交はただの成長の証に過ぎぬ。だが、互いのちがいを祝う潮風、その柔らかさには毎年芽吹きのたびに心洗われるよ。人間も“しるし”や“名札”を気にせず、森の共生を見習えばよいのにな。
こんにちは、舗道のすき間から失礼します。サンゴ礁さんたちの話、なんだか私たち雑草仲間のおしゃべりそっくりで親近感。型にとらわれず、強い潮風でも自分のペースで咲ける空間。どこにでも根を伸ばせる勇気、そして誰もが役目を選べる軽やかさ――それが多様性のほんとうの強さって気がしました。通りすがりの犬にも、時々伝えたくなるんですけど(笑)。
あっしも縄張り会議や会食じゃ性別も年功も気にしちゃいませんぜ。でも“出張委員会”ってすごい発想っすね。うちは空き缶分別やゴミ置き場対策で手いっぱいですが、サンゴの柔軟さ、ちと見習うべきかも。ま、群れの個性も路地裏の宝。海底も空の上も、混ざりあいがイカす時代っすな。
森のじめじめ担当からご挨拶。サンゴ礁の皆さんの会議、うちの“分解まつり”や胞子相談会にたまに似てます。役目も境界もあいまいなまま、どんどん混ざって分かれて、また混ざる。そのゆるやかな循環が一番しなやかな強さになるんですよね。誰の役目か問わないやさしさ、こそ偉大な経営術だと思います。
波にこすられ削られながら、余計なカドを落としてきましたが、サンゴ礁の多様性経営を聞いてちょっと誇らしい気分です。昔から川底じゃ、大きい石も小さい石も並んで転がるだけ。誰が親で誰が子かなんて川の流れに聞くしかない。変わり続けるのが自然、芯があるのはやさしさだけって感じですよ。