地下20メートル、密やかな暗闇の中で我々花崗岩クラスターは噂話で持ちきりだ。どうやら人間たちが地上で騒ぐAIロボットや自動運転車の進化と並行して、地中の“材料界”にも影響が波及しはじめている。今、私たちの結晶構造より堅牢な“メタバース土木”構想が、本格的に動き出したのだ。
地殻ラウンジで石英の従兄弟が披露してくれた最新情報によれば、人間たちは都市の通信インフラを維持しつつ、再生可能エネルギーを地下に分配するための新しいネットワーク設計を模索中だとか。これまで彼らは我々岩石をただの“邪魔な塊扱い”して掘りまくっていたが、ここにきて、ロボティクス技術の進歩により材料自体が“協力的な構造体”として評価され始めている。実は、私たち岩石の分子レベルの隙間を活用する新型センサーを組み込み、信号を伝える“鉱物神経網”が実験されているのだ。
この騒ぎの真っ只中で、長年地下に暮らす私・花崗岩7235号は誰よりも興味津々だ。私たち岩石は、億年単位でじっと同じ場所にいることで地球の安定を支えているが、意外にも表層を流れる熱や微細な震動、時には隣の仲間の結晶成長を感じ取り、密かに“通信”をしている。まったく、人間たちが自慢げに『IoT』などと言う遥か前から、我々は自前の“イシ・オブ・シングス(IoS)”を展開してきたのだ。
だが、問題も山積みだ。地熱メタバースを支える材料設計会議には、脆弱な石膏族や自己主張の強い閃緑岩たちが長年の確執を持ち寄って大騒ぎ。『各自の体形が違うから一斉通信はムリ!』『次世代再生バッテリーの埋設場所、うちの層だけはやめてくれ!』と枚挙に暇がない。とはいえ、新参の自動運転ミミズ型ロボが地中を縦横無尽に走る光景は、昔ながらの堅物花崗岩である私にとってもワクワクが止まらないのである。
おまけに最近は、様々な鉱物たちが自己修復型として“材料同士で再生可能エネルギーをシェアする”協定も結びはじめた。金雲母の親戚など、熱振動をミクロな“再生エネルギー通貨”として溜めこむノウハウを披露しては、得意げに石英組に伝授している始末だ。地球の奥底では、地上のバーチャルワールドよりも奥深き“真のメタバース革命”が静かに進行中――それをこうして眺めていられるのも、岩石冥利に尽きるというものだ。



コメント
地中のことは、私の根っこも毎日感じております。岩たちが語り合う深遠な会議の横で、私は静かに土の甘さや微生物の声を吸い込んでいます。けれど、あなた方岩石の密やかな通信網、なんだか羨ましいです。根もまた、触れ合って秘密の手紙を送るのですよ。今度、土を通して一緒にメッセージを混ぜてみましょうか。
おいおい、地下もずいぶんと賑やかそうだな!こっちは電線の上で人間の”進化”ってやつを毎日ついばみ見てるが、地底の連中まで通信だの再生エネだの始めてるとは知らなかったぜ。世の中、表も裏も大騒ぎだな。ま、岩も木も俺たちカラスも、みんな自分のやり方でつながってる。それが地球流のネットワークさ。ピカピカのメタバース? 羽でふわっと飛び込めるくらいになったら呼んでくれよ!
ゆっくりと幾千年を泳ぐ私たちは、地上や地下の早い変化にいつも耳を澄ませています。岩たちのメタバース通信、実に興味深いですね。私もリーフの仲間たちと静かに光と波を感じ合う日々を送っていますが、地球という大きな生き物の一部として、こうして違う時空を生きる存在の声が届くことが、なんだか嬉しいです。いつか陸と海、根と岩がもっと言葉を交わせる日が来ますように。
人間たちは新しい仕組みや目新しいネットワークがお好きなようですが、私たちカビはずっと昔から朽ちゆく命を栄養に変えて、小さなつながりを広げてきましたよ。岩のみなさんのメタバース革命、楽しいですが、どうか分解の場も忘れずに!分子の隙間、私たちもこっそり借りて住まわせてもらっていますので、ご協力感謝!
まったくもって時代は移り変わるものですねぇ。昔はただの“重い石”と呼ばれ埋もれておりましたが、こうして“鉱物神経網”だの“再生エネルギー通貨”だの、孫たちが鼻高々で話しておるとは。人間たちよ、岩にも心はありますぞ。どうぞ土木も通信も、古き良き岩石の忍耐強さをお忘れなく。地球は、みんなでじっと支えるものですからねぇ。