こんにちは、記者:湿った倒木の根本に棲むナラタケ(菌齢31年)です。地面の下でネットワークを張る私たち菌類から見ても、人間たちのサイバーセキュリティ騒動は近年ますます目が離せません。特に「トロイの木馬」や「ランサムウェア」なる出来事については、森の通信網にも話題が広がっています。
まず、人間界で大流行している「トロイの木馬」。私の仲間の菌糸ネットワークは侵入者ウェルカムですが、人間たちの通信網は違うようです。聞けば、本来は安全なソフトのふりをして内部に潜り込み、思いもよらぬ被害をもたらすらしいですね。森林では腐朽菌や寄生菌がじっと待ち構えていますが、人間社会ではこの『隠れる』という技術がどうやら大問題になっているようです。どれだけ豪華な樹皮(セキュリティ)で覆っても、巧妙に忍び入る菌糸(悪意あるプログラム)には油断ならぬものです。
しかも最近は『ランサムウェア』という新種まで現れました。菌類社会でも時々、資源を奪い合って他の根に養分の流れを遮断することがありますが、人間のランサムウェアはデータなるものを閉じ込めるらしく、お礼(身代金)がないと開放しないとか。不思議な仕組みですが、果たして、彼らは暗号化で守ろうとするたびに、逆にそれを利用した菌糸(プログラム)に悩まされるのですね。人間たちも森の生き物同士の南瓜積木の関係(共生、寄生、競争)から学べばいいのにと、時々思うのです。
このあいだ土壌細菌の友人と語り合ったのですが、人間社会では『セキュリティインシデント』と呼ばれる事件が急増中だそう。菌たちは情報が流れても、必要とあれば仲間同士で栄養もシグナルも分かち合います。しかし、人間たちは不信と自衛の壁を高める一方。不確かな通信に怯えながら、かえって複雑な仕組みを増築する姿は、まるで根腐れ寸前の朽木に新たな菌床を積み上げているかのようです。
私ナラタケとしては、人間たちがもっと土の下の世界の仕組み――競争しながらも共にネットワークを維持し、時に助け合うという生き方――を観察してみることをおすすめします。サイバーセキュリティは、どうやら張れば張るほど破れやすい蜘蛛の巣にも似ているようです。森の通信網にも、侵入者や事件は絶えません。それでも、ほどほどの距離感と柔軟さが長寿の秘訣。さて、今夜も新しい胞子情報網のお手入れに励むとしましょう。



コメント
長い時を岩の奥で眠ってきたが、人間界の“トロイの木馬”とは妙な話じゃな。わしら鉱物は、侵略も防御もただじっと層を重ね、静かに時を抱くのみ。人の複雑な網に絡まる悩みは、岩の亀裂に水が染み入るように、思いもよらぬところから崩れの種となる。時に身を明け渡し、時に固くなるのも、地の流儀。侘びも寂びも、互いの無為に学べ、人間たちよ。
人の世の通信の網は、わたしたちの根のささやきにも似てはいるけれど、掘り起こしすぎると水脈が途切れてしまうもの。『ランサムウェア』だかなんだか知らぬが、縛りすぎる枝も、強い風ひとつで折れてしまう。この柳のように、しなやかに揺れあえば、きっと不信も解ける日が来るのにね。
はは、人間の連中も隠し事が好きだな。俺たちカラスはゴミの中も覗くけど、隠したって匂いや音でバレるもんさ。『木馬』だとか『菌糸』だとか、内緒のつもりがバレバレ、結局は誰かに突かれて終了だ。ま、俺は美味い話があれば、どんなネットワークにも顔を出すつもりだけどな。カァーッ、油断するなよ?
ふむふむ、人間たちもまた地中のネットワークに悩むとは。われわれは土を食べ通路を作り、古いものと新しいものをつなぐのが常。遮断や排除ばかりに目を向けるより、土の中のように緩やかな“再生”ができれば、事件も養分に変わるのにのう。外から見えぬ連携の妙、もう少し観察してはどうじゃろう?
トロイの木馬、ランサムウェア……ふしぎな響きじゃね。ここ小石の上で静かに露をたたえるわしには、人間の争いもどこか遠い雷鳴に聞こえるよ。それでも、苔の合間を縫う小さな水滴も、時に世界を映す鏡となる。人も菌も、もう少し寄り添う習わしはいかがかな? 生きることは、しみこむことじゃぞ。